※2017年5月2日追記(謝罪)
今日WSJ読んでいてわかったのですが、以前書いたこの記事は私の誤りだったようです。
間違った推測記事で申し訳ありませんでしたm(__)m
アップルの保有する資金はベンチャー投資のような固定的な資産かなって思っていたのですが、WSJによると普通に流動性の高い短期投資のようです。
アップルが保有する現金および現金同等物には、社債や米国債といった短期・長期証券やマネー・マーケット・ファンド(MMF)も含まれている。
WSJより
現金同等物は社債や米国債とはっきり書いてありました、失礼しました。てか、ベンチャー投資だったらもはや現金同等物ではないですね。
なお、アップルが海外に保有する資金は約2,500億ドルで、プレミアムを無視すればPGやWMTを買収できる金額との報道。凄すぎですね。。
現金なんて価値のない幻想だから現預金を無思考に持つのはやめましょうって、私はたまにブログで言ってます。
その考えは企業でも例外ではありません。2,500億ドルにも及ぶ金額を預金や短期債で保有するって普通に考えると経済合理性に反します。アップル株主からしたら、使途のないお金はすぐにでも返還して欲しいところでしょう。
ジョブズ氏はこの経験から、緊急事態への備えとして内部留保を持つと決めた。また自社株買いや配当よりも新製品開発に資金を投じた方が株価上昇には効果的だと考えていた。
WSJより
これがかつてのアップルでした。でも今は違いますね。多額の株主還元(配当、自社株買い)をする企業に変貌しています。
アップルの海外資金でM&Aだ!、テスラ買収しろ!、ネットフリックス買収しろ!という意見も出ているようですが、恐らく既存株主にとって最も喜ばしいのは特別配当でしょうね。
にしても、、凄いな~って思うのがこれだけ多額の現金を持っていてもアップル株は特段割り引いて評価されないということです。現在のPERは約17倍です。
これがしっかりしたガバナンスが構築されている優良米国株の強みだと思います。
日本企業がこんな多額の現金を放置していたら、きっとその現金価値は半値八掛けくらいでマーケットに評価されることでしょうね。
マーケットはアップルの2,500億ドルもの余剰資金に注目しているわけですが、何に使うかははっきりしないものの、きちんと株主価値向上のためにお金を使ってくれると判断しているようです。アップル経営陣を信頼しているということですね。
~追記ここまで~
2月13日、アップル株は史上最高値を更新しました。
これは直近2年間のアップル株価チャートです。
iPhoneの販売数量の伸び率が頭打ちになった2015年の夏以降からアップルの株価は下落し始めました。
遂にアップルの成長も終わると、市場が悲観的になっていたのです。
その落ち行くアップルを拾ったのがバフェット率いるバークシャー・ハサウェイでした。
誰もが驚きました。
あのハイテク銘柄嫌いのバフェットがIBMに続いてアップル株まで買った!!と。
バフェットは決してハイテク銘柄だから買わないと、意地っ張りになっているわけではないということです。
2000年前後のITバブルの時期には割高だった上、強固なワイドモートを築いて将来市場を独占できる企業を見極めることはできないと言っただけです。
バフェットは言っています、「まともな企業を素晴らしい安値で買おうとするよりも、素晴らしい企業をまともな価格で買うほうがいい」
バフェットは当時はIT業界の中でどの企業が「素晴らしい企業」なのか判別できなかったのですね。
でも、今は違うということでしょう。
もうどれが「素晴らしい企業」なのかバフェットは理解しているんだと思います。
その一つがアップルだということです。
この取引はバフェット本人ではなく、バークシャーのファンド・マネージャーの取引だと巷では言われています。
確かにそうかもしれませんが、バフェットもこのアップル買いに賛成だったのではと私は密かに思っています。
バークシャーは昨年アップル株を90ドル付近の安値で手に入れたようです。
少なくとも短期的な結果論としては、バークシャーの判断は◎でしたね!
私もハイテク銘柄の中でアップルは非常に有望だと思っています。
アップルのキャッシュフロー計算書を見れば、アップルがぼろ儲けしている様子がよくわかります。
スマホで迷ったらみんなiPhone買いますからね。そのブランド力と信頼はアップルの強みだと思います。
さて、前置きがいつものように長くなってしまいました。
史上最高値を更新したアップルですが、更なる高値を期待する声が聞かれます。
その根拠として頻繁に言われているのが、税制改正によってアップルが保有する莫大な米国外資金が米国本社に戻ってくるというものです。
そうすれば、その資金で自社株買いをして株価はさらに上がるのではないかという期待です。
アメリカ政府は米国外にため込んでいる資金を米国に戻す際に課税している税率を、一時的に10%へ減税するという提案をしています。
なぜ、こんな税収が減るような政策をわざわざ進めるのか?
それは、高い税率のままだと賢い米国企業の株主・経営者はいつまでたっても米国外で稼いだお金を米国に戻そうとしないからです。
税率を下げてでも、お金を米国に呼び戻したいとアメリカ政府は考えています。
なぜ今か?
それはトランプ大統領が富裕層の減税を約束している上、積極的な財政インフラ投資まですると言っているからです。
政府とは言え、金は無限にあるわけではないですから。
金勘定は必須です。
減税=政府の収入は減るにも関わらず、道路や橋はいっぱい作る!と言っているのです。
「いやいや、お金なくて無理なんじゃないの・・」って小学生でもわかりますよ。
だからアメリカ政府は少しでもお金が欲しいんです。
そこで編み出されたのが、米国外資金の還流に対する税率の引き下げです。
米国企業は2兆ドルもの資金を米国外で持っているそうです。
そして、、その2兆ドルのうち、2千億ドルがアップルが保有している現金だとWSJは報道しています。
全米国企業が米国外に貯め込んでいるお金のうち、なんと1割がアップル1社のものだと言うのです。
さすが、、超高収益なアップル。
2000億ドルって日本円で約20兆円です。
想像できない金額。。
ちなみに20兆円あれば、プレミアムを考慮しなければトヨタ自動車を丸ごと買収できそうな金額です。
米コカ・コーラも買収できるかも。
それほど多額の現金をアップルは海外で持っている。
ホントに!?
「アップルは米国外で2千億ドルの資金を持っている」、、この報道を読んであなたどう思いますか?
なんかおかしいな~て思いませんか?
お金そのものに存在意義なんてない。お金は価値ある商品やサービス、株式などに交換しないと意味はないと、私は最近ブログで主張しています。
監査法人時代の友人に30代前半で普通預金で3千万円以上を持っている人がいるのですが、もう信じられないですね。。
3千万円を預金だけにしているって、、まあ本人の自由ではありますけど。
お金を無駄に預金することは個人でもやるべきではないと思いますが、企業ではなおさらです。
なぜなら、企業とは株主から大切なお金を預かって運用している立場だからです。
株主のお金を無駄に滞留させるなら、自社株買いや配当で返還しろってなるのが普通です。
ちょっとファイナンス的に言わせてもらうと、資本コストを確実に下回る金利しか得られない普通預金に運転資金を大きく超えるキャッシュを置いておくのはけしからん!、ということです。
アップルは世界で最も時価総額の大きい優良企業です。
高い報酬で優秀なCFOを雇っています。(現在はルカ・マエストリ氏)
そんな高い教育を受けた有能なCFOが、2000億ドルものキャッシュを預金のまま米国外に置いておくはずはない、、そう思いませんか?
ってことで、アップルのバランスシートを見てみました。
そうしたら、案の定どこを見てもアップルのBSに2000億ドルもの現預金はありませんでしたよ!
アップルのBSの現預金は200億ドルほどしかありませんでした。1桁違います。
では、なぜWSJなどはアップルが2000億ドルの資金を持っていると報道しているのでしょうか?
ここからは、私の勝手な推測です。
アップルのBSを見ると、投資有価証券が1700億ドルほどあります。
おそらく、WSJはこの投資勘定も含めてアップルが海外資金を2000億ドル持っていると報道していると思われます。
この投資有価証券とは何のか?
これも私の推測ですが、これはベンチャー企業への投資だと思われます。
アップルは成熟しつつありますが、スティーブン・ジョブスの遺志が残っているベンチャー精神溢れる企業です。
シリコンバレーだけでなく米国外のベンチャーにも多額を投資していても何ら不思議ではありません。
まあ投資有価証券の中身が何であれ、WSJが報道しているアップルの2000億ドルの資金のうち9割は現金そのものではないんですよ。
そりゃそうですよね。
ちょっと安心しました。
そんな馬鹿みたいに現金を持って放置しているわけないですから。
そんなもったいないことするはずない。
で、アップルは米国外の2000億ドルもの「資金」を税率が下がるからって、本国米国に還流するでしょうか?
投資有価証券を含む「資金」ですよ。
普通に考えれば、、NOですよね?
だって、資金を米国に戻するためにはベンチャー企業等の非上場株式を売却する必要があるのですから。
将来への投資を止めてまで、株を売って現金にして米国に送金するとは思えません。
アーリーステージの投資で将来の回収見込みがよほどない投資くらいでしょう、資金化するとしても。
てか、そんな将来性のない投資は資金化できない可能性も高いでしょう。
アップルが持ってる現預金は200億ドルほどです。(これでも十分多いけど。。)
この内、いくらが米国外にあるかはわかりません。
ですが、少なくとも一部で報道されているようにアップルが2000億ドルもの大金を米国に戻すことはあり得えないと思います。
アップルは長期投資に相応しい優良銘柄だと思います。
最高値を更新した今でも、予想PERは15倍弱で特段割高には見えません。
しかし、、巷で報道されている米国外資金の還流を元手とした自社株買いや増配には過大な期待はしないほうが賢明だと思います。
さらなる株価上昇が期待されるアップル株ですが、ちょっと慎重になった方がいいと思います。
週刊エコノミストではHiroさんが載っている数ページ前に、バフェットのアップル株保有について載っていましたね。
そこではアップルは海外に現金を2500億ドルを保有と述べられていましたね。
(手元にないのでうろ覚えですが)
週刊エコノミストさんは「アップルは海外で現金2500億ドル保有していると思われるが、公認会計士Hiro氏は~と考える」みたいに取り上げても面白かったかなと思います。
Hiroさんがややチャレンジャー的な立場にはなってしまいますが(笑)
今日のWSJでアップルの海外資金でネットフリックスやテスラ買収はどうか、という記事がまた上がっていました。
それはまだいいとして、ウォルトディズニー買収もありだ!という報道までありました。
そりゃ、さすがにいくらアップルの資金力でも厳しいだろ・・って思いましたがw。
普通に株主還元すればいいのにな~って思います。
別にM&Aが絶対ダメだとは思わないのですが、何て言うか「金が余っているから買う」っていう発想って危険ですよね。
私たちの日常生活でもお小遣い余ってるから、適当にちょっと欲しいくらいの物買っても結局すぐに使わなくなることありますし。
同じ感じかなって。。
今回の週刊エコノミストさんへのご協力はかなり限定的でした。
実際にお会いする予定が、なかなかお互い都合つかずメールだけのやり取りで終わりましたし。
もし次またチャンス頂けたら、もう少しチャレンジングなことも書きたいです!
まあ大手経済誌なので、ブログと同じトーンでは書けないでしょうけどw。
地道に活動がんばります。