長期投資で大切なことは第一に銘柄選び、商品選びであって、投資タイミングは二の次です。ですが、タイミングを無視していいとは思ってません。買値も重要です。割安で買えないとしても、明らかな割高水準で投資してしまうのは避けたいところ。
どの程度の株価が妥当なのか?
株価は将来の利益を基礎に決まるものですから、EPSと株価を比較したPERがもっとも参考になります。
どの程度のPERが妥当なレベルなのか?
黄金銘柄に支払う対価は、PERで20倍から30倍までが妥当だろう。
ジェレミー・シーゲル著『株式投資の未来』
PERが20倍を超えるような普通株をいつも買っているような人は、長期的には多額の損失を被ることになるだろう。
ベン・グレアム、デビッド・ドッド著『証券分析』
ふむふむ、PER20倍ってのが一つの目安なのか。ブルーチップであってもPERが20倍を超えたら少し気を付けよう。30倍を超えたらかなり警戒しないとな。
ところで、一つ気になることがあります。上の書籍で言っている「PER」とは実績PERなのかそれとも予想PERなのか、どっちなのでしょうか?
過去12か月の利益に基づく実績PER、今後12カ月の予想利益に基づく予想PER、どっちを見るかで結構数字は変わってきます。普通は予想PERの方が低くなります。利益は年々成長するものですから、昨年より今年の方がEPSは高いことが多く、結果として実績PERよりも予想PERの方が低くなります。
予想PERでは25倍だけど、実績PERでは30倍を超えているケースなんてよく見ます。
『株式投資の未来』を改めて読んでみましたが、特に注記はありません。ってことは、普通に考えるとシーゲル氏は実績PERを前提にしているのでしょう。
僕は予想PERをよく見ます。米国株銘柄分析で記載しているのも予想PERです。実績PERは一時的な要因(減損や税制関連など)で異常値になっていることがよくあるからです。
だから、予想PERばかり見てるわけですが、予想PERが妥当だからって安心しない方が良さそうです。しかも、ヤフーファイナンスの予想PERって当期の予想EPSではなく、翌期の予想EPSをもとに算出されているようだし。
いつも米ヤフーファイナンスで予想PERをチェックしていますが、少し割り引いて考えた方がよさそうです。予想PERが24倍程度でも、一時要因を排除した実績ベースで見ると30倍を超えているかもしれないし。予想ではなく実績ベースでPER20~30倍が妥当な買い値の範疇と考えた方が安全です。できれば20倍台前半で抑えたい。
ただ、繰り返しですが、とにかく実績PERにはノイズが含まれているのがネックです。たとえば、CVSヘルスをヤフーファイナンスで検索すると、実績PER(Trailing P/E)は”N/A”と表示されています。これは減損損失でFY18の純利益がマイナスとなり、実績PERが算出不能になっているからです。これは極端なケースですが、実績PERが異常値なり得ることがわかりますよね。だから、予想PERを見た方が判断誤りを防げると思います。
実績PERで20倍~30倍が妥当とシーゲル氏は言っていますが、予想PERでは少し割り引いて17倍~27倍くらいを目安にするといいかな。いくら優良株と言えども、予想PERが20倍台後半を超えるようなら一度立ち止まって考えようと思います(アマゾンなどの高成長企業は例外)。