30年レベルの長期間を見据えた株式投資では、購入タイミングの巧拙が最終投資リターンに与える影響は小さいと言われます。
割安で買えた買えなかったということよりも、結局どれだけの配当を受け取ることができたかが時間の経過とともにより重要になってきます。
なぜなら、期間を永久と見ると株式のリターンとは配当でしかないからです。投資期間が長期になればなれるほどその「永久」に近づくわけですから、どうしても投資リターンは配当に依存することになります、特に有配の成熟企業への投資の場合は。
投資家の株式保有期間が長くなればなるほど、投資価値に対する割引率の重要性は低下し、企業収益と配当実績の影響が大きくなる。
チャールズ・エリス著『敗者のゲーム』より抜粋
そう、だからさ長期投資家のあなたは投資タイミングなんて気にしなくていいってこと!
・・・
とは言え。
とは言え、、短期的な購入タイミングを計ってしまうのが人の性かもしれません。
こんな記事を書いている私も「あの銘柄利回り高まっていいタイミングに見えるな~」とか「もうちょっと待った方が株価下がるかな~」とか普通に考えます。そうやって悩んでいるうちに、投資タイミングを逸してきたことも何度もあります(最近のMCDとかさ!)。
ただ、やはり改めて思ったのですが、特に米国株投資(というより外国株投資)では割安なタイミングを狙って投資するなんて無理だなってことです。
なぜって、それは為替。
やはり適度に時間分散しながら長期を見据えてコツコツ優良株に投資していくしかないですね。
5月1日(月)の深夜にベライゾンコミュニケーションズ(VZ)株に追加投資しました。
@45.98ドルで100株。日本円で約50万円相当です。
VZに投資するのは2回目です。初めてVZ株を買ったのは去年2016年の秋頃で、VTとの入替として60万円ほど購入しました。
その時の買値は46.4ドルで今よりほんのちょっと高い水準。
VZは利回りが5%近くまで上昇すると反発する傾向にあって(単なる経験則で根拠は全くない)、今回も配当利回りが5%を超えたのでいい時期かなっと思いました。
前回の買値:46.4ドル
今回の買値:45.9ドル
一見すると、今回の方が安く仕込めていますが実際は違います。今回の方が投資コストは高かったです。それは2016年秋頃より今の方が円安だからです。
前回の買値を下回るのを待ってたわけでは決してありませんが、たとえそうだったとしても、結局買値は今回の方が高いのです。
直近1年間のドル円の為替相場。
これだけ乱高下しているわけです。
株価も予測不能ですが、為替はもっと予測不能です。
長期的には為替レートは両国のインフレ率によって決定される(要するに物価次第)と思っていますが、短期的には物価予想なんてほとんど無意味ですよね。
短期的なドル円相場は政治に翻弄されているようにも見えます。トランプ大統領が当選した11月以降、インフラ投資・減税による米国経済の成長を期待してガーーとドル高が進みました。
と思えば、オバマケア代替案の撤回や減税案の実現性への懐疑心から、ドルはふらふらと下がってきています。
こんな為替相場を予め予測して投資に臨むなんて無理だと諦めたほうがいいと思います。自分がコントロールできないことに神経擦り減らしても仕方ありません。
言うまでもありませんが、私たち日本人米国株投資家にとって投資原価は「株価×為替」です。いくらスマホアプリで欲しい銘柄の株価をここぞとばかりに狙っていたとしても、為替が思いのほか円安に振れたら投資原価は上がってしまいます。
株価は長期で右肩上がりでしょうが、為替はそうとは限りません。
ドル円の為替水準まで考慮して、最安の投資機会を伺うなんて完全に無理ゲーだと思います。
ある程度投資ルールを設けるのは有効かもしれません。
せめてドルだけでも毎月購入しておくといいかもしれませんね。毎月10万円分のドル買って、半年に1回60万円分の米国株を買うとか。そうやって年間120万円の株を毎年買い増せていければ、個人投資家としては十分な投資額ではないでしょうか。ちょうどNISAも埋まります。
株価だけでなく為替も考えなくてはならないってデメリットに見えて、精神的には良い面もあると思います。
株を買ってすぐ株価が急落したら誰でも嫌ですよね。でもそれと同時に円安が進んだりすれば、結局円貨ベースではさほど下落していなかったりします。まあ逆も然りではありますが。
為替のおかげで、円貨ベースの米国株時価変動をマイルドにしてくれる場面もあるかもしれませんね。
「どうせ為替もあるんだし、タイミングなんて無理無理!」と達観して、コツコツ株を買い増せばよいと思います。
ところで、減税
ところで、トランプ大統領は米国の法人税率を15%まで引き下げるという強気の減税案を発表しています。
ただマーケットはその実現性を疑っているようです。
ですが、もし本当に実現したら完全ドメスティック(米国内)企業であるベライゾン(VZ)には大きな恩恵があると思われます。法人税減税の実現がリアルになるにつれてVZの株価がグングン伸びていく!、、かもしれません。
あとAT&Tもほぼ米国100%売上なので(一部中南米売上ある)、同様の恩恵が期待されます。
奇遇ですね。私もちょうどVZ買いまししました。
それは奇遇でしたね。
ほとんど成長が期待できない産業なのは理解してますが、だからこそ長期投資の妙味を感じております。
VZを100万円分買えば、ほぼ1ヶ月分の家賃になる!というモチベーションで投資してます。
私も今回の下落でVZを買い増しました。
通信費のよる収入は、頭打ちで成長が期待できないかもしれません。
しかし、VZはAOLや米ヤフーを買収しています。
Tもタイムワーナーを買収していて、審査待ちです。
どちらもメディア企業となり、デジタルコンテンツからの広告収入による増収を考えていると思います。
通信キャリアは、設備投資が巨額であることから、絶対的なMOATを形成しています。そのMOATがメディア企業のコンテンツの浮き沈みのriskを緩和できると思います。
今回、アメリカンフットボールNFLの開幕戦がLondonで行われます。その放映権をVZが落札しました。AOLのチャンネルを通じて放送されるようです。
現在、GoogleとFacebookによる独占体制のネット広告業界も、良質のコンテンツを投入することで、勢力図がかわるかもしれません。
そうですか!
なんか鎌倉見物さんが買われたと聞くと安心します。
VZもTも戦略は異なりますが、通信収入だけに頼らずにメディア企業に移行していますよね。
TはVZよりもかなり大型のM&Aが多い印象で、果敢に攻めの投資を実施しているように感じます。
私はVZにこれだけ投資しておきながら何ですが、一抹の不安を感じています。
それは鎌倉見物さんがおっしゃる通り、VZはネット広告ビジネスに挑戦している点です。
ここにはグーグルがいます。
いくらなんでもグーグルに対抗するのは無茶なんじゃないかって内心思っています。
個人的な感覚で恐縮なんですが、グーグル様とアマゾン様に歯向かったらオシマイみたいな印象を持っています。
勢力図か変わっている姿がどうしても想像できないんですよね。
VZやTは通信収入という安定基盤があってそれが新規ビジネスのリスクを低減するのは確かにその通りですね。
これからもVZやTのビジネスには注目していこうと思います。
インデックス投資から個別株中心に移って、各企業のビジネス内容とかを勉強する動機が出来てよかったです!
返信ありがとうございました。
討論で深く理解ができるようになり嬉しく思います。
個人的には、Googleと同じことをしても勝ち目はなく、先をいくことが必要で、そのためには専門性が必要に思います。
今のgoogleの検索エンジンは、総合スーパーみたいなものです。
イオンやヨーカ堂が、商店街をシャッター街にしたように、総合スーパーは当時無敵に思えました。
しかし、その総合スーパーも、より専門の特化したユニクロ、メガネのJINS、ABCマート、ニトリに完全に敗北し、彼らをテナントに迎えないと成り立たなくなっています。
同様に、医療や、レストラン、旅行等の専門に特化した検索エンジンが現れて、その情報を人工知能が個人の趣向にあった情報を提示するようにすればgoogleの検索エンジンの独占体制を崩すことも不可能ではないと考えています。
ただし、TやVZが相手にするのはyoutubeで、検索エンジンの専門化は、ベンチャーの方が有利に思います。
youtubeの人気コンテンツは、TV番組の横流しが多いので、それを取り戻せば、良質のコンテンツを持っている既存メディアが十分対抗できるできると考えています。
ただし、あくまでも予想であって、予想通りいくかはわかりません。
う~ん、とても考えさせられます。
普段ここまで考えて投資判断をされているのですね。
ほぼ決算数字と株価と配当利回りくらいしか見ていない私には見えていない世界が、鎌倉見物さんには見えているように思います。
なるほど、確かにグーグルの検索システムは総合スーパーですね。
グーグルも日夜良質なコンテンツを上位表示されるように、検索ロジックに投資して改善しているとは思います。
ですが、あまりにも情報量が多すぎるため必ずしも自分が欲している情報が取得できるとは限りませんよね。
ある分野に特化した検索システムがもし誕生すれば、それにはニッチな需要は必ずあるでしょうね。
それは今、シリコンバレーで開発されているということですか。
とは言え思うんですが、どれだけ優秀な検索ロジックでも結局グーグルの基盤の上に成立するような気もします。
>ただし、TやVZが相手にするのはyoutubeで・・
確かにそうですね。
TやVZの相手はYouTubeです。
YouTubeは大好きです。
いつもゲーム動画とか観てます。
ただおっしゃる通り、コンテンツは玉石混交です。
優良なメディアを作れば、YouTubeの牙城を崩すことはできるかもしれないなって思います。
私の今の意見としては、いくらシリコンバレーの優良ベンチャーでもさすがにグーグルの独占体制を崩すのは99%無理だろうと思っています。
一方で、新たなメディア事業がYouTubeを脅かすことはあるだろうと思っています。
貴重なご意見ありがとうございます。
今後の投資判断に活かしていきたいです。
>ただし、あくまでも予想であって、予想通りいくかはわかりません。
もちろん、それは百も承知です。
予想はそう当たらないし、未来はいつも不確実だからこそ株式投資にはリターンがあるようなものです。
これからもよろしくお願いします!
Hiroさんのブログは良書の重要な箇所を引用して解説してくださるので助かります。
「バフェットからの手紙」の重要な箇所もたくさん引用して解説してくださることを期待してしまいます。
本当は自分で読んで重要な箇所を見つけるのが読書の楽しみ、醍醐味ですけどね。
どうも、こんばんは。
投資の古典的な書籍は読み返すと、また新しい学びがあるなあと思います。
『敗者のゲーム』はどちらかと言うと、インデックス投資家向きな書籍な面もあります。
なんですが、こうやって米国個別株投資を初めて改めて再読すると、以前は目に止まらなかった文章に注目してしまいます。
多読乱読も大事かもしれませんが、時間は有限ですし良書を繰り返し読む方が有意義だなと思う次第です。
「バフェットからの手紙」ちょくちょく読み返しているので、ブログでも何かご紹介できればなと思います。
以前ご提案頂きましたよね。
まとまった解説みたいなコンテンツはすぐには厳しいですが、先ずが少しずつ記事内で紹介していこうかな。
「バフェットからの手紙」はホントに勉強になる神本だと思っていますので。
万人向けではないと思っているので、ブログ内でおすすめ本としてはピックしていないのですがね。