イエレン氏のFRB議長の任期は来年2018年2月で切れます。
次期FRB議長を巡って憶測が飛び交っています。もうじきトランプ大統領が次期FRB議長を発表する予定です。ジェーロ・パウエル理事の可能性がやや高いようですが、イエレン議長留任の可能性も十分あります。
もう一人、FRB議長候補として名前が挙がっている方がいます。スタンフォード大学経済学部のジョン・テイラー教授です。
テイラー氏はFRBの今までの金融政策に否定的な見解を示しており、「FRBはもっと早期に利上げに着手すべきだった」と述べています。FRBはリーマンショック後の景気回復を確認して2015年から利上げを開始しましたが、テイラー氏は2009年終盤の時点で利上げは可能だったと主張しています。
これについて、経済専門家でもない素人投資家の僕が意見を挟む余地もありません・・。
テイラー教授は、予想経済成長率やインフレ率などの経済要因を使って客観的に政策金利を決めるべきだという考えを持っています。通称テイラールール。
で、そのテイラールールの数式がどんなものかは知りません。ググれば色々と情報出てくるかもしれませんが、多分理解できないしそんなに興味もないのでそこはパスさせて下さい笑。
結論だけですみませんが、テイラールールに基づいて計算すれば現在(2017年10月時点)の適正な政策金利は2.5%~3.0%だそうです。実際の今の政策金利は1.0%~1.25%です。
なんと、テイラールールによって計算される金利水準は現行の2倍以上なのです!
このテイラールールが正しいか正しくないか判断するなんて私には無理ですが、FRB議長候補になるほどの学者が提唱されている理論ということで注目に値すると思います。
テイラールールによれば現在の適正政策金利は2.5%~3.0%か、そうなのかあ。。
これを知ってふと思ったことがあります。
ああ、最近は米株は割高割高って言われ続けているけど、まだまだ株価は上がるんじゃないか。
米国株は決して割高なんかじゃない、むしろ割安かもしれないぞ!
って思いました。
今の金利水準から見て米国株は割安かもしれない。
バフェットは最近こう言っています。
米国株はバブルの領域にない。金利と比較すればまだ割安な方だ。
ウォーレン・バフェット
この金利との比較は最近よく言われます。米国株の予想PERは18倍で歴史的に見て高水準だけど、低金利がその高いバリュエーションを正当化させていると。
確かにその通りなのかもしれません。
株式益回りと10年物国債利回りは等しくなるという理論があります(FEDモデル)。
株式益回りとはPERの逆数で株式の収益率を示すものです。PER20倍なら株式益回りは5%(1/20×100)です。
FEDモデルが本当に正しいかどうかはわかりませんが参考にはなります。株式の方がリスクは高いので、株式益回りの方が国債利回りよりも高くなりがちではあります。ただ、株式益回りと10年物国債利回りとを比較する価値はあると思います。
ということで、現在のS&P500の株式益回りと国債利回りを比較してみましょう。
現在のS&P500の予想PER18倍から算出される益回りは5.6%です。
(5.6%=1/18×100)
一方で、現在の10年国債利回りは2.4%です。
ここ最近国債利回りは上昇していますが、それでもなお2.4%です。
比較するとこうなります。
↓
5.6%(S&P500株式益回り) >> 2.4%(10年物国債利回り)
株式益回りの方が圧倒的に高いです。株式益回りの方が高いこと自体は自然なのですが、かなり格差がありますね。
ちょっと抽象的な説明になってすみません。もう少し具体的に考えてみましょう。
高配当ディフェンシブ株のAT&Tの配当利回りは5.5%あります。
あなたに質問したいことがあります。
「配当利回り5.5%のAT&T株と、利回り2.4%の10年物米国債どちらに投資したいですか?」
人それぞれ色んな意見があるでしょうね。あなたはどう思いますか?
AT&Tはディフェンシブ株とは言え株式である以上、株価はそれなりに変動します。でも5.5%という配当は魅力的ですよね。
米国債のリターンは2.4%相当の固定利息しかありませんが安定収益です。債券価格も市中金利変動に応じて変動しますがね。
私ですか?
私ならAT&T株を買いますかね。10年持つならAT&T株の方がリターン高そうですもの。
あなたはどうですか?
まあ、人それぞれ意見があるはずで何が正しいという答えはありません。
一つ言えることがあります。それはマーケットは合理的だから、AT&Tの株価も米国債の価格(利回り)も適正値になっているはずだということです。
そうですよね、AT&T株も米国債も極めて流動性は高いです。両者の価格は適正にプライシングされていると考えるべきです。
・・・
・・・
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・・・
・・・
果たしてマーケットは本当に合理的なのでしょうか!?
配当利回り5.5%のAT&T株と利回り2.4%の国債。これが並存している状態は本当に合理的なのでしょうか?
こんなに金利が低いにも関わらず、AT&T株は5.5%もの配当利回りを提供しています。AT&TのPERは16倍ほどですが、そこから導き出されるAT&T株の益回りは6.3%です。
6.3%(AT&T株益回り) >>> 2.4%(10年物米国債利回り)
益回りで見ればよりAT&T株の優勢が際立ちます。
株式の方がリスクが高いと見られるので株式益回りの方が国債利回りより高いのは自然です。だけど、、あまりに株式益回りの方が高過ぎだと思いませんか?
「いやいや~、でもマーケットは合理的なはずだからAT&T株の株価は妥当なはずだよ」という冷静な意見を持ちたくなるところです。マーケットは正しいはずという謙虚な気持ちを持つことは大切です。
でもマーケットは株式に対して過度にリスクを感じているのかもしれませんよ。
最近、尊敬する堀古英司氏がブログ「ウォール街から~米国株の魅力~」でこんなことをおっしゃっていました。
投資家の多くが金融危機を境に株式への投資というものに対して、必要以上のリスクを感じるようになった
なるほど、リーマンショックの影響はまだまだ残っているというご意見です。
S&P500は過去最高値を更新しまくっていますが、それでもなお米株価は割安水準なのかもしれません。割安は言い過ぎだとしても、割高ではないと言えるのではないでしょうか。
テイラールールによれば現在の適正金利は2.5%~3.0%とのことです。政策金利がこの水準であれば、10年国債利回りは適当にプラス1%とすれば3.5%~4.0%です。
仮に10年国債利回りが4.0%だったとすれば、S&P500の益回り5.6%と結構近似してきます。
今の米国株価はテイラールールによる相対的に高い政策金利(2.5%~3.0%)くらいで正当化される水準なんじゃないでしょうか。テイラー教授が主張する高い金利を見ると「あり得ない!」と思うかもしれませんが、それは最近の低金利環境で脳が麻痺しているだけかもしれません。
今の米株式バリュエーションから考えれば、短期金利は2.5%前後あっても何ら不思議ではありません。
バフェットが言う通り、今の金利水準から見れば米国株はまだ割安な可能性があります。そして、なぜそんな割安水準で放置されているかと言えば、堀古氏が言う通り金融危機を過度に恐れているからかもしれません。
最近のWSJでは30年前のブラックマンデーの話題が多いです。30年前の暴落でさえまだ話題に上がります。ましてや、10年前のリーマンショックの記憶はまだまだトレーダー、個人投資家の脳裏に焼き付いていることでしょう。
真実はわかりませんが、米国株投資を続ければ報われるはずです。
株式リターンの源泉はリスクです。マーケットが過度にリスクを高めていればその時リスクをとった投資家は高いリターンを得られます。高いリスクを取ったことに対する正当なリターンです。
米株価は最高値を更新しており、どちらかと言えば市場には慢心が広がっていると見られがちです。
でも、、果たして本当にそうなのでしょうか。市場に慢心はあるのでしょうか。債券利回りが2.4%しかない現在、S&P500の益回りが5.6%もあるというのに本当に市場が油断していると言えるのでしょうか?
真実は将来にならないとわかりません。
特に、将来のインフレ率がどうなるかに掛かっているだろうと個人的には思っています。長期金利は期待インフレ率に左右されます。つまり、株式市場はほどほどのインフレ率を織り込んでいるように見えるけれど、債券市場は今の低インフレが続くことを予想しているように見えるということです。
なんでこんな不合理なことが起こるのでしょうか?
米国マーケットが機能していない?
いやいや、そんなわけありません。堀古氏が言う通り、リーマンショックの記憶が米国株に対するリスク認識を過度に高めているのかもしれませんね。
マーケットのリスク認識が高いということは長期投資家にとっては高リターンを得るチャンスとなります。100年後、「2010年~2020年は株式の時代だった」と言われているかもしれません。もしかしたら、私たちはとても幸福な時代に株式投資を行っているのかもしれません。
何が真実かはわかりません。一つ確実に言えることは、長期的に見て米国株をショートして勝った投資家は未だかつて存在しないということです。
地道に続けましょう、米国株投資を。個別株であれETF・投資信託であれ、社会に価値を生んでいる企業にリスク資本を提供し続ければ必ず報われるはずです。少なくとも米国企業は過去常に株主に報いてきました。今後それが変わる理由はありません。
米国株投資を続けていればガッチリお金を稼げるはずです。そして、稼いだお金をきちんと社会に循環させて(自分の好きなことに使って)一度の人生楽しく過ごしましょう。
以前は「今は株価が上昇し過ぎて割高かなぁ。買うには迷うなぁ。」という心理でしたが、資本主義社会が続く限り(短期的には割高でも)米国はいつ、どのタイミングで買ってもいいのだ!と安心して投資できるのがいいですね。
ブログの記事やコメント欄に「生涯投資家」の話題が出ていたので、この前の土曜日に日本橋の丸善で買いました。 これからゆっくり読んでいこうと思います。
チェルシーさん、こんばんは。
株価が上がっているとどうしても投資を躊躇してしまいますよね。
「3か月前に投資していればもっと安く買えたはずなのに」と思ってしまうことは多々あります。
JNJなんてそんな理由でずっと買えずじまいです。
米国株はいつから始めても長期的には常にリターンを提供してくれました。
その実績が安心感を与えてくれますよね。
『生涯投資家』はとても勉強になる本でした。
村上氏のコーポレートガバナンスに対する熱意に感服します。
世間のイメージはハゲタカファンドマネージャーかもしれませんが、全くそんなことはありません。
誠実真面目で仕事熱心、日本企業の将来を我が子のように本気で考えているまさに「生涯投資家」な方です。
読み応えのある本なので、是非楽しんで読んでみて下さい。
投資家としてとても勉強になります。
日本橋の丸善懐かしいです。
昔常連でした。
日本橋のスタバ(銀座寄りの交差点にある)は休日人が少なくて好きでした。
おはようございます
確かに今買うとしたらTですよね。今はTにつぎ込んでいます。まず長期的に持てば報われるデータと私も考えます
IBMがやっと上がってきました。ヒロさんの言葉を胸に、耐えるのも仕事だと思い、140台で買い増しさえしました結果、少しだけ報われてきました、PER,利回り、自社株買を考えればこんなにいい株はないんだ、と自分に言い聞かせました。ヒロさんに御礼申し上げます。
ところでヒロさんは最近のKO
をどう考えますか? 自分は色々な指標を見ているわけではないのですがちょっとPERたかすぎかな?という感じがします バフェットプレミアムとシーゲルプレミアムが載っているんでしょうか?
確かに大胆な仕事の変革の最中と考えれば良いですが、IBMは同様に改革の最中でバフェットマイナスプレミアムが載って、PER10台前半と考えると
もしバフェットがIBMみたいに売ったら暴落しそうな感じがします。
こんばんは。
AT&Tの利回りは魅力的ですよね。
今の低インフレを考えれば、もう配当だけで十分ですという心境です。
ベライゾンやAT&Tなどネットワークを抑えているインフラ系は、長期投資に向いているそうです。
最近ブロガーさんの記事を読んで勉強しました。
地味で成長余地が限られますが、だからこそ長期保有の妙味がありますよね。
短気的な結果を求められるファンドマネージャーはTに投資して待っている余裕なんてありませんから。
年金基金はTを選ぶことも多いでしょうけど。
TやVZは長期志向の個人投資家のために存在する銘柄みたいなもんですね。
私もTは投資候補です。
IBM株価一気に160ドルまで戻しましたね。
あの程度のサプライズで10%近く上がるのですから、どれだけ売り込まれていたかがよくわかります。
IBMが社会に付加価値を生む限り。IBMにリスク資本を提供している投資家は報われるはずです。
バリュエーションで見ればIBMは大変お買い得に見えます。
160ドルの今でも割安に見えます。
KOやPMなどは優良企業ですがPERは高いですよね。
IBMのような低PERの優良企業もポートフォリオい欲しいなと思って私は投資しました。
コカ・コーラのご質問の件、お気持ちよくわかります。私も同じこと考えたことがあります。
やはりPERで見ると市場平均を超えていますし、高いリターンが得られるとなかなか思えないですよね。
バフェットプレミアムもあるし、何より高収益で利益の安全性も高いので株価は下がりません。
PERが20倍を超えている以上、短期的なリターンは市場平均を下回る可能性を覚悟する必要があると思います。
債券の代替的存在と言われるだけあって、債券に近いリターンになることを覚悟すべきかなと。
ただ、信用サイクルのどの期間にあっても常に高水準のキャッシュを稼ぐことができるので、長期でみると景気循環銘柄をアウトパフォームするだろうと期待しています。
今のボトリング事業のフランチャイズ化などもそうですが、優良大企業は莫大なキャッシュと信用を活かして環境変化に対応しやすいです。
「変化に対応できるものだけが生き残る」とは生物だけでなく企業にも当てはまります。
変化に最も対応できる企業とは、金のなる木からキャッシュがわんさか振ってくるような成熟大企業だと思います。
そこがKOのような銘柄を長期保有する魅力かなと思います。
最近のWMTだって資金力があるからアマゾンに対抗できています。
そういった大企業の強みは短期的なリターンを生まないので、早く投資で儲けたい投資家には不人気です。
バリュエーションが高くて買われているように見えて、実は実力ほど買われていない可能性もあるかなと思います。
ちょっと屁理屈こねている面があるかもしれませんが、KOのような大型株は長期保有では今後も強いと期待しています。
いつも勉強させていただいております。
色々なブログやコラム記事等で、米国株は定期的に暴落をむかえてきた、
前回(リーマンショック)から10年程経過した現在においてはそろそろいつ暴落が来てもおかしくない、という論調を目にします。
上記に関し、米国株が定期的に暴落をむかえてきてたというのもわかります。
しかし、忘れられがちですが、昨年2016年の1月~2月にかけてのチャイナショック、あれって個人的には結構な暴落だったと思うんですよね。その後トランプ大統領当選まで、なかなか悲惨な投資成績でした。
よって実は定期的にやってくる暴落は既に終わっていて、株価は再び長期間に渡る上昇トレンドが始まっているのでは・・・と個人的に考えております。
こんばんは。
いつもお世話になります。
7の付く年は株式市場にとって不吉な年だと言われますね。
1987年のブラックマンデー、1997年のアジア通貨危機、2007年のリーマンショック(の引き金となったBNPバリパショック)
2017年も残すところあと2か月。このまま何事もなく2017年が終わってくれることを願います。
最近の暴落としてはITバブル崩壊とリーマンショックがあります。
私はこの2つはかなり特殊な事情によるものと思っています。
ITバブルは今のビットコインバブルに相当することが株式マーケットで起こりました。
名前に「.com」が付くだけで資金が集まるなんて信じられません。
ITバブル当時、ハイテク株以外のバリュエーションは普通だったと言われます。
リーマンショックは銀行が信用を確認せずに信用創造を繰り返したことが原因です。
適当に信用創造して証券化してすぐにオフバランスする、しかもそのオフバランスされた証券化商品に「AAA」評価が付くなんてやはり常軌を逸しています。
「歴史は繰り返す」とは言いますが、さすがにたった10年で同じ過ちを繰り返すとは思えません。
政府は金融規制をかなり厳しくしましたし。
2016年のチャイナショックもおっしゃる通り、結構な暴落でしたよね。
私は暴落直前にVTを100万円ほど買ってしまって、今でも思い出したくない嫌な思い出です・・。
信用サイクルの浮き沈みは必ずあるものですが、リーマンショック並みの信用危機はそう簡単には起きないと思っています。
米国発は少なくともないかと。
あるとしたら中国かなあ。
でも中国は目先の経済状況は良好なので、信用が破裂するにしてもかなり後になるかと考えています。
貴重なご意見ありがとうございました。