「リスク許容度は人それぞれ。投資する前にあなたのリスク許容度がどれくらいか考えましょう」

投資本などでよくこのように言われることがあります。

大事なことだし異論はないですが、「リスク許容度」という概念が抽象的過ぎて分かりづらいと思いませんか? リスク許容度って数字で表現しづらいじゃないですか。

リスクとリターンは表裏一体です。リスクを考えるということは、リターンを考えることと同義です。リターンはリスクよりも考えやすいです。なぜなら、数字で表現できるから。年3%のリターンが欲しい、いや10%は欲しいといった感じで。

なので、自分のリスク許容度を把握する前に、期待リターンを決める方がより実践的だと思います。期待リターンが高ければ、必然的に取るべきリスクも高くなります。年10%のリターンが欲しければ、ポートフォリオに債券を入れている余裕はないでしょう。逆に年3%のリターンでよければ、ポートフォリオの半分は債券でも問題ないでしょう。

期待リターンが決まればポートフォリオのリスクがぼんやり見えてきます。そのリスクが高過ぎて怖いと思えば、期待リターンを下げる必要があります。そうやって、自分なりにリターンとリスクのバランスを取っていけばいいと思います。

いきなりリスクを考えるのは難しいです。先ずは期待リターンを設定して、それを達成するためのリスクを負えるかどうかを考えるといいのかなって思います。

私はインフレ調整後の実質で7%のリターンが欲しいと考えています。欲を言えば10%以上欲しいと思ったこともありますが、この3年間マーケットの厳しい現実を目の当たりにしてそこまで甘いことは考えなくなりました。10年で購買力を2倍にできれば御の字です。

そのためにはリスク資産のすべてを株式にする必要があると考え、債券はゼロにしました。優良大型株に限定し、かつ分散の効いたポートフォリオにすれば許容可能なリスクと判断しました。今のところ、この判断に誤りはなかったと思っています。株価が下落してしんどい時もありますが、体調を壊して鬱になるようなことはありません。