データは何かと比較しないと意味がないです。何と比較するかはその時々のニーズに応じて考える必要があります。
経理部ではよく競合分析というのを行います。粗利率や営業利益率の平均は業種によってまちまちです。KPIになるような指標も、同じ業種で比較しないと有益な情報になりません。
私は米日用品大手のプロクター&ギャンブルに投資しています。昨日、国内同業である花王の決算データを紹介しました。両データが手元のエクセルにあるので、せっかくなので比較してみました。
比較する目的は特にないのですが、強いて言うならP&Gの方が花王よりも収益性が高いと思っているのを改めて数字で確認したいくらいです。
前提
花王は2020年12月期決算をベース
P&Gは2020年6月期決算をベース
花王のデータについてPLは2020年期中平均である1ドル108円でドルに換算、BSは年末レートの1ドル102.5円でドルに換算
規模
最初に、両社の規模の違いを把握しておきたいと思います。
株式時価総額(2021年6月21日現在)
花王:291億ドル
P&G:3,232億ドル
売上高
花王:127.9億ドル
P&G:709.5億ドル
総資産
花王:162.5億ドル
P&G:1207.0億ドル
時価総額はP&Gの方が10倍も大きいんですね。売上比では6倍ほどですが。
成長率
コロナ禍の中、異なる決算期をベースに算出しているので、そこは割り引いて考える必要があります。
過去5年平均(年率)を算出しています。
売上成長率
花王:▲1%
P&G:▲1%
営業利益成長率
花王:+1%
P&G:+6%
収益性
過去5年平均を算出
営業利益率
花王:13%
P&G:21%
営業CFマージン
花王:14%
P&G:23%
ROE
花王:18%
P&G:20%
P&Gの営業利益率の高さが目立ちますね。花王も13%と普通に優秀ではありますが。
より詳細にみていくと、P&Gの方が粗利率が高いです。花王の粗利率が43%なのに対して、P&Gのそれは49%。6ポイント高いです。
なぜP&Gの方が粗利率が高いのか?(原価率が低いのか?)
やはり規模が大きいから製造面でのボリュームの多さが寄与しているのかもしれません。あるいは、機械を長持ちさせており、償却済み資産が多いとか。表面的な財務比較をしただけなので、真因まではわかりません。
株主還元
こちらは過去10年で算出
増配率(年率)
花王:9%
P&G:6%
発行済み株式数の減少率(10年トータルでの減少率)
花王:▲10%
P&G:▲13%
増配率は花王の方が優秀でした。花王はコロナ禍でも増配していますし、日本企業とは思えない株主還元意識の高さだと感じます。
まとめ
(億ドル)
項目 | 花王 | P&G |
時価総額 | 291 | 3,232 |
売上高 | 128 | 709 |
総資産 | 163 | 1,207 |
売上成長率 | -1% | -1% |
営業利益成長率 | +1% | +6% |
営業利益率 | 13% | 21% |
営業CFマージン | 14% | 23% |
ROE | 18% | 20% |
増配率 | 9% | 6% |
発行済み株式減少率 | -10% | -13% |