入山先生の『世界標準の経営理論』は一家に一冊の名著ですが、その中に「知の深化」と「知の探索」という概念が出てきます。前者は狭く深く自分の専門知識を磨くこと。後者は自分の専門外に足を踏み入れて、広く浅く知識の幅を広げること。

入山先生は組織にとっては、特に後者の「知の探索」が重要だとおっしゃています。本業とは直接には関係しない認知の範囲外にあるものを探索することで、将来の稼ぎの種を発掘できると。グーグルの20%ルールなんかがその例でしょうか。

これは個人としても大切かなと思います。意識しないとどうしても自分の仕事の専門領域についての勉強ばかりやっちゃいます。それは(少なくとも短期的には)合理的な行動なので仕方ないこと。私だったら書店に行ったら大抵はファイナンス系のコーナーに先ず行っちゃいますし。

でも色んな世界を知った方が楽しいですよね。あんま将来のキャリアのためとか仰々しく考えて「知の探索」をやろうとするよりも、好奇心というか単純に自分が知らない世界も知りたいな思うことが多いです、個人的には。

ただ普段仕事、プライベートと忙しくて時間がない中で、自分の専門外の知識を吸収し続けるのは簡単なことではありません。年末に本を読むくらいしかできないかもしれません。

そこで、私が思う「知の探索」を日常的に行う手段を2つ紹介(提案)したいと思います。

①株式投資をする
②NewsPicksのオリジナルコンテンツを読む(月額1500円)

①株式投資をする

MSCIのグローバル産業分類基準は業界分類を以下の11個に分けています。

エネルギー
素材
産業(資本財)
一般消費財
生活必需品
ヘルスケア
金融
情報技術
コミュニケーション・サービス
公益
不動産

漏れだぶりはほとんどない分類に思います。きっとあなたが働く業界も上記のうちのどれかに該当するはず。私もしっかり該当します。

寝る時間を除けば、普段は仕事に割く時間がもっとも多いはず。あなたはあなたが働く業界については深い知識、見識をお持ちかと思います。

逆に言うと、自分が所属する業界以外(10 /11)についてはほとんど無知な可能性があります。この社会は分業で成り立っているのでそれで全然構わないわけですが、「視点」をたくさん持っていたほうが楽しいと私は思います。

そこで株式投資が役立ちます。分散投資が基本ですから、どこか一つの業界に集中投資することはないでしょう。

大切なお金を賭けているわけですから、自分が投資する企業のことはしっかり調べることになると思います。特に個別株投資をする場合は。

業界情報、財務データなど、わざわざ専門書を読まなくとも、今はググればたくさん情報が出てきます。そういうのを日々調べ、そして実際に身銭を切る中で、業界について詳しくなっていきます。

2016年に米株を始めましたが、当時よりは格段に知識が増えたと思います。

株式投資をやる目的は金儲けであって勉強のためではありませんが、勉強なくして投資の成功は難しいので、嫌でも知識は増えていきます。

株式投資は視野を広げてくれます。

②NewsPicksのオリジナルコンテンツを読む

「知の探索」をルーティン化するには、普段読むコンテンツが重要です。新聞やネットニュース、ツイッターなどあなたもいつも読んでいるものがあると思います。

私がオススメしたいのがNewsPicksです。

月額1500円払ってプレミアム会員になると、NewsPicksのオリジナルコンテンツを読めるのですが、これが非常に為になる。

コンサル業界の最近の潮流、半導体入門、外交問題、米大統領選、新型コロナのワクチンについての科学、シリコンバレーのトップVCについて、「ジョブ型」とこれからの働き方、口腔ケア、クラシック音楽

などなど、ぱっと思い付くだけで最近こんな特集記事を読ませていただきました。全部記憶しているわけではありませんが、どの特集も知らないことだらけでまさに「知の探索」をしている気分になります。

特に先月の半導体特集はすっごく勉強になって、これを機に少し半導体業界に投資しようかと検討もしているところです。

日経新聞やウォールストリートジャーナルなど客観的なファクトの報道とはちょっと違って、ビジュアルや動画を駆使して新たな視点を読者に与えようとしてくれるのがNewsPicksのいいところ。

素晴らしいアプリだと思います。プレミアム会員になって1年ちょっとでしょうか。もう完全にファンになっちゃいました。たまに荒削りだなと感じる記事もありますが(笑)、全体的に記事のクオリティは高いと感じます。

「365日分の差は大きい」というのは日経のキャッチコピーですが、NewsPicksにこそ当てはまると思います。