世の中の仕事をミクロとマクロで区分することがあります。ミクロとは顧客との距離が近いことを、マクロとは顧客との距離が遠いことを意味します。両者は完全に2分できるわけではなく程度の問題です。

ミクロの仕事はお金を頂くお客さんとの距離が近く、直接コミュニケーションを取る機会も多いです。具体的には医師、コンサルタントなど。コンビニの店員、塾講師、保育士なんかもミクロに該当します。

一方で、マクロの仕事はお金を頂くお客さんとの距離が遠く、直接コミュニケーションをとる機会はほぼありません。間接的に価値を提供します。

首相や日銀総裁はマクロ仕事の頂点です。顧客は日本国民全員です。自分の意思決定一つが1億人以上の生活に影響を及ぼします。FRB議長は世界80億人の経済に影響を及ぼすと言えます。

私も含めた大半のサラリーパーソンもマクロに該当します。会社という組織を通じて顧客に価値を提供するしかないからです。経理の私なんて、自社の商品を買っている顧客に会ったことは一度もないし、BtoBなので自社の製品を見る機会すらほぼありません。

あくまで一般論ですがミクロの仕事は低収入、マクロの仕事は高収入になりやすいです。

ミクロは数人~数十人の顧客にしか価値を提供しないですが、マクロの仕事は間接的により多くの人に価値を提供できるからです。別にマクロの仕事に価値があると言いたいわけではなく、性質の違いを言っているだけです。

ただミクロの仕事でも給料が高いケースはあって医師や弁護士がそれに該当します。時間単価がもの凄く高いので、一つの顧客に対して多額の売上を立てることができます。

ミクロかマクロか、高収入か低収入かの2軸を基準に独断で職業をマッピングしてみました。

ミクロの職業の方がやりがいは感じやすいと思います。お客さんから直接感謝されることが多いからです。その反面、直接クレームを言われることもあってストレスフルとも言えますが。

マクロの仕事は典型的には大企業勤め人です。従業員数千人、数万人の大組織の歯車として日々働いているものの、自分の仕事がどう世の中の役に立っているか実感を持ちづらい。ファンドマネージャーや投資家はマクロに属します。

勤め人の給料が高いか低いかは会社によりけりですが、一般的にマクロの仕事は高給なことが多いです。売上が単価×数量では決まらず青天井だからです。

マクロの仕事はぬるま湯的な環境なことも多いです。ホワイト企業の窓際とか。一人一人の仕事が最終アウトプットに与える影響があまりに小さいため、少しくらいサボる奴がいても会社はビクともしません。

それくらい余裕のある環境だと心理的安全性は確保できるものの、なんだか日々の仕事に張り合いがないというか、つまらないという感覚に陥りがちです。給料もらえるんだから文句言うなって話ではありますが。

個人的には「ミクロ、高収入、低ストレス」という条件がそろった仕事が理想です。でも、そんな甘い話は世の中ありません。お客さんから直接高額のお金をもらうということは、強いプレッシャーのもと懸命に仕事をせねばならないに決まってます。そういう環境を楽しいと思えないと続けることは難しいでしょう。

どのポジショニングが最適かは人それぞれ。往々にして隣の芝生は青く見えるものです。今の環境を失って初めて、今まで自分がどれだけ恵まれた立場だったのか気づくこともあるでしょう。一方で、全くチャレンジしない人生も嫌だという心理もあります。

私はいま大企業勤め人兼投資家というダブルマクロの状態です。正直仕事のやりがいを感じることはほとんどないですが(幸い数字を扱うのは好きだけど)、ストレスの割に収入(労働収入+資本収入)はまあまあ満足です。

現状満足なら今のままでいいではないか。

確かに。

でもちょっとミクロの仕事に憧れがあります。お金はさておき、「誰かの役に立っている」という実感を持てるかどうかって大切だと思うんですよね。

これまで自分が勉強してきたこと経験してきたことを、ミクロの世界で社会に還元する方法を探したいです。老後の危機感はお金ではなくそこです、個人的には。NISAで積立投資では解決できません。