これまでつみたてNISAではなく一般NISAを活用してきましたが、その最大投資枠は600万円で非課税期間は最大10年でした。それが新NISAでは非課税枠は3倍の1800万円に、非課税期間は無期限となります。

NISAでどんな銘柄を買うべきか、以前にも増して真剣に検討する必要があります。

NISAのルールを鑑みると、以下の特徴があると言えます。
①日本株より米国株の方が不利
②成長株より高配当株の方が不利
③投資信託よりETFの方が不利

①NISAで米国株が不利な理由

NISA口座で保有している株式から得られる配当は非課税になります。日本株だと約20%の所得税がまるまる非課税となります。

しかし、米国株の場合は事情が異なります。

米国株の配当は日米それぞれで課税されます。米国10%、日本約20%、合わせて約30%の税金がかかります。が、前者の米10%の税金は外国税額控除によって取り戻すことができるので、実質税率は約20%となります。

問題なのはNISA口座で得られる配当は外国税額控除の適用外ということです。

NISA口座の米国株から受け取る配当には日本の約20%の税金は発生しませんが、米国の10%の税金は発生します。通常ならこの10%の米国課税分は確定申告で取り戻すことができますが、NISA口座の場合はそれができません。

NISAで米国株を買った場合、その配当は完全非課税ではなく米10%は課税されたままということです。

特定口座の米国株の配当税率:実質約20%
NISA口座の米国株の配当税率:10%

となります。

つまり、減税効果は10%相当だけになるんです。

無配株の場合は関係ありませんが、配当株の場合、米株は日本株ほどNISAの恩恵がありません。

②NISAで高配当株が不利な理由

5年かけてNISAで最大投資枠1800万円分を投資したとします。

株価が上がって時価が2000万円になっても2000万円がまるまる非課税枠に残ります。200万円のキャピタルゲインは仮に実現させても非課税です。

NISA口座で1800万円保有していたものが株価はそのままで200万円の配当を出した場合、その配当はやはり非課税でもらえます。が、配当をNISA口座で再投資することはできません。

どちらも200万円の非課税利益があるわけですが、NISA口座の時価残高は前者が2000万円、後者が1800万円です。前者の方が長期的な複利の利益まで非課税で狙いやすいです。

つまり、利益を株主に分配せずに事業再投資ないし自社株買いに使う企業の方がNISAに適していると言えます。換言すると、NISAでは配当よりもキャピタルゲインを狙える銘柄を買った方がお得ということです。

株価上昇が相対的に期待しづらい高配当銘柄をNISAで買うのは非効率と言えます。

③NISAでETFが不利な理由

これは②の延長の話です。

ETFは分配金として利益が所有者に還元される一方で、一般的なインデックスファンドの分配金は所有者には還元されずファンド内で自動再投資されます。

ETFが配当で利益還元される分は、投資信託では基準価格上昇として利益還元されます。

NISAでは配当よりもキャピタルゲインを狙うべきという②の話と同じ理屈から、NISAでETFを買うのは非効率と言えます。

それでも、私が米国・高配当・ETFをNISA口座で買う理由

私はNISAの少なくとも成長投資枠では米国・高配当・ETFを買おうとしています。NISAでもっとも不利な選択です。

なぜか?

日本株より米国株

円安を受けて日本株の財務データをかなり読み込みました。日本株にも魅力的な企業はありましたが、トップラインの成長率、利益率、株主還元などで見て、やはり米株の方が1枚も2枚も上手だと感じました。

バリュエーションを見ると日本株にも大きなチャンスはありそうだと思うものの、安心して長期保有できるのは米国株だと改めて感じました。

2020年代はグロース株より配当株

FRBの利上げスピードは収まるでしょうが、高金利自体は数年は続くのではないか、そう考えるようになってきました。

労働市場の需給は逼迫したままで賃金上昇圧力は簡単には和らぎそうにないです。米国の物価上昇率が以前の2%前後にすぐに戻るのは難しそうです。パウエル議長は2025年にはと言ってますが、もうちょっと時間がかかるのではと予想します。

また、最近は半導体の供給不足などから、モノについては消費者よりも生産者の交渉力が高まっていることを感じます。

たとえば車。日本で新車を買おうと思ったら半年で納車されれば早い方で、2年待ちの車種もあります。車種によっては受注停止になっています。必然、ディーラーに値下げ要求することも難しくなっています。

不動産価格も世界的に高騰しています。

供給に物理的な制約がかかるもの。デジタルではなく目に見えるもの。重力があるもの。これらに投資した方が儲かると思います。アフターコロナの2020年代はそういう時代になるのではと予想します。

逆にもっとも不利だと感じるのは料理宅配アプリなどです。家や車と違って供給に物理的制約がなく、今も熾烈な価格競争が続いています。株主に潤沢な利益が残る気配を感じないです。

もちろん、素人のマクロ経済予想なんて当たる保証はなんらないので、デジタルにも一定の投資は続けます。特に半導体業界への投資は長期目線では欠かせないと思います。

ただ、どちらかと言うとバリュー株中心にポートフォリオを組んだ方がリスク・リターンは改善するのではというのが今の私の考えです。

配当が欲しいからETF

これは経済合理性とは外れるのですが、消費でも投資でも使途を自由に選べる配当が好きなので、私は投資信託よりETF派です。

確かVYMの指数に連動するファンドがあるんでしたっけ(違ったらすみません)。NISAではVYMを買うより、そっちを選んだ方が効率的と言えます。しかし、私はVYMを選ぶでしょう。

税務効率を気にしつつ、慎重にNISA枠を埋めていく

これらの理由から今後の追加投資(追加投資はNISAのみになる予定)ではあまり効率的とは言えない、米国・高配当・ETFの3拍子をあえて選んでいくことになりそうです。

ただ、やはり税務効率の悪さが気になるのは事実です。

なるべく利回りが低い配当ETF、たとえばVIGを優先的にNISAで買うことを検討したいです。

また、NISAで日本株を買うことも選択肢から完全には除外しません。今持っているKDDI、アステラス製薬は十分長期保有に耐えられる銘柄と判断して買いました。

NISAで保有する米国の配当所得については外国税額控除の適用を受けることができない、というのは結構大きなデメリットです。日本株を買えるなら日本株を買った方がNISAの恩恵をフルにenjoyできます。

銘柄を厳選して日本株をNISA口座に入れることも検討の余地ありです。