最近マイブームなのが「ボラティリティではなくリスクを減らす」という考えです。ボラティリティとは株価変動率のことで、リスクとは投資企業に対して抱いている不安感です。ボラティリティは統計的に測定可能で客観的なものですが、リスクは主観的な感情。
同じ銘柄であっても、リスク認識は人それぞれ。テスラ株のボラティリティは全投資家共通ですが、テスラ株に対するリスクは人それぞれ。テスラのボラティリティは高いですが、自動車業界に詳しい投資家にとってテスラ株のリスクは低いかもしれません。ちなみに私にとってテスラはハイリスク銘柄です。
ボラティリティを減らすうえでやるべきことは、異なるセクター間で複数の銘柄に投資すること。分散が大切。一番の対策はインデックス投資。
リスクを減らすうえでやるべきことは、自分が理解している高収益なビジネスに投資すること。何より自分の納得感が大切(ただし過信は禁物)。
僕は会計士で一見すると株式投資をやる上で有利に見えるかもしれません。でも全くそんなことないです。財務に明るいと広く浅くリスクを低減できるイメージです。過去の財務データを見てしっかり稼いでいることがわかると、「ああこんなに稼げている会社だったら、これからも安心できそうだな」って思えます。日本企業の財務諸表をたくさん見てきたからこそ、一部の米国企業のあまりの収益性の高さに驚愕しました。こんな会社の株をネット証券でポチッとするだけで買える現代の投資環境ってすげえって思います。
でも会計に詳しいだけだと、狭く深く掘り下げることができません。
僕は基本的に世間知らず。学校のお勉強だけはきちんとやってきたけど、何かと経験値が低い。海外をいろいろ旅して回ったこともないし。色んな職種を経験しているわけでもない。専らアカウンティング、ファイナンスばっかり。色んな方面に知り合いが多いわけでもない。
先日読者さんに「ご自身の現在の知識だけで物事を考えず、もう少し海外に行ったりして色々なものに触れるといいですよ」とアドバイス頂きましたが、まったくその通り過ぎてぐうの音も出ない感じです。
ということで、僕が想像できる未来は限られています。こんな今の自分でも想像できる未来だけに投資する。相対的に低リスクだと感じれる銘柄だけを選ぶ。今後はこういうリスクを減らす投資判断を大切にしていきたいです。
どんな未来なら想像できるか・・考えてみました。
99%自信を持てる未来予想
人々は朝起きて歯を磨く。1日3回ご飯を食べて水を飲む、お菓子も食べる。夜はぐっすり眠る。
これは99%というか100%わかる未来です。変わるはずがない。人間としてというより、生き物としての基本。
コカ・コーラ(KO)、ペプシコ(PEP)、コルゲート・パルモリーブ(CL)、クラフトハインツ(KHC)、ネスレ(NSRGY)、ABインベブ(BUD)、モンデリーズ・インターナショナル(MDLZ)、ユニリーバ(UL)、プロクター&ギャンブル(PG)、JMスマッカー(JMK)、コンステレーション・ブランズ(STZ)
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これらの銘柄のリターンが高くなるかは不明ですが、少なくとも株券が紙切れになるリスクは極めて小さい。長期的に株主資本を増やしてくれるだろうと思えます。
コンテンツを楽しむ
子どもの頃からコンテンツに囲まれて生きてきました。ゲーム、テレビ番組、漫画など。思うに現実世界はつまらないことが多い。非現実的なコンテンツの世界を味わうことで、ワクワク楽しい生活を送ってこれた気がします。
ちなみに、子どもの頃読んでいた漫画(一部)
・キャプテン翼
・ガンバリスト駿
・ワンピース
・ハンターハンター
・スラムダンク
・烈火の炎
・名探偵コナン
・幽遊白書
・遊戯王
中学生の時に、かなり遊戯王のカードにハマった記憶があります。あと任天堂64のサッカーゲームやシューティングゲームをみんなでやってた。僕の家はたまり場でした。
小学生の頃は、毎晩のアニメが楽しみで仕方なかったです。クレヨンしんちゃん、ドラえもん、キテレツ大百科、名探偵コナン・・(あ、もうなんか思い出せないけど他にも色々あったはず)。
中学生の時に観た戦争映画『ブラックホーク・ダウン』には子どもながら衝撃を受けました。歴史的な背景とか何もわからずに観てましたが。
漫画、テレビ、ゲーム、映画といったコンテンツ産業はこれからも消えることはないし、むしろ成長していくだろうと思います。ゲームや映画などは贅沢品です。世界で中間所得層が増えると、コンテンツビジネスはもっと盛んになると思います。
ネット環境が整備されたおかげでeスポーツという新たなジャンルまで誕生しました。お金払ってプロからゲームの指導を受けるサービスまであるらしいです、家庭教師みたいに。アメリカの話ですが。
強いブランドコンテンツを持っている企業は安心して投資できます。
具体的にはウォルトディズニー(DIS)、コムキャスト(CMCSA)など。あとは中国企業ですがテンセントもあります。テンセントの財務諸表は一度見てみたいです。
日本でも有名なディズニーがやっぱり一番安定度が高い気がします。ディズニーファンは周りにたくさんいます。そう言えば、先日のミッキー誕生90周年記念で「ミッキーの家とミート・ミッキー」では11時間待ちだったそうです。やば。
インターネットを使う
インターネットなしの生活はもう考えられないです。これからは5Gですね。スマホで動画を見るスピードはもっと早くなるし、モノとモノとがインターネットで繋がります。遠隔医療が当たり前の時代が来るかもしれません。
ネットインフラを担う具体的な銘柄としては、ベライゾンコミュニケーションズ(VZ)、AT&T(T)、シスコシステムズ(CSCO)あたりでしょうか。
VZとTの2社は設備投資負担が重たいことがCF計算書から明らかですし、投資リターンはそれほど高くはならんかなって思ってます。でも事業の安定性は抜群だと思います。特に通信インフラに専念しているVZが安心。
私はベライゾンとAT&T両方に投資していますが、ベライゾンは引き続き保有でいいかなと思っています。AT&Tの処遇は考え中。
電気、ガスを利用する
原油、石炭、天然ガス、原子力、水力、太陽光、これら一次エネルギーの未来は読めないです。50年後どれが主流になっているのか不透明。原油はなんだかんだ言って必要なのか、それとも太陽光などクリーンエネルギーが電力重要の大半を担っているのか。そこはわからん。
でも、電気、ガスといった二次エネルギーがこれからも社会に必要なのは間違いないでしょう。
具体的な銘柄としては、デュークエナジー(DUK)、ネクステラエナジー(NEE)、ドミニオン・エナジー(D)、ナショナルグリッド(NGG)、サザン(SO)など。
これら公益株は安心して保有できます。
医療サービスを受ける
医療に対する需要も無くならない。世界的にはまだ数十年は人口は増加するし高齢化も進展します。ヘルスケア企業も生き残り続けると断言できます。
ジョンソン&ジョンソン(JNJ)、ファイザー(PFE)、メルク(MRK)、アッヴィ(ABBV)、アムジェン(AMGN)、メドトロニック(MDT)、アボットラボラトリーズ(ABT)、ストライカー(SYK)など。
これらの中でどれがもっとも高リターンになるか、それは全く予想できません。個人的にもっとも安心して保有できるのはJNJとMDT。
80%くらいの自信がある未来予想
スマホは無くならない
スマホに変わるデバイスは出てくるのか?
眼の網膜に直接投影する技術などを聞いたことがあります。スマートグラス的な。
でも指で簡単に操作できるスマホの便利さを超えるものはなかなかイメージできません。この10年で僕の生活をもっとも変えた製品はアップルのiPhoneです。10年前はauのガラケー使ってました。もう昔には戻れないです。
一生iPhoneユーザーだと思います。ITに疎い僕にとってアンドロイドへの乗り換えコスト(精神的な)は高い。
マイクロソフトのオフィスソフトは永久に不滅か
経理の業務フロー改革で、なるべく表計算ソフト(つまりエクセル)の使用を止めてアプリケーション内で自動計算しましょうと、よくコンサルさんに言われます。
確かにエクセル作業はミスの原因。でも多分エクセルが完全に消えることはない。財務分析する上であんな便利なソフトは他にない。他社の表計算ソフトもあるらしいけど、もう体に染みついたエクセル操作感から逃れることはできません。敢えて他社ソフトを使う理由がない。
ワードは個人的にはあまり使わない。パワポは必須。
マイクロソフトのOfficeソフトはこれから50年もキャッシュを生むと思います。ま、自分の経理の仕事での範囲しか知らずに言ってますが。会計業界はエクセル様様かと・・。
他にもいろいろ考え付きそうですが、ぱっと思い付いたことを書くとこんな感じでした。どれも分かりやすいビジネスばかり。それでいい。自分の知識、経験で理解できる範囲で株式投資を続けます。そんな狭い範囲でもたくさんの優良企業がいるのがNY市場です。
記事を興味深く読ませていただきました。
私もリスクは感情的というか主観的だと感じてます。
で、その主観的なものってどこからくるのか?という事を考えた事があるのですが、私の今現在の答えは経験値です。そして、その経験値ってどうやったら効率的に増えるのか?を考えると、勉強したり、いろいろな人と話したり、世界を見たり、とにかくInput/Outputをバランスよく行うことだと考えています。そうすると物事を多角的に見ることができるようになると感じています。世の中の大抵の事象は0か1ではないので、1つの尺度や指標で測れないと考えています。
例えば、投資についてアドバイスを求められることがあるのですが、私が最初に言うのは、ちゃんとサイクルで回してます?ということです。
ここでのサイクルとは、1)投資やお金についてのお勉強、2)仮説や目標を定義する、3)実際に2のための投資活動を行う、4)一定期間で振り返りを行い、2と現在の結果を比べて、どれだけのギャップがあるかを認識する、5)ギャップを埋めるための勉強や情報収集を行う、6)(新しい、もしくは再定義した)仮説や目標を定義、以下投資活動して。。。
このサイクルを回すことによって、知識が増えるのはもちろんですが、理論と現実のギャップも見えてきますし、自分に不足しているもの、自分の性格上どういう投資スタイルが向いているかが分かってくると思います。
それが経験値となり、自分の中でのリスク許容量が見えてくるのかなーと。
長々と、とりとめのない話になってしまいましたが、何が言いたかったかといいますと、リスクを減らすということは、色々な経験をすることなのかなーと思いながら記事を読ませていただきました。
ありがとうございます。
コメントとても共感します。
経験に勝る勉強はないです。
投資だけでなく仕事でも趣味でも色んな経験をし、色んな企業のビジネスを自分で経験することでリスクを効果的に下げることができそうです。
米国株投資で難しいと思うのは、米国完全ドメスティック企業への投資です。
たとえばベライゾン、AT&Tなどの通信株。一部の食品銘柄、公益銘柄など。
アメリカで実際に生活しないとベライゾンというブランドがどれくらい浸透しているか、まったく実感できません。
世界ブランドランキングで、AT&Tもベライゾンもいつもトップ層にいますが、日本人の私には感覚がわかりません。
やいださんの話を聞いていて思ったのは、銘柄だけでなく投資スタイルも自分で見つけていく必要があるんだなってことです。
グロース株中心かバリュー株中心か、景気循環によって銘柄を入れ替えるのか、レバレッジを掛けるのか・・。
特にレバレッジは自分のリスク許容量がわからないでやると危険です。
特に長期投資ではPDCAが回しにくいのがネックだと思っています。
人生が300年あれば長期で検証もできますが・・。
長期投資という分野は、必然的に大半はみんな素人と言えます。1タームが長過ぎる。
こんにちは
数十年後の将来、今と変わらない製品やサービスを見つける視点、面白いです。
資本主義が続く限り、貨幣や通貨に関連して、金融や投資などのサービスも無くならずに続きそうですね
お金に関連させると、クレジットカードや……BLKみたいな投資ファンドはボラティリティは有るけどリスクは許容出来そうな予感がします。
いつも有難うございます
世の中は不確実なこと、偶然なことばかりです。
有名な女優、俳優がテレビに出ているのは実力であると同時に、単なる偶然の可能性もあります。
まあ言い出すときりがないですが。
そんな中、50年100年と人々に受け入れられ続けているものは偶然でない可能性が相対的に高いです。
そういった銘柄を選ぶことで投資リターンの偶然性をできるだけ排除したいです。
それがリスクを下げることの本質かなと思っています。
確かに自分の目で海外を見るのが一番良いと思うのですが、
たぶん同じものを見ても人によって感じ方は違うと思うんですよね。
その点、このブログは他の方の意見も見れるのですごく勉強になるなと感じています。
これまで私も自分の知識で投資をしようとしていましたが、
自分の考えをここに書くとコメントをいただけるのも非常にありがたいです。
どの銘柄が生き残るのかが問題ですね。
最近の荒れ具合からボラティリティを低くするのも大事だなと感じています。
ETFが無難かな~と思うのですが、一度個別株に手を出すとなかなか抜けれませんね。
いま、個別株 78%, ETF 12%(HDV,VYM), 現金 10%ですが、ETFの比率を目標 20%ぐらいまでゆっくり上げたいところです。
私もコメントでたくさん勉強させて頂いてます。
みなさんそれぞれの専門分野をお持ちですから、自分では持ちえない視点でのコメントも多くあって助かっています。
>自分の考えをここに書く
自分の考えを言語化する、アウトプットするってすごく価値ありますよね!
ブログやってそれをホントに感じます。
わかっているようでフワッとした理解で終わっていることって意外に多いです。
人に説明しようと書いてみると、自分の理解も進むし別の新たな疑問が思い浮かぶこともあります。
一度個別株に手を出すと抜け出せなくなるのは同感です。
個別株投資はリスク調整後リターンの追求とは異なる、別の何かを求めていないと選択肢に入らない気がします。
楽しいとか、投資している感じがするとか、そういうことです。
純粋に経済的なことだけ考えれば不合理かもしれませんが、人生カネだけじゃないのは投資も一緒だと思います。
私もETFの比率は20%を維持する予定です。
ETFは精神安定剤の役割を果たしてくれます。
ボラティリティとリスクを分けて考えると今まで見えていなかったものが見えて来たりしますよね。私も最近はHiroさんの記事に触発されていろいろ考えているのですが(個別株中心のHiroさんと
インデックスばっかりの私で観点が違うのも,新しい見方を教えてもらえています),リスクもαとβに分けて考えるのが良いのではないかな,と思っています。
投資リターンをαとβに分離するのは普通のやり方ですが(個別株投資は”seeking alpha”ですよね),リスクも個別株分αと市場連動分βに分離して考えると判り易そうです。Hiroさんはリスクのα成分を気にしていて,私はリスクのβ成分を気にしているというのが判りました。
インデックス投資はリターンとしてのαを諦めて,その代償としてリスクのα成分も回避できている
という感じでしょうか。
リスクとボラティリティ、、これを考えるきっかけを与えてくださったこと感謝しています。
インデックス投資はαを排除できるのが、いいところです。
私の考えではインデックス投資の凄いところは、リスクのαは排除されるのですが、リターンのαは排除されない点にあると思います。
インデックス投資は市場平均のリターンなので、市場平均を超過するという意味のαはないとも言えるかもしれません。
ただインデックスは各個別株の集合体である以上、各個別株のリターンは正確に反映されます。
でも、集合体になるとリスクはほぼ消えると感じます。
リスクの感じ方は人それぞれなので一概には言えませんが、私にとってS&P500インデックス投資はそんな位置づけです。
だからS&P500インデックス投資に勝る投資ツールはないと思えます。
S&P500に行き着いた人は勝ち組です。
「ベンは、「堅実な投資の極意を3つの単語で言い表すという同様の難題に直面する今、われわれは勇気をふるって、それを『安全域(MARGIN OF SAFETY)』であると述べよう」と指摘しています。
このシンプルな3つの単語を心に刻まない投資家は、膨大な損失を被ることになるでしょう。」
「私の仕事とは、大きな安全域のなかで、「企業の内在的な価値」と、市場価格の差を利用して利益を得ること、それに尽きます。」
W・バフェット「必ず儲かる法則を教えよう」【1】
https://president.jp/articles/-/5582?display=b
少し前のインタビュー記事ですが、バフェットの遺言的なものになりそうな良い記事だと思います。
ベータ値でリスクを考えている人にとっては、株価が下がるほどリスクが高まるように思えるはずですが、安全域の考えではむしろ株価が下がった方がリスクが下がると考えます。
記事のご紹介ありがとうございます。
最後まで読みました。
なんかバフェットの名言が詰まった記事ですね。
どこかで読んだなって思える言葉がたくさん出てきました。
株式投資って単純で素晴らしいビジネスを安く買えばいいだけです。
でも、将来はわからないから、言うは易く行うは難しなわけですが。
ただ多くの人が株価に一喜一憂する中で、きちんと自分なりにビジネスを見つめて長期的視野に立って投資を続ければそれなりに成果がでるはず。
そう信じて、日々勉強しながら投資を続けていこうと思います。
安全域の考えにまだ抵抗があるうちは、堅実な資産配分の考えに基づいて、資産分散型のインデックスファンドを過半の基礎資産にしつつ、各種ETFや優良銘柄を適宜保有するやり方が最も無難かつ健全だと思います。
安全域の考え方自体には納得していますが、どこまで株価が下がれば安全域なのかは全く自信が持てません。
たとえば、最近アップルの株価が下がっておりPERは14倍です。
価格は安全に見えます。でも自信はありません。
おっしゃる通り、優良株分散+ETFという投資法を当面は続けるつもりです。
10年後、20年後はまた変わっているかもしれませんが。
安全域の定量判断でオーソドックスなのは、グレアムのミックス係数というのがあります。私は現在の日本株投資ではミックス係数でいうと10以下を最低ラインにしています。
グレアムのミックス係数とPER,PBR,ROEの関係性と買い時の数値とは
https://www.google.co.jp/amp/s/zennwa3.com/gureamu-1100/amp
ミックス係数、初めて知りました。
深夜で考える力が欠けていますが、PER×PBRということは覚えました。
時間ある時に考えてみます。
情報ありがとうございます。