私はマルクスの『資本論』を読破したことはありません。
そんなインテリな人間ではありませんので。
最近、池上彰さんや佐藤優さんが資本論を分かり易く解説している書籍を多く書かれているので、それらを読んでちょっと勉強させて頂きました。
給料は労働者の再生産費用
マルクスは、資本論の中で労働者に支払われる給料とは労働者の再生産費用だと言いました。
再生産費用とは、これからも労働者に元気に働いてもらうための費用ということです。
労働者が明日以降も変わらずしっかり働いてももらうには、きちんとご飯を食べて栄養を摂って、少しはお酒でも飲んで気晴らししてもらう必要があります。
また、妻や子供を養う費用も必要です。
これは、次の世代の労働者を生産するための費用だと解釈できます。
給料とは仕事の頑張りに報いる資本家からの謝意というよりは、これからも労働者をこき使うために仕方なく払っている費用なのです。
極めて資本家都合に決められている金額ということです。
雇われる側の労働者が弱者なので、それは仕方ないことかもしれませんが。
もちろんこの資本論は一つの解釈に過ぎませんが、日本企業の給料決定原理はこの資本論が当てはまる面が多々あると思っています。
なぜ、配偶者手当、住宅手当などが多くの大企業にはあるのでしょうか?
同じ仕事をしていても、家族持ちの人のほうが給料が多いのはなぜでしょうか?
このマルクスの理論で説明できると思いませんか?
仕事への貢献度も給料決定の一因でしょうけど、妻や子供がいるか否かという家庭事情によっても給料は増減します。
妻や子供がいる人は標準生活費(労働者の再生産費用)が高いから、その分企業は(資本家)は多めに給料を払うよ、ということです。
たまに怖くなります。
私は不勉強なので、この資本論の考え方を社会人になってから知りました。
でも恐らくね、上場企業のCEOを勤めるような優秀な方々は学生時代からこの資本論を知っているはずです。
表面的には「社員は会社の宝、人財だ!」とか言いながら、実は心の奥底ではこの資本論の考え方に傾倒している社長も多くいるのではと思っています。
残業はお得な取引!?
最近はブラック企業という言葉も流行ったくらい、世の中の庶民の景気はアベノミクスでも回復しておらず、厳しい経済環境の方も多くいます。
残業してもサービス残業で、残業代なんて貰えないよ!という方も多くいると思います。
この記事は、残業すればきちんと残業代を貰える恵まれた環境で働いている人向けになるかもしれません。
関係ないと感じる人は、この先を読む必要はありません。
このまま話を続けます。
資本論の考え方を敷衍すると、残業代とはどういう費用なのでしょうか?
資本家にとって、労働者に支払う残業代とはどういう意味を持つでしょうか?
給料とは労働者の再生産費用と言いました。
残業代も労働者の再生産費用なのです。
定時が18時なのに21時まで残業したら疲れますよね?
その疲れを癒して明日また元気に出社してもらうための費用が残業代だと解釈できます。
ということは、フルに残業代を請求できるとしたら労働者にお得だと思いませんか?
残業代の単価を2,500円だとします。
3時間残業したら、7,500円もらえます。
3時間残業したら、確かに疲れますがその疲れを癒すために7,500円も使いますか?
私なら、ちょっと贅沢して会社帰りにサントリー金麦ではなくプレモル買おうかなって思うくらいです(笑)。
金麦からプレモルに変更する追加コストは100円くらいです。
残業して溜まった疲れを癒すための追加コストは100円です。
残業代は7,500円。
7,500円- 100円=7,400円
7,400円も利益が出ますね!
3時間残業したからって、ストレス解消のために会社帰りにキャバクラ行きますか?
残業の疲れはキャバクラでしか癒されないという人には、残業は有利な取引ではありませんね。
キャバクラは少なくとも1万円はかかりますから。
7,500円 – 10,000円 = △2,500円
赤字です。
でも普通は疲れたから早く帰ろってなりませんか?
むしろ残業しない方が、アフターファイブに遊びに行く時間があってお金がかかるくらいではないでしょうか?
お金よりも大切なのは時間
お金よりも大切なのは時間です。
その時間を犠牲にしてまで、残業をする必要があるのか?
ないと思います。
ましてや残業代のために残業するとか愚の骨頂。
世間の真面目なサラリーマンの方々は、やむを得ず残業している方も多くいると思います。
そんな時はこのマルクスの資本論を思い出してほしいです。
普段は資本家に搾取される立場の我々労働者ですが、残業は資本家から搾取されているわけではないと解釈もできます。
単なる気の持ちようかもしれませんが。
もし残業代をきちんと請求できるホワイトな環境に運よくいるのであれば、ガンガン仕事頑張って残業代を稼ぎまくる戦略もありだと思います。
常識ある生活を送っていれば、残業代は必ず余剰資金になるはずです。
それを株式投資に回してあなたが資本家の立場になればいいのです。
残業して資本家からお金を搾取して、自分が資本家になるという作戦は資本主義社会を生き抜く手段として有効だと思います。
資本論で考えると、残業は労働者にとって善なのです。
「残業は悪」、「できる人は定時に帰る」とか頻繁に書籍等で言われるので、ちょっと違った視点で書いてみました。
残業代とは名ばかりではないでしょうか
マルクスは労働価値以上の働きが資本家の利益だと、要は残業です
そこで残業代と言って企業は金を出しますが、結局は給料が低く設定されています
むしろ資本主義の仕組みを隠しているようなものではないでしょうか?
そうですね。長く働くインセンティブを与えて、1円でも多く搾取する手段という見方もできるかもしれませんね。
どのような報酬体系であれ、資本家が労働者を搾取するという構図は不変。
出世して給料が上がるほど相対的な搾取率は上がっていきます。ある意味でwin-winと言えるかもしれせん。
最近は労働者よりもITが搾取の対象となり、それが「働き方改革」という社会の流れを醸成している背景だと思っています。
それは労働解放という意味で素晴らしいことに思えますが、富が労働者に配分されることが大前提です。
しかし、そんな優しい資本家はおらず、貧富の差が拡大する時代が続きそうです。