大学なんてもはや行く意味ない、学歴なんて不要だ、と言われることも多い昨今。コロナ禍で大学授業もリモートになり、リアルな人間関係のない大学生活に高い金を払う意味なんてないと不満を持っている学生さんは多くいることかと思います。

ネットを駆使すれば自分でいくらでも勉強できるのは事実。有名海外大学の授業でさえ受講できると聞きます。

ただ、私はこれからの時代、学歴はより重要になってくると思います。

人間の労働が収益を生み出す機会はどんどん減っています。特に大組織に勤めるサラリーパーソンなんて、自分が収益を生み出している実感なんて皆無ではないでしょうか。間接部門にいる私なんて特にそうです。

でも、そういうもんだと思います。2020年で終戦75年目を迎えます。ありがたいことに先進国は大きな戦争はなく平和です。おかげさまで企業が生み出す有形財、技術、知識などは破壊されることなく維持、アップデートされ、今日の私たちの豊かな生活を提供してくれています。

スマホを始めとしたテクノロジー、ソフトウェアの進化が決定打になったでしょうか。いや、AIが本当の決定打か。単純労働は急速に不要になっています。

世の中、程度の差はあれ大半の人の仕事は単純労働な面があると思います。もちろん自分も含め(一応会計士ですが)。

高学歴で頭が良い(勉強スキルが高い)
=仕事ができて世の中に価値を生んでいる
=高給を得る資格がある

こういうロジックはもう通用しなくなってきたと感じます。

高学歴も低学歴も関係なく、みな等しく人間の労働は世の中に価値を生み出せなくなりつつある。

でも、だからこそ、逆説的ですが学歴が重要になってきます。

というのも、仕事のスキルどうこうよりも、社会が生み出す資源の配分をより多く受けられる立場に身を置くことが肝要で、そのためには高学歴を得て生産性の高い大企業に潜り込むことが一番手っ取り早いからです。

他の条件が同じなら、保守的に学歴が高い人を優先的に採用することは多いでしょう。特に新卒採用では。それを差別どうこういってもしゃーないと思います。

『鬼滅の刃』みたいな圧倒的コンテンツを作って社会に価値を生み出せる人はいいけど、そうじゃない世の中の99%の人は少しでも生産性の高い組織に入って、その組織が生み出す価値のおこぼれを頂くというサバイバル戦略が有効だと思います。

時が経てば経つほど、過去の遺産、仕組みが生み出すキャッシュが多くなり、現役世代の努力のインパクトは小さくなります。

それは豊かさの証でもあって、だからこそベーシックインカムやMMTなどの議論も出てくるわけです。

自分が価値を生むことにリソースを振り向けるよりも、社会が半自動で生み出す価値の恩恵を少しでも多く預かるために上手く立ち振る舞うことにリソースを割いた方が、経済的に安定する可能性が高いと思います。

つまらん発想と思われるかもしれませんが、これが現実だというのが今の私の認識です。どんどん社会主義的になっていくのではと。Z世代、ミレニアム世代の多くがリベラル化しているのは偶然ではなく時代の流れです。

リベラル、つまり大きな政府による所得再配分に重きを置くとはいえ、すべての人が不満を持たないように資源を再配分するのは土台無理です。自ら富を掴みに行く努力は必要。その努力の方向性を誤らないことです。

営業利益率15%を超えるような生産性の高い企業の門をくぐれるように勉強して学歴を得ておく。また、そういう優良企業の株を買っておく。こうやって、世の中をグルグル流れる富が、少しでも多く自分の口座に流れ込んでおく状態を作ることが、経済的に豊かに生きる上で必要なことかなと思います。

イーロン・マスクみたいな一部の超天才は自ら新たな価値を生んで金持ちになれますが、私みたいな凡人は、富の配分を少しでも多く受けられる居場所を見つけ、日常生活に不便しない程度の小金を得て、後は自分なりの幸せを見つければいいや~という発想を持ちますね。

非常に意識低い系の発想ですが、これが正直な私の今の価値観です。意識低い系こそ、学歴が必要というのは皮肉なことです。