バンガードが2019年4月26日付で以下のETFの経費率を引き下げました。

注目はS&P500指数連動のVOOと、米国株式市場全体に投資できるVTIでしょうか。年間経費率0.04%から0.03%に改定。一体ETFの価格競争はどこまで行くのやら。投資家としては有り難い限りです。

そしてさらに嬉しい続報までありました。5月30日付でバンガード・米国増配株式ETF(VIG)の経費率が0.08%から0.06%に下がりました。私はVIGを120万円(2019年のNISA枠をすべて充当)保有していますし、今後も買い増す可能性が高いので、これはとても嬉しいニュースです。

さすがバンガード。
ジョン・ボーグル氏の功績は本当に偉大です。

手放しに喜んでいいニュースのように思いますが、実はそうでもないんです。非常に不安です。バンガードが強すぎて不安を感じます。私は競合ブラックロック(BLK)の株主だからです。

ブラックロックのS&P500指数連動のETFはiシェアーズシリーズのIVVという商品ですが、経費率は0.04%です。バンガードが0.03%に引き下げたということは、恐らくブラックロックも追随するでしょう。それは取りも直さず、ブラックロック社の利益が減少することを意味します。

iシェアーズブランドの買収によって、ブラックロック社は運用資産額で業界トップの地位に上り詰めました。資産額が増えると流動性が高まり、それが投資家の資金を呼び込みます。運用資産が増えると経費率を引き下げても収益を確保できるようになります。コスト低下が更なる投資資金を呼び込みます。良い循環が生まれます。

SECの規制をクリアして新規でETFを設定するのはそれなりにコストがかかるもので、中小運用会社にとっての負担は小さくありません。潤沢な宣伝予算を確保できるのも大手だけ。 と、こんな感じで資産運用会社はビジネス構造的に強者総取りになる傾向があります。 これも一種のネットワーク効果と言えるかもしれません。それはBLKの過去のPL、キャッシュフロー、株主リターンにしっかり見て取れます。非常に優秀な財務データです。

そんな背景があって、私は金融セクターとして唯一BLKだけ保有することにしました。ウェルズ・ファーゴやバンクオブアメリカなどの伝統的な銀行株よりも、資産運用会社の方がビジネス内容がわかりやすく、かつ未来を想像し易かったです。低コストパッシブ運用に資金が集まる流れは変わらないと思います。最大手のブラックロックには広い経済的な壕があります。

が、不安もあります。
その筆頭が競合バンガードの存在です。ETFのコスト競争でブラックロックの先を行く存在です。

競合がいるから不安、なんて言ってたらどんな銘柄にも投資できなくなります。儲かるビジネスにはみんな参入したがるものだから、必ず競合は表れるもの。ただ、バンガードは一般的な株式会社ではなく、自社で運用するファンドがバンガードを所有するという一風変わった所有構造を持っています。外部株主が不在ということですね。そのため、バンガードは株主利益を気にして手数料引き下げを躊躇するということはありません。

バンガードと競争しなきゃならないのはブラックロックとして仕方ないことだけど、なんか同じ土俵で闘っていない気がするんですよね。

ブラックロックへの長期投資で最大のリスク要因は、競合バンガードの存在だと思います。VIG投資家としてはバンガードにがんばって欲しい気持ちもあるものの、やはり100万円以上を投資しているブラックロックの業績の方が私にとっては重要です。

バンガードさん、どうかお手柔らかにお願いします・・。あ、でもVIGのコスト引き下げは感謝してます。