長期投資では株価を気にし過ぎることなく、収益性の高いビジネスを営んでいる優良企業の株を忍耐強く持ち続けることが大切です。
投資の神様ウォーレン・バフェットはこんなことを言っています。
たとえ10年間市場が閉鎖されるとしても構わないと思える企業だけを買いなさい。
ウォーレン・バフェット
我々の市場性のある株式に対する投資が成功しているかどうかは、毎日はおろか年間の株価でもなく、その事業の営業成績によって判断している。
ウォーレン・バフェット
なんかさ、株価を気にしない投資家はカッコイイみたいに聞こえまえんか(笑)?
そんなことないと思います。保有銘柄やS&P500の株価を毎日チェックするのは健全なことです。そりゃ、株価変動で毎日一喜一憂して慌てるのはよくないですが、株価をチェックすること自体は長期投資家としても必要なことだと思います。
長期投資家も株価をチェックすべき理由は大きく2つあると考えています。
①なるべく「投資額当たりの」配当を最大化するため
②将来の減配リスクを感じ取るため
①なるべく「投資額当たりの」配当を最大化するため
私たちサラリーマン投資家は、ある時点でドカッと投資して永久保有するわけじゃありません。そうできれば理想かもしれませんが、普通は投資資金がないところからスタートです。毎月の給与から頑張って投資資金を捻出して、投資していくことになります。
2週間に1回、毎月、3ヵ月に1回、半年に1回、投資の頻度は人それぞれですが、一定のスパンでコツコツと資金をマーケットに投入していくというスタンスはサラリーマン投資家共通だと思います。
長期投資では、期間全体での投資額当たりの配当総額を最大化(要はあなたが受け取る配当が最大になればいい)させることが重要です。それにあたっては、これからもずっと増配し続けてくれる強い銘柄をチョイスすることが先ず重要ですが、「投資額当たりの」というくだりも重要です。
いくら増配力がある企業でも配当利回り0.1%で(そんな株ないけど)投資してしまえば、あなたの「投資額当たりの」配当は大きくなりません。いくら強い企業でも買値をミスれば高いリターンは無理です。高いリターンが無理とはつまり、「投資額当たりの」配当総額が大して増えないということです。
株価を日々チェックしていると、「この企業の配当利回りはだいたいこれくらいだな~」という感覚を覚えてきます。たとえば、ベライゾンコミュニケーションズ(VZ)はここ5年間は4%~5%あたりをウロウロしています。そんなVZが利回り6%まで売られれば、さすがに割安感を感じます。利回り6%のVZは長期的な「投資額当たりの」配当総額を増やすという投資戦略に貢献してくれそうです。逆に4%を切ればちょっと割高感があるように感じます。
まあ、配当利回りだけでバリュエーションを判断するのは危険なのであくまで参考程度ですがね。(期待)インフレ率が上がれば、配当利回りが上がっても割安とは言えませんし。
底値で買って短期的なキャピタルゲインを喜ぶために、こうやって株価をウォッチ(配当利回りをウォッチ)するのではありません。長期投資で大事なのはあくまでも配当です。「投資額当たりの」配当を最大化するために株価をウォッチするわけです。
「投資額当たりの配当(つまり配当利回り)=DPS / 株価」ですから。
この計算式の分母に株価がある以上、株価を完全に無視するわけにはいきません。
②将来の減配リスクを感じ取るため
配当に着目した投資戦略を成功させるには、減配しない銘柄を選ぶことが重要です。
でも減配しない銘柄を予め把握することは不可能です。タイムマシンがないと無理です。優良企業を選んで投資したからって、完全に放置して無思考にホールドすればいいってもんじゃありません。減配のリスクがかなり高いのではと判断したら、売却することも視野にいれるべきです。
バフェットは「たとえ10年間市場が閉鎖されるとしても構わないと思える企業だけを買いなさい。」と言っています。この発言自体には賛成なのですが、実際に10年間市場が閉鎖したかのように振る舞うことが適切とは思いません。
「バフェット先生がおっしゃる通り、俺は10年間は完全放置で株価なんて見ないぜ~」という姿勢は危険だと思います。実際に市場は開いていて株価は日々公開されているわけですから、せっかくならその株価から読み取れる情報を投資判断に活かした方が良いですよね。
株価下落は将来の減配リスクを示唆してくれます。何の理由もなしに株価が下がることはありません。株式マーケットは人間の欲望が渦巻いている場所ですから売りが売りを呼んで過剰に売られることは多いですが、それでも何かネガティブな要素があるから株が売られるわけです。その事実を過小評価せずにマーケットの判断を真摯に受け止めた方が健全だと思います。
株価暴落=将来の減配ってわけじゃありません。20世紀後半、訴訟による資金繰り懸念からフィリップモリスの株価は何度も暴落しましたが、同社は結局一度も減配することなく一貫して増配し続けてきました。一方で2017年、ゼネラル・エレクトリックの株価が暴落しましたが、マーケットが予感した通り同社は配当を半分カットしました。
株価が下落しているからと言って、その情報だけで将来の減配を予測することは先ず不可能です。ただ、せっかく株価があなたにアラートを出してくれているのですから、それを無視する理由はありません。そのアラートを受け取って、PLやキャッシュフローを見て減配リスクありと判断して、先んじて売却できればそれは賢明な投資行動です。
ま、難しいですけどね。どれだけ株価が暴落したとしても、連続増配が50年を超えるような優良企業が減配するとはなかなか想定できないとは思います。個人投資家が減配を確信できる頃には株価はすでにその減配を100%織り込んでいる可能性が高いです。それでは時すでに遅し。ただ株価を毎日ウォッチしていることで、将来の減配リスクに対してアンテナを張ることができます。それが有事の際の迅速な行動に繋がるはずです。
ちなみに、私は自分の保有銘柄でも減配リスクを常に気にしています。売られがちな不人気銘柄に積極的に投資しているので。株価が急落しても慌てて投げ売りすることはしませんが、その急落が長期的な業績の悪化を示唆していれば気にします。で実際に決算を見て営業CFが大幅にマイナスになるような事態が起こっていれば、いくら長期投資とは言え売却することを真剣に検討します。
株価暴落は緊急地震速報みたいなもんです。大抵は地震は来ないか、来ても小さな地震で大したことありません。でもいつ震度7の大地震が来るかわかりません、特に関東地域は。だから、キュインキュインキュインっていうあのトラウマになりそうなアラート音を軽視するわけにはいきません。音が出ない設定にするわけにはいきません。緊急地震速報を無視することなく、常に慎重な姿勢でいる必要があります。
私にとっては個別銘柄の投資は難しいです。
株式投資が趣味なので、銘柄分析が面倒だとかないのですが、バフェットがIBMを売却したり、日本株では高配当株の東京電力みたいなこともあるので、優良銘柄の集まりであるS&P500で平均を取れればいいのかなと自分の中で納得しております。
てっとり早く儲けたい人にとっては地味で、配当利回りが大したことないので物足りないかもしれませんが、私の場合はS&P500の投資が一番安心できる投資対象です。
この記事は個別銘柄に投資する人向けな面がありましたね。
1つ目のなるべく投資額当たりの配当(分配金)を最大化するという点において、インデックス投資家もある程度株価を見ておくことは必要かもしれません。
でも、そんな毎日ウォッチする必要なんて全然ないですね。
S&P500もかつては分配金利回りが5%以上あった時期があったそうな。今後どうなるか注目しています。
個人的には経済全体が成熟化していくにつれて、S&P500の利回りも上昇していくかな~と推測しています。
時間コストを掛けずに投資を継続できるのがインデックス投資最大のメリットです。
S&P500が一番安心できる投資対象というのは私も完全同意です。
2つ目の減配リスクについては、インデックスであれば全く気にする必要ありません。てか気にしようがありませんね。