ダウ工業株30種の中で、年末時点で配当利回りが高い10銘柄に毎年入れ替える投資法を「ダウの犬投資戦略」と言います。

配当利回りを基準に機械的に投資するだけで、高リターンが実現できるほど投資の世界は甘くないと思われるかもしれません。しかし、意外にもダウの犬投資法は優秀な成績を残しています。以下は2001年~2018年のダウの犬とNYダウの比較です。

  ダウの犬 NYダウ 判定
2001年 -5% -5% 引き分け
2002年 -11% -15% 勝ち
2003年 33% 28% 勝ち
2004年 7% 5% 勝ち
2005年 -5% 2% 負け
2006年 32% 19% 勝ち
2007年 2% 9% 負け
2008年 -39% -32% 負け
2009年 18% 23% 負け
2010年 21% 14% 勝ち
2011年 15% 8% 勝ち
2012年 10% 10% 引き分け
2013年 35% 30% 勝ち
2014年 11% 10% 勝ち
2015年 3% 0% 勝ち
2016年 17% 14% 勝ち
2017年 23% 28% 負け
2018年 0% -4% 勝ち

強敵NYダウ指数に対して、今世紀ダウの犬は11勝4敗2引き分けです。

2019年のダウの犬はどんな顔ぶれでしょうか。2018年12月31日終値をベースにNYダウ銘柄を配当利回りが高い順に並べます。その上位10銘柄がダウの犬となります。

ティッカー 銘柄名称 配当利回り
IBM IBM 5.5%
XOM エクソン・モービル 4.8%
VZ ベライゾン・コミュニケーションズ 4.3%
CVX シェブロン 4.1%
PFE ファイザー 3.3%
KO コカ・コーラ 3.3%
JPM JPモルガン・チェース 3.3%
PG プロクター&ギャンブル 3.1%
CSCO シスコシステムズ 3.1%
MRK メルク 2.9%
MMM スリー・エム 2.9%
DWDP ダウ・デュポン 2.8%
JNJ ジョンソン&ジョンソン 2.8%
UTX ユナイテッドテクノロジーズ 2.8%
CAT キャタピラー 2.7%
MCD マクドナルド 2.6%
WBA ウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンス 2.6%
TRV トラベラーズ 2.6%
INTC インテル 2.6%
BA ボーイング 2.6%
HD ホームデポ 2.4%
WMT ウォルマート 2.2%
GS ゴールドマン・サックス 1.9%
AAPL アップル 1.9%
MSFT マイクロソフト 1.8%
AXP アメリカ・エキスプレス 1.6%
DIS ウォルトディズニー 1.6%
UNH ユナイテッド・ヘルス・グループ 1.5%
NKE ナイキ 1.2%
V ビザ 0.8%

黄色にした銘柄が2019年のダウの犬です。ノーサプライズです。2018年とほぼ同じ顔ぶれ。唯一違うのがゼネラル・エレクトリック(GE)が抜けて、JPモルガン・チェース(JPM)が加わったことです。GEはNYダウ自体から除外されましたから、当然ダウの犬からも抜けることになります。

JPMを始め金融銘柄はここ最近、株価低迷が続いています。2016年秋にトランプ大統領当選が決まり、10年債利回りが急騰した際には「これから金融株の復活が始まるぞ!」という空気が流れましたが、結局金米金利は大きくは上がらず銀行のビジネス環境は改善していません。

JPMの株価は金融セクターの中では底堅く推移していますが、増配発表もあって配当利回りは3.3%にまで上昇しています。そんな背景があってJPMが利回りトップ10圏内に入ってきました。

低金利は常態化するのか、それともこれから金利は上がるのか。米国の財政赤字問題は深刻で、今後の金利上昇は不可避という意見も聞きます。どうでしょうか。私にゃようわかりません。

金融株と言えば最近のバフェットの投資判断に注目してます。アップルの買い増しに注目が集まりがちですが、最近のバフェットのポートフォリオの特徴はとにかく金融株が多いことです。バンク・オブ・アメリカ(BAC)、ウェルズ・ファーゴ(WFC)、USバンコープ(USB)、アメリカン・エキスプレス(AXP)、ゴールドマンサックス(GS)、そしてJPモルガン・チェース(JPM)などに投資しています。

現在のバークシャー保有の上場株トップ10銘柄のうち6銘柄が金融関連です。バークシャーの上場株運用額2000億ドルのうち40%超が金融株です。バフェットは金融セクターに強気のようです。今は割安という判断でしょうか。バフェットはJPモルガンCEOのジェイミー・ダイモン氏とも仲良しです。

JPM以外のダウの犬10種は昨年と同じです。いつも高配当のベライゾンは健在です。エクソン、シェブロンといったエネルギー企業の株価は軟調のままで、今年も利回り上位に入りました。ファイザーとメルクは昨年2018年にかなり株価が上昇しましたが、それでもなお利回りは3%前後あり高配当です。

10年、20年したら今は低利回りのビザやアップル、マイクロソフトがダウの犬常連になっているかもしれませんね。当面はダウの犬の顔ぶれは大きくは変わりそうにないです。もしエネルギー株が大反発したら、エクソンとシェブロンは抜けるかも。まあ、相場のことはわかりません。

最後に2019年のダウの犬10匹を再掲して記事を終えます。

ティッカー 銘柄名称
IBM IBM
XOM エクソン・モービル
VZ ベライゾン・コミュニケーションズ
CVX シェブロン
PFE ファイザー
KO コカ・コーラ
JPM JPモルガン・チェース
PG プロクター&ギャンブル
CSCO シスコシステムズ
MRK メルク

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