年初から米金利が上がってきましたね。昨年末、米10年債利回りは1.5%台でしたが最近一時1.8%台に乗りました。1月12日現在は1.72%です。

たかが0.3%と思われるかもしれませんが、率で言えば20%の利回り上昇(債券価格の下落)です。

それを受けてマーケットは教科書通りの動きを見せてくれました。つまり高PERのグロース株が売られる展開です。

GAFAMなどの大手テックは全然マシで、まだ利益が出ていないやや投機的な株が大きく下げています。金利が上がると、無理して赤字企業の株を買う必要も薄れますから。

私の保有銘柄ではアップルがマイクロソフト、テキサス・インスツルメンツなどが下げています。特にマイクロソフトの下げが大きいです。

しかしながら、特に不安になることなく毎日ぐっすり眠れています

金利上昇に伴うグロース株の下げって精神的に耐えやすい印象です。決算さえしっかりしていれば安心してホールドできます。個人的感覚ですが。

アップル、マイクロソフト、TIともに直近決算でえげつないほどの利益を出しているし、長期的な見通しも良好です。だからこそPERは高めなので、金利上昇環境で売られがちなわけです。

物凄く単純化すると株価=「将来利益 / 金利(割引率)」です。

金利が株式価値に与える影響は大きいです。実際にエクセルでシミュレーションしてみるとよくわかります。割引率を1%も変えれば、将来利益の現在価値は激変します。

金利を軽視してはいけません。短中期的には決算よりも金利の方が株価に与える影響は大きいです。大型株であれば将来利益の見通しが突然上下することはありませんが、金利が突然上下することはあり得ます。

今は金利上昇に警戒すべきフェーズですね。株式相場が不安定なのはやむなしです。

と、金利が重要なのは百も承知ではあるのですが、それでもより長期目線で考えれば結局は決算がすべてだと思っています。景気循環を捉えてうまく売買したいなら金利動向を読む方が重要ですが、長期ホールド型の投資では、業績見通しが盤石なら金利変動によって右往左往する必要はないと思います。

昔は業績にやや不安があるものの、利回りが高い(低PER、高配当)銘柄を好んで買っていました。具体的にはIBM、AT&T、エクソンモービル、シュルンベルジェ、アルトリアグループなど。エクソン以外は今はもう売っちゃいました。

いずれもきちんと利益が出ていることは決算書を見て確認していましたが、ビジネスは斜陽気味でマーケットの評価は低かったです。利回りこそ高いけど、業績の見通しはあまり良くなかった企業です。

どこかの偉い学者さんが「成長すなわちリターンにあらず」と仰っていたことに感銘を受けて、こういった相対的に衰退気味の企業をよく買っていました。

こういう衰退銘柄は株価が急落すると非常に不安になるんですよね。眠れなくなるほどではありませんが、「ああ、どうしよ、やっぱ売った方がいいかな~」とソワソワしちゃいます。

株価=「将来利益 / 金利(割引率)」 でした。

この分子である将来利益に不安のある銘柄は基本的に買わないようになりました。そういう銘柄は成長が期待されていない分、利回りは高いのですが、その高利回りをもってしても成長株には敵わないことが多いし、何よりも保有期間中に何度も不安に襲われます。

将来利益の見通しが盤石な優良成長株の方がリスク・リターンは優れています。成長株はPERが高く、相対的に株価が将来の利益に依存しているので、どうしても今のような金利上昇局面では売られがちです。

が、冒頭で言ったことの繰り返しですが、決算さえしっかりしていれば金利上昇による株価下落によって心が揺さぶられることはありません。平気でネット証券の画面を開くこともできます(今のところは・・)。

「ああ、今日はかなり下がってんな~、まあマイクロソフトなら大丈夫でしょ」と気楽に構えてられます。

原油などコモディティ価格が上がって、金利も上がりつつある環境。間違いなくグロース株よりバリュー株に有利な環境です。エクソンなどのエネルギー株にドカッと投資したくなる気持ちもわかります。

が、個人的には長期投資目的ならば、ポートフォリオの半分以上は引き続き今後10年の業績見通しが安泰と思われるテクノロジーセクターでいいんじゃないかなあと思います。

テクノロジーにこだわるというよりは、あまりバリュー株を追いかけ過ぎずに、今年は市場をアンダーパフォームしてもいいから、EPSを持続的に成長させることができる銘柄を買っておく方が安全なのでは、と言いたいだけです。

そんなこと悩まずにS&P500指数を買い続けるのもいいですね。