まだグロース株有利の状況が続くと予想

この時期になると銀行、証券会社、メディアが翌年の相場見通しや推奨銘柄を公表しますよね。そのまま信じて行動するわけではありませんが、参考にはしてます。というか、一つのエンタメとして読んでる感じです。

2021年度はここまで相場を牽引してきたGAFA等ハイテクグロース株の勢いが衰えて、ついにバリュー株が長かったトンネルの出口を迎え復活するという意見をよく見ます。

ウェルズファーゴのアナリストは、「2021年は銘柄のローテーションを意識すべし、ハイテクではなくオールド・エコノミーに注目すべし」と言ってます。

バロンズの2021年推奨銘柄はバリュー株寄りになっています。シェルやファイザーなど。まあ、バロンズは2020年もバリュー株推しで結果としてそれは間違いでしたけどね。

将来のことは誰も確実にはわからないので色んな見解があって当然なわけですが、私はグロース株からバリュー株へのローテーションは2021年はまだ起きないと予想してます。

というのも、今の先進国経済の長期金利にかかっている重力は予想以上に大きいと思うからです。

「名目金利=実質金利+期待インフレ率」というのがフィッシャー方程式ですが、この中の期待インフレ率はそう簡単には上がらないと思います。よって、(名目)金利も上がらないだろうと。

金利が上がらないなら、グロース株の騰勢が続く可能性が高いです。

経済の脱物質化が金利を押し下げ続ける

なぜ物価は上がらないのか。ウォールストリートジャーナルに面白い文章があったので紹介します。ちょっと長い文章ですみません。

デジタル化は、多くの意味で、100年前から進行するプロセスの次の段階にすぎない。

すなわち、経済のディマテリアライゼーション(脱物質化)ということだ。農業から製造業に主役が代わり、やがてサービス業へと移行したが、それに伴い、有形物や労力に由来する経済的価値の割合は縮小し、情報や頭脳に由来する価値の割合が増大した。

アラン・グリーンスパン元米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、経済から産出されるものの重量が一貫して軽くなっていると指摘することを好んだ。

ウォールストリートジャーナル紙より(太字は筆者の判断)

ディマテリアリライゼーションなんてかっこいい横文字ですねw。経済がマテリアル(物質)に頼る割合が低下しているということです。

人間の体が提供する物理的な労働力は急速に不要になりつつある。必要なのは体よりも頭脳。

体を動かす仕事は健康な大人なら誰でもやれますが、レバレッジが効きづらいため、その労働力は質より量が重要。

一方で、頭脳を働かす仕事は誰でもやれるわけではありません。程度の差はあれど、それなりの教育が必要。頭脳労働はレバレッジが効くので量より質が重要。GAFAに採用されるようなエンジニアなんてほんの一握りの秀才です。

優秀な頭脳を持った労働者には高い報酬を払う必要がありますが、その対象は少人数なので資本家の負担は和らぎます。100人に年収300万円払うよりも、10人に1000万円払った方が人件費総額は安いです。

資本とは労働力。資本(労働力)に対する需要が減っているから、資本のコストたる金利には常に低下圧力がかかっている状態。

日米欧の低金利は債券価格のモメンタムどうこうじゃなくって、経済の構造的な変化が背景にあると私は見ています。

アメリカではトランプ大統領が9000億ドル規模の追加救済案に署名しました。さらに4000億ドル追加されるかもしれません。

しかし、この程度の新規マネー創造では長期金利にかかる重力を跳ね返すことはできないです、恐らく。

こんな経済環境は初めてなので、中央銀行、政府は様子を見ながら慎重に緩和的な政策を続けると予想されます。急な金利上昇を恐れて早期の引き締めはしないし、油断して過度なバラマキもしない。熱すぎず冷たすぎのゴルディロックス相場がしばらく続くのではないでしょうか。

景気循環(金利循環)は消えていないが、まだローテーションは起きない

マーケットの歴史を鑑みると、やはり景気循環(金利循環)というのは今後も必ずあると考えた方がいいと思います。

いつかバリュー株がグロース株をアウトパフォームするタームに入るはず。金利もいずれは上がるでしょう。

が、それは2021年じゃないと思います。まだローテーションの時期ではない気がします。上の図でいうと今は左上の真ん中くらいでしょうか。まだ右側には行かない。もしかしたらあと5年、いや10年くらい経ってようやく右側に移るのかも。