7,000円で買ったゼルダが4,900円で売れたよ!

1年くらい前かな、任天堂スイッチの『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』を買いました。7千円くらいでした。小学生の頃64の「時のオカリナ」の自由度に感動し遊び尽くしましたが、それを遥かに超える自由なオープンワールドと美しい自然のグラフィックに驚きました。今は社会人でなかなかゲームの時間は取れませんが、とりあえず全クリはしました。やり込み要素をこなすのは無理でしたが。

もうこれ以上ゼルダをやる予定はなかったので、売却してお小遣いにしようかなと思いました。んで、この前新宿のブックオフに下取りをお願いにしに行ったんですが、その買値に驚きました。買取価格はなんと4,900円!

まじで!?って思いました。新品で7千円くらいで買った記憶がありますが、それが中古で5千円で売れるもんですか。ブックオフは利益取れるんでしょうか。6千円くらいで売るのかな。粗利率低いけど、まあそんなもんなのかな。想定を遥かに超える買取価格でした。小さな金額とは言え、思わぬ冬の追加ボーナスで嬉しかったです。

さて、中古のゲームソフトが高値で売れる理由は2つあるかなと思います。

①物理的な劣化が起きない
②品質の透明性が高い

①物理的な劣化が起きない

現代のゲームソフトはほとんど物理的に劣化しませんよね。これが年数を経ても価値が減価しない理由の一つでしょう。人気がなくなって内容が陳腐化することはあっても、食べ物や飲み物みたいな消費期限はありません。

僕らが子どもの頃に流行ったスーパーファミコンだと、ソフトの物理的な劣化は結構問題でした。ソフトによってはすぐにセーブデータが消えてしまうことがあったし。外観からはわからず、使ってみないと当たり外れはわかりません。最低限の品質チェックは買取店舗が行ってはいますが。プレイステーションなどのCDロム型のソフトも、ディスクに傷がついて使えなくなることが稀にありました。

それに引き換え、任天堂スイッチのソフトは小さなカード型なので、よほど荒っぽい使い方をしない限りソフトが機能しなくなることはありません。

②品質の透明性が高い

アカロフのレモン市場という言葉をご存知でしょうか。レモンとはアメリカの俗語で質の悪い中古車を指します。売り手と買い手の情報格差が激しく、結果として値段の割に品質の低い中古商品が多く出回り、不健全になった市場を指します。

中古車は見た目は綺麗でも中身はガタガタのリスクがあります。走行距離メーターが巻き戻されていることもあります。エンジンやブレーキ、ミッションなどの劣化は素人にはわかりません。売り手はガタがきている中古車でも見た目さえピカピカにしていれば、知識のない買い手に高値で売りさばくことができます。

買い手が商品の品質を理解できないと健全な中古市場は成立しません。

車は品質がバラバラです。品質レベルが100段階あって、今レベル3、17、26、34、44、49、58、67の中古車があるとします。この場合、買い手はまともに動くか動かないか、綺麗か汚いかくらいしかわからず、品質44と58の違いを区別することは困難です。

対して、ゲームや書籍は品質がゼロイチの世界です。つまり、作動するかしないか、読めるか読めないかです。ゲームはちゃんと動けば、後は品質の高いも低いもありません。普通に起動するなら、中古ソフトと新品ソフトの違いはないに等しいです。もしゲームが適切に起動しなかったら、レシートを持って店舗に言えば返金にも応じてくれるでしょう。変ないざこざにはならなさそうです。本も一緒ですね。多少表紙が汚れていても、読めれば新品の本と価値は変わりません。

ゲームソフトは消費者が品質を見極めるためのコストがほぼゼロのため、中古市場が成立しやすいです。つまり、消費者のリスク認識が低く価格にディスカウントが入らないため、中古品でも高値が付きやすいということです。業績が安定しているディフェンシブ株の株価が高いのに似ています。

少し株の話に寄り道しつつ・・

中古ゲームの雑談で終わらせようと思いましたが、株の話に波及させたくなり追記しています。

ゲームソフトは価値が保存されやすく、かつ健全な中古市場が成立しやすいわけですが、株式はその点さらに優秀ですね。7千円で買ったゲームが5千円で売れるのも十分立派ですが、株式は減価どころか日々価値が上がっていきます。上場企業であれば監査済みの財務データが公開されており、誰でも株式の品質を数字で確認することができます。 透明性も高い。

ただ、株式はそれ自体に利用価値がないから単純にゲームソフトと比較するのはおかしいですかね。そういう意味ではやっぱりゲームソフトは凄いわ。ゼルダの伝説を実質2千円で楽しめたってことですから。

よく思うんですが、ゲームソフトってめちゃくちゃ安いですよね。スイッチのゼルダは本当に良くできた作品ですよ。開発者の努力がひしひしと伝わってきます。あれだけ楽しいゲームを7千円(実質2千円)でプレイできるなんて不思議です。スーファミ時代により遥かにクオリティが上がっていますが、ソフト1本の値段はさほど変わっていませんよね。テクノロジーの進歩が、事業者ではなく消費者の利益になる典型例だなと感じます。つまり、投資家としてはちょっと避けたい業界だなw。