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【T銘柄分析】AT&Tはベルが設立した世界最大の総合通信企業。高配当です。

      2018/06/24

※2017年12月期決算データ反映、BSデータ追加、コメント刷新(2018/4/3)

S&P100構成銘柄を中心に米国企業の業績、財政状態、キャッシュフロー、株主還元状況について過去10年分のデータをグラフ化しています。

データソースはMorningstarです。

今回はAT&T(T)をご紹介します。


   AT&T財務情報

基本情報

会社名 AT&T
ティッカー T
創業 1983年
上場 1983年
決算 12月
本社所在地 テキサス州
従業員数 268,540
セクター 電気通信
S&P格付 BBB+
監査法人 EY
ダウ30 ×
S&P100
S&P500
ナスダック100 ×
ラッセル1000

地域別売上高

米国内売上が95%。
他、ブラジル、メキシコ、ラテンアメリカ。

 

セグメント別売上構成比

 

業績

 

キャッシュフロー

 

バランスシート

資産

負債純資産

 

株主還元

 

連続増配年数

33年

 

バリュエーション指標等(2018/4/3時点)

PER:7.3倍 最新情報はこちら

配当利回り:5.7% 最新情報はこちら

配当性向:58% 最新情報はこちら

 

感想

AT&Tはグラハム・ベルが1876年に設立した電話会社が前身の総合通信事業会社です。かつてアメリカ・カナダの電話事業を独占していたことから1974年に反トラスト法で訴訟を起こされ、結局1984年に各地域会社に分割されました。2005年に昔傘下にあったSBCコミュニケーションズに買収され今のAT&Tとなりました。ブランド自体は”AT&T”が残り続けていますが、2005年を以ってベルが設立したAT&Tは終焉を迎えたことになります。

通信インフラビジネスは常に需要がある安定ビジネスではありますが高い成長は望めません。ワイヤレス通信市場はすでに飽和状態で、業界トップのAT&Tとベライゾンはそれぞれ将来の成長の種をまこうと努力しています。アップルiPhoneの販売台数が頭打ちになっていることから分かる通り、携帯電話・スマホ市場は飽和気味です。AT&Tは次の成長ファクターとして、コンテンツビジネスに活路を見出しています。

2015年に衛星放送大手のディレクTVを買収しました。

また、2016年秋にタイムワーナー買収を発表しました。買収金額は約850億ドルです。トランプ大統領はAT&TがCNNを擁するタイムワーナーを買収すると、AT&Tの市場支配力が高まり過ぎると懸念を表明していました。トランプ大統領の影響力がどれほどあるか分かりませんが、司法省はこの買収を阻止しようと動いています。

この訴訟はAT&Tに有利という向きが多いです。反トラスト法(=独占禁止法)の目的は資本家が強くなり過ぎて消費者利益が損なわれることを防ぐことです。なので、水平的統合には厳しいです。同業種企業間での合併・統合です。こうなると同じ製品・サービスで、消費者が取り得る選択肢が狭まることで企業側(資本家側)は売価を吊り上げることが可能になります。一方で、今回のAT&Tによるタイムワーナー買収は異なる業種間の垂直統合です。AT&Tはコンテンツ配給をタイムワーナーはコンテンツ作成を担っています。よって、今回の訴訟は政治的な思惑が相当絡んでいると思われます。

 

 

財務データを確認してみましょう。

売上高は過去10年ほぼ横ばいで推移していますが、FY16からやや増収となっていますね。ディレクTVの買収が寄与しています。直近FY17の売上高は1610億ドルでした。なお、AT&Tは米国内売上高が9割超を占めるので為替の影響は受けません。粗利率はやや減少傾向にありますが、依然として50%超を確保しています。

FY17に純利益・EPSが大幅に上昇しPERは7倍となっていますが、これは一時的な特殊要因によるものです。法人減税に伴って繰延税金負債の再評価益を計上しています。GAAPベースのEPSは4.76ドルですが、特別損益調整後のNon-GAAPベースの調整後EPSは3.05ドルでした。調整後EPSに基づくPERは約11倍です。それでも低いPERですね。ま、高配当な成熟企業ですからPER11倍でも一概に割安とは言えません。

営業CFは安定しています。インフラとしての通信ネットワーク事業で得られる安定収入があるのでキャッシュは安定しています。一方で、どうしても一定の設備投資が必要になるので営業CFに比べてフリーCFはやや少な目です。設備投資が多額に発生することは一般的にはネガティブに捉えられがちですが、莫大な設備投資が必要だからこそ他社の参入が不可能と言える面もあります。営業CFマージンは25%超あって高収益です。

バランスシートを見てみましょう。総資産のうち80%超が固定資産です。これは主に2つあります。1つが基地局やその周辺設備などの有形固定資産です。もう一つが無形資産で、これは恐らくFCC(アメリカ通信連邦委員会)ライセンスだと思われます。自己資本比率は30%ほどです。当局承認が下りればタイムワーナー買収資金が必要ですし、5Gへの移行に向けて光ファイバー網への追加投資も必要になります。さらなるデット・ファイナンスは不可避に思います。

株主還元は問題ありません。連続増配33年の配当貴族です。ここ3年ほど自社株買いはほとんど実施してませんが、利回りが高いので配当だけで十分満足できるレベルです。ただ、増配率は2%程度が続いており今後も大きな増配は期待できないでしょう。

 

AT&Tは競合のベライゾンよりもドラスティックな事業改革を実行している印象があります。具体的にはM&Aですね。前述しましたが、最近ではディレクTVとタイムワーナーが大型案件で、ベライゾンのヤフー買収よりも買収金額が一桁大きいです。

タイムワーナーの買収が成立すればAT&Tのワイヤレス通信事業の比率は大きく減少することが想定されます。コンテンツビジネスに大きく舵を切る(特にモバイル)わけですが、それがどれほど収益を生むのかウォール街は注目しています。

AT&Tの通信事業ビジネスは今後も安定キャッシュを生み出すでしょうが、その売上比率は年々下がっていくことでしょう。AT&T株の投資リターンは、現在推進しているコンテンツビジネスがうまくいくかどうかに掛かっていると思います。

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