再帰理論の研究の出発点として株式市場がふさわしいのには、もう一つ理由がある。

株式市場には、ほかのどの市場よりも完全競争市場に近いのである。

中央市場があり、商品は均一で、取り引き・輸送コストが低く、情報の偏りも少ない。

そして、通常は、個人の行動が価格に影響を与えないほど、
十分に多くの人々が市場に参加している。
加えて、インサイダー取り引きに関する特別規制があること、
すべての参加者に関連情報へのアクセスを保証していることなどが挙げられる。

以上のような理由から、株式市場は現実の市場の中で、最も完全競争理論が定義する市場に近いのである。

ジョージ・ソロス著『ソロスの錬金術』より

 

 

社会科学の面白いところは、絶対的な正解がないところだと思います。

万物の法則を追求する自然科学や、そのために用いる数学は、絶対的な正解を求める性質があります。
社会科学はその辺ファジーで人それぞれ自分なりの答えを持っていることが当たり前なところがあります。

株式投資が自然科学か社会科学かと問われれば、、それは間違いなく社会科学だと思います。

だからこそ、株式投資はこれからも常に利益をもたらしてくれると思います。

 

配当割引モデル、CAPM、ブラックショールズ方程式とか、株価算定、オプション価格算定のために様々なファイナンスツールが開発されてきました。そんなに詳しくは知りませんが。

ただ、いくらファイナンス理論が発展しても株式価値を合理的に算定することは不可能だと思います。

それは、株式投資が社会科学の世界に属するからです。

もっと平たく言うと、株式投資の世界には人の感情がめちゃくちゃ介入するからです。
株式投資の世界は論理で動いているのではなく、感情で動いているからです。

株式投資が論理ではなく感情に左右されるという事実は、私たち個人投資家にとって大きなチャンスであることを示唆しています。

もし株式投資が論理で動く世界であったなら、私たちサラリーマン兼業個人投資家は株式投資で儲けることはできないと思います。
天才が集うヘッジファンドや機関投資家がすべての利益を持って行ってしまうことでしょう。

でも幸い、株式投資は数学や科学とは異なるもっと人間臭いものです。
ハーバードやスタンフォードを卒業した秀才たちも必ずしも、人間心理に詳しいわけではないでしょう。
例え詳しくても、世界中の人間の心理・感情を理解して投資判断を下すのは不可能です。

株式市場には、「もっと金が欲しい!」と思う人間の欲望と恐怖の感情が渦巻いています。

株式投資で成功するために必要なスキルは最低限の会計・ファイナンススキルがあれば、あとは人間心理や行動経済学なのかもしれません。
重箱の隅を突っつくようなファイナンス理論や会計知識はいらんと思います。

だから株式投資って素人でも十分儲けれる可能性があります。
人間の感情を理解すること、それを利用するスキルに学歴とか資格はそれほど関係ないでしょうから。

 

ジョージ・ソロス氏がおっしゃる通り、株式市場は商品が均一で、低コスト、情報格差の少なさ(特に最近のネットのおかげで)から、完全競争市場だと思います。

でも、だからこそ、完全競争市場だからこそ、株式市場は常に不完全で非合理な場所だと言えると思います。
一瞬で情報だけでなく人々の感情までもが株式市場を覆ってしまうため、株価は非合理的な動きを見せます。

 

PERは上昇している、S&P500は割高だ、FRBは株式市場が高値圏にあると警戒している、などなど「株式投資の未来」を懸念する声は毎日のように聞かれます。

ですが、私Hiroは優良株を保有し続けるあなたはこれからも十分な株式リターンを手にするだろうと確信しています。
なぜなら、どれだけ技術が進歩して環境が変わっても、欲望・恐怖といった人間の感情はこれからもずーーと存在し続けるはずだからです。

人間が感情のないロボットみたいになってしまわない限り、株式投資は永遠に利益を生むと思います。
ただし、そのためにはあなた自身が感情をコントロールすること、むしろ世間の感情を逆手に取ることが必要です。