4月20日、マールボロなどのブランドで有名な大手たばこ会社のフィリップモリス(PM)の株価が暴落しました。一時17%を超える下落となり、終値では▲15%の85ドルでした。PMの1日の下落幅としては約10年ぶりの水準で、ディフェンシブ性の高い成熟企業であることを考えれば「暴落」と呼んでよいでしょう。

いつも夜中になるとスマホで主要銘柄の株価をチェックするのが習慣になっていますが、さすがに昨夜はビックリ仰天しました。「どんだけ決算悪かったんや!!」ってちょっと不安になりました。だって15%以上も下落してるんですから。その波及でブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)やアルトリアグループ(MO)の株価もPMほどじゃないですが軒並み下落していました。

日経新聞にも載るし、有名ブロガーさんが即座に関連記事を上げてくださるので株価暴落の原因はすぐに分かりました。

・世界的にたばこ出荷量が減少していること
・日本でアイコスの売上高が伸び悩んでいる
という2点が暴落の理由みたいです。

なるほどと思いました。特に後者ですね。フィリップモリスは紙巻きたばこの生産を止めて加熱式たばこに注力する経営方針を掲げています。なのでアイコスがシェアを拡大できるか否かは死活問題です。日本でアイコスが受け入れられなければ、グローバルの加熱式たばこ市場で勝てないのではないかとマーケットは不安に陥ってPM株を叩き売ったようです。その不安は何となく分かります。

私はPM株を約200万円保有しており、ポートフォリオ全体の10%を占める主力銘柄の一つです。15%の下落ということは金額でいうと30万円です。一夜にして30万円が吹っ飛びました。アルトリアグループ(MO)株も同じく約200万円保有しているので、両銘柄合わせたら50万円くらいは株式時価が下落したことでしょう。

く、、50万円か。。50万円は大金です。50万円あればうまくやり繰りすれば半年は生活できます。そんな月収を超える資産がたった数時間で(含み損とは言え)溶けちゃいました。辛いのは辛いですよ。ですが、そんなに焦ってもいません。もちろんPM株を手放す気はありません。

僕が暴落するPM株を手放さない理由、それは以下の数式で表現できます。

200万円×4.2%≒170万円×5.0%

暴落前のPMの配当利回りは4.2%でした。今回の暴落で配当利回りは5.0%まで上がっています。僕のPM株の時価は200万円から170万円に暴落しました。でも、配当利回りは4.2%から5.0%に高騰しました。何が言いたいか言うと、株価は下がったけど既存のPM株から受け取る配当金額は何ら変わっていないということです。減配しないという条件付きですが。

200万円×4.2%=170万円×5.0%=約8.4万円です。PM株から年間で8.4万円の配当を貰えるという事実は、暴落前も暴落後も変わりません。だから、PM株の暴落に対してそんなに動揺はしていません。資産が減るのは嬉しいことではありませんが、別に失望もしてません。

減配しない限り、株価下落は配当利回りを上昇させます。利回りが上がっている時にコツコツと追加投資をすることで株数が増えてより配当が増えます。その配当をさらに再投資し続ければいつか億万長者に!・・・なれるかどうかは分かりませんが、配当が維持されると期待できる限り株価下落で慌てて売らない方が賢明です。逆に減配懸念があるなら売却も視野に入れるべきです。

もし仮にPMに減配の恐れが出てくれば、それはかなり焦ります。どうでしょうか、アイコスの売れ行きが鈍いことで将来的に減配のリスクはあるでしょうか。あるかないかと聞かれれば、そりゃそのリスクはありますよ。

PMは毎年莫大な営業CFを稼いでいる優良企業ですが、だからといって減配リスクがゼロなわけじゃありません。配当性向は80%を超えているし、純資産がマイナスで財務面も安全とは言い難いです。毎年営業CFを安定して稼いで、それをそのまま株主に返還することで配当を維持しています。営業CFがすべてです。この莫大な営業CFが途切れることがあれば、いくらPMと言えども減配を余儀なくされます。

ではPMはこれからも引き続き莫大な営業CFを稼ぎ続けることができるのか?
熾烈な加熱式たばこ市場で勝者でいれるのか?

それは分かりません。そのリスクを引き受けてリスク資産を投じることが株式投資というものです。そのリスクを引き受けるからこそ、将来美味しい果実を摘むことができます(うまく行けば)。

PMはこれからも減配することなく株主に配当を払い続けてくれると信じています。だからPM株は手放しません。無思考に何でもかんでも長期保有ならOKと思っているわけではなく、これから30年50年と配当を出し続けてくれると思うから保有し続けます。

PMは実質的に40年以上も増配し続けてきた企業です。その間、訴訟やたばこ需要の減退懸念から何度も今回の様な暴落を演じてきました。1999年には損害賠償命令を出されて30%以上も暴落し、2002年には同じく訴訟問題から20%以上も暴落しました。過去を振り返れば昨夜の15%の下落なんて驚くほどではありません(そんなこと言ってる僕は驚きましたけどねw)。

常にマーケットから不安視され続けてきたたばこ業界ですが、最後は消費者ニーズということです。たばこを求める顧客が存在し続ける限り、たばこは売れ続けPMにはガンガンキャッシュが入ってきて結局配当は維持されてきました。維持どころか増え続けてきました。

市場でもっとも高くつくものは「今度ばかりは違う(This time it’s different)」です。これはジョン・テンプルトンの言葉です。「今度ばかりは違う」のでしょうか?
今度こそ本当にPMの未来は危うく、売上・利益は低迷してついには減配になってしまうのでしょうか?

私はそうは思いません。人生で一度もタバコを吸ったことがない素人投資家の意見で恐縮ですが、50年後も世界中で人々がプカプカとたばこを吹かせて一服している様子が目に浮かびます。たばこが消えるとは思えません。たばこは世の中に必要とされ続けると思います。

ただ、フィリップモリスのアイコスが売れるのかどうかはよく分かりません。実は今回の暴落で不安になって、会社の喫煙者に緊急アンケート取りました(笑)。「ぶっちゃけアイコスってどうですか?」って。そしたらね、、意外と評判悪かったですね。グローの方が良いと答える人が複数いました。「アイコスが売れなくても不思議じゃない」って回答は結構多かったです。理由はあまり追求できませんでしたが。

まーでもだからってPM株を売却する予定は今はありません。決算も特に悪くはなかったし、上で述べましたが過去何度も業績を不安視されつつも稼ぎ続けてきた実績があります。これからも配当を出し続けてくれると信じてPM株はホールドです。売りません。

むしろ、今月少し買い増そうかな~と検討しています。めちゃくちゃ積極的にはなれませんがね。昨夜の暴落でPM株が割安に見えているかもしれませんが、そんなことはありません。税制改革の影響を排除した2017年度の調整後EPSは4.72ドルでした。そこから計算されるPERは18倍です。S&P500平均とほぼ同等です。PMの利益成長力を考えれば、S&P500平均と同等のPERというのは割安とは言えません。ただ、同じ生活必需品セクターのコカ・コーラ(KO)やペプシコ(PEP)より割安感はありますね。PERだけで見ればですが。

慌てて売りもせず、慌てて爆買いすることもせず(てか買う資金がない)、今回時価が下落した分を埋め合わせるくらい買い増してもいいかな~と考え中です。