ちょっとアマゾン凄すぎじゃないですか。決算でもないのに昨日は6%近くも上昇してました。株価はあっという間に3,000ドルの大台を突破。時価総額は1.5兆ドルでアップル、マイクロソフトを射程圏内に入れています。

2020年7月7日現在のアマゾン株(AMZN)の年初来のリターンは+65%で、ほぼ横ばいのS&P500指数を大きくアウトパフォームしてます。私は個別株としてはもちろん、ETFを通じてもアマゾン株には全く投資できておらず、完全に蚊帳の外。楽しそうな宴を眺めているだけです。

コロナ禍が長期投資の結果を早送りで教えてくれました。よく言われることですが、コロナは来たるべき未来を数年早く現実化させたと思います。マイクロソフトのサティア・ナデラCEOは「2年分のデジタル革命が2カ月でやってきた」と言ってましたが、私の感覚としては5年~10年分のデジタル革命に相当すると思います。

コロナ禍でハイテク企業がいかに社会で重要な役割を担っているか、投資家は改めて実感したのでしょう。ナスダック総合指数のリターンは年初来+36%とやはりS&P500指数を大きく引き離しています。ハイテク株への長期投資が正しい判断だったということです。本来10年経たないとわからない長期投資の結果が、予想外に前倒しで発表された感じがします。中学生がタイムマシーンに乗って、未来の大学受験の結果を見れたようなもんです。

私は何とかアップル(AAPL)に投資していたために、ハイテク爆上げの恩恵を少し受けることができています。参入がかなり遅くなりましたが、マイクロソフト(MSFT)にも投資しました。が、アマゾンは持ってません。

現在アマゾン株のPERは140倍もあります。これは割高なのでしょうか?

うーん、わからん。こういうグロース株のバリュエーション判断って難しくないですか?

ただ、一つ言えることは米国債と比べればアマゾン株の方が遥かに魅力的ということです。PER140倍ということは益回りは0.7%(1 / 140)です。0.7%という利回りは現在の米国債(10年)とほぼ同じです。今もっともマーケットから高い評価を受けているアマゾン株でさえ、ようやく米国債に追い付いたレベルです。

アマゾン株と米国債の利回りはほぼ同じです。

どちらに投資すべきでしょうか?

10年以上持つならアマゾン株一択だと思います。

ECとクラウド市場で圧倒的存在感を誇るアマゾン。利回り0.7%と低いけど、今後の増収増益を考えれば今から投資するのも全然ありだと思います。もちろん、民間企業である以上衰退リスクはありますが、その可能性は1%未満じゃないでしょうか。アマゾンなしの世界なんて考えられません。あ、そう言えば、うちの連結会計システムも来年からAWSにお世話になります。

一方で、米国債は0.7%という利回りが固定で提供されます。それはノーリスクという意味ではありません。インフレ率が高まって物価が上昇すれば、実質リターンは下がります。

今のところインフレは起きそうにないですが可能性はあります。どれくらいでしょうか。適当だけど10%くらいの確率でインフレ率が持続的に3%~4%くらいになるかも。とりあえず、アマゾンが衰退する可能性よりもインフレが急伸する可能性の方が高いとは言えるでしょう。

ジャンジャン紙幣を刷っている状態で債券を長期保有するのは結構リスキーだと思います。紙幣を刷って配っているわけですが、誰かがその費用を負担しています。気付かぬ内に。

日本では国民全員に10万円が支給されましたが、そのコストは誰が負担しているのでしょうか。もちろん、日本国民です。日本国民から日本国民への所得移転。ん?どいうこと? 結局、誰が特別給付金の費用を負担しているのでしょうか?

こういう大規模な財政出動のコストを気付かぬ内に負担するのは債券投資家です。預金者含め。今後、債券投資家から株式投資家への所得移転が起きる可能性が高いです。

アマゾン株主は今後10年もウハウハだと思います、多分。一方で、米国債ホルダーはしんどい10年を経験するかもしれません。まだわかりませんが。なんやかんやで米国債の価格はこれまで上がり続けていますし、そのトレンドが変わらない可能性もありますが、沸々と負のエネルギーが溜まっている気がします。

もし今、2000年の頃のように米国債の利回りが5%くらいあれば、「アマゾンは優良企業だけどさすがに割高かも。一部売却して債券買うのもありじゃない?」とか言ってるかも。しかし、現実の金利は1%未満です。インフレリスクも抱えています。

現在のアマゾン株が「買い」か「売り」かはちょっとわかりません。が、PER140倍という数字はそれほど恐れる必要はないと感じます。なんせ、繰り返しですが米国債の価格(利回り)はアマゾンと同じなのですから。