自称有能な新人が役員に歯向かうという愚行
部下に対して威圧的に接して、遅くまで無理に働かせるような体育会系な社風の会社は風前の灯火ですね。今はワークライフバランスを重視する人が増えたし、たとえ給料が高くてもそんな過重労働企業に入りたいと思う学生は少数派です。
あと、インターネットの口コミなどによって外面だけを良く見せて人を集めることも難しくなったのもあります。ブラック企業は結局競争力を失って衰退していく運命です。良いことです。
会社の競争力を高めるには、風通しの良い社内環境を整える必要があると多く会社が認識しています。うちの会社もそんな風潮があります。昔より働きやすくなったと感じます。
それは基本的にはいいことだと思いますよ。年長者、上司に対する礼儀は当然必要だけども、ビジネスではきちんと自分の意見を言う。経験豊富な人の意見が必ずしも正しいとは限りませんし。役職の垣根を超えて若手も発言しやすい雰囲気作りは大切だとは思います。
が、出しゃばり過ぎるのは良くない。日本では出る杭をすぐに打つという同調圧力がいけないと言われます。ただ、打ってもよい杭もあると思います。
というのも、役職が付いていない若手は何ら結果責任を問われないじゃないですか。そういうリスクフリーの立場の人が、上司や会社の意思決定に対して文句を言う資格はないと思うんです。
数年前のことですが、うちの会社の20代前半の若い人がとある役員の判断に食って掛かって議論していました(経理部ではない)。まれにいる超意識高い系の新人君ですね。こういう時、「うるさいお前は黙っとけ!!」なんて言おうもんならすぐにパワハラ扱いされるから面倒な時代です。それなりに対応してあげないといけない。
周りから白い目で見られても自分の意見を主張するその根性はすごいなあと思いますが、出しゃばり過ぎです。たとえその若者が米有名大学MBA出身の超秀才だったとしても、役員の意思決定に反論すべきではないです。
なぜなら、意思決定の結果に対して責任を負っているのは役員であって、その新人君ではないからです。
自分の意見を言うのは全然いいし、偉い人と議論するのも大いに結構。ただ最終意思決定権は結果責任を負っている役員にしかありません。
どれだけ高学歴で(自称)優秀であろうとも、事業リスクを負っていない雇われ身分という認識は持っていた方がいいと思います。結果責任を問われるのはせいぜい管理職になってからです。もっと言うと責任を取るのは経営者と株主だけとも言えますが、そこまで言うとちょっと極論なので。
リスクを負ってる人が、リスクを負っていない人にとやかく言われる筋合いはない。
勤め人はある程度組織の上に登らないと、結果責任を問われることはありません。たとえ上の立場になっても雇用が守られているという意味では(特に日本企業は)、完全に結果責任を負うことはありません。
平社員でも自分の業務範囲の中での小さな意思決定は、自分で責任持って下さないといけませんが。
株式会社制度とはそういうもんですね。安月給だと文句を言う前に、自分がいかにリスクフリーの立場なのか客観的に認知したほうがいいです。リスクなくしてリターンはないです。
仕事より株の方が頑張る気になる
ここに仕事のモチベーション維持の困難さがあります。良く言えばミスしても経済的な責任を問われないということですが、悪く言えば頑張っても追加の報酬はないということです。
こんなリスク・リワードが低位安定している状態で、どれだけ仕事にコミットできるか。金銭報酬以外がすべてではない、自分の仕事が世の中に役に立っているんだと自分に言い聞かせるしかありません。
それで労働意欲をドライブできる人とできない人とがいますね。私はどちらかと言うとできないタイプです。
専門知識が生かせる経理の仕事にありつけて有り難いと感謝してますが、自分に与えられたタスク以上のことまでやる気はないです。出る杭になって目立つ気なんてサラサラない。淡々とやるべきことをやってなるべく定時に帰る。
部長の意思決定に口出しなんて絶対しません。反論したいことは結構ありますがw。そう結構あるんですよね。ブログだから言いますけど。資金調達方法、コンサルの決定方法、システム導入、人事異動など。もし自分がCFOだったらこんな意思決定はしないなあと思うことはあります。
でも当然何も言いません。結果責任を取るはCFOです。仮に自分の意見の方が合理的だとしても(その可能性は低いが)、結果責任を取れない私にCFO、部長クラスの財務意思決定に口出しする資格はないです。
雇われの歯車としての役割を全うするのみ。つまらないけど、リスクを負ってないんだから、会社の経営に深くコミットする資格はないしそのモチベーションもない。会社員って自分がリスクを取ってないから、仕事がつまらないと感じることが多いのではと思います。
そう考えると株式投資って貴重なツールなんです。投資は自己責任とよく言われますが、ホントその通り。銘柄選択、投資タイミングをミスって損するのは自分。結果責任を負っているから真剣に考えます。そして、うまいこと運用できたら、その投資リターンはすべて自分に帰属します。
あなたのポートフォリオを決める資格があるのはあなただけです。どこぞのブロガーにも専門家にも友人にも、つべこべ指図される筋合いはない。その代わり全結果責任を取るのもあなた自身です。だから投資はエキサイティングで楽しいですね。
サラリーマンとして、身を引き締められる記事でした。
仕事に自信がついてくると、役員方に対しても少し態度が大きくなっちゃったり。
意見するのも大事ですが、意見の伝え方も大事だよなと自戒したことがあります。
自分の身を守る為にも、相手の心象を悪くしないようなバランス感覚を磨けたらと。
自分の意見をはっきり言うことは大切だと思いますが、意思決定する権利は自分にはないと立場を客観視することは必要だと思っています。
難しいのは、意思決定権がないのにはっきり意見を言うモチベーションが湧かないことです。
そんなこと考えてるの私だけかもしれませんが。
資本主義の構造、株式会社制度とかを知り過ぎると労働者不適合になりますw
バランス感覚、本音と建前は大事ですね、サラリーマン社会では。