今年の株の利益はいくらあるんだろうか?
金儲けのために株式投資をやっているわけですから、このような疑問は誰しも持つと思います。
株の利益にはインカムゲイン(配当)とキャピタルゲイン(値上がり益)の2つがあるとよく言われますが、短期的な投資利益を測定する上ではどちらも不適切です。この1年間の投資リターンを計算する上では、配当も値上がり益も参考程度にしかなりません。
配当は投資先企業の配当性向に左右されます。配当が利益なら無配のアマゾン株へのリターンはゼロということになりますが、もちろんそんなことはありません。キャピタルゲインを利益とみなすということは、株価を投資リターン測定に使うということですが、1年間の株価変動なんてミスターマーケットの感情次第です。1年程度の株価変動なんてただ人気投票でしかありません。
配当もダメ、株価もダメ・・。
じゃあ、どうやって1年間の投資利益を測ればよいのか?
・・・
答えは企業の利益です。
あなたの投資先企業の利益は、株主であるあなたに帰属します。そのうち配当として還元されてるのは一部だけですが、利益のすべては株主であるあなたのものです。つまり、投資先企業のEPS(一株当たり利益)を見ればいいです。
「EPS×保有株数」があなたの実質的な投資利益です。バフェットはこれをルックスルー利益と表現しています(バークシャーの場合はEPSをちょっと補正する必要があるけど、バークシャー以外ならEPSをそのまま使ってよいと思います)。
あなたの今年2018年のルックスルー利益はいくらになる見込みですか?
そんなの計算したことない?
ですよね。
私も、んなの今まで一度も計算したことありません(笑)。
ということで、初めて計算してみました。
計算方法は簡単です。ネット証券から保有株一覧リストをエクセルでダウンロードして、銘柄毎の保有数量に2018年予想EPSを掛けるだけ。予想EPSはYahoo Financeで見れます。たとえばマイクロソフトの予想EPSはこちら。”Avg. Estimate”を使います。
2018年に買った銘柄は月割計算すべきですが、簡便的に1年分まるまる織り込んでいます。ETF(HDVとVYMとVDC)はEPSがわからないので、予想益回り6%という仮定を置いて計算しました。個別銘柄はさっき書いた通り「予想EPS×保有株数」で計算。
では、早速私の2018年予想投資利益(ルックスルー利益)をお見せします。
ティッカー | 銘柄名 | 保有数量 | FY18予想EPS($) | FY18予想投資利益($) |
HDV | iシェアーズ コア米国高配当株 ETF | 448 | ?? | 2,495 |
MO | アルトリア・グループ | 315 | 4.0 | 1,260 |
XOM | エクソンモービル | 222 | 4.8 | 1,059 |
PM | フィリップ・モリス・インターナショナル | 201 | 5.0 | 1,005 |
KO | コカ・コーラ | 345 | 2.1 | 721 |
VZ | ベライゾン・コミュニケーションズ | 220 | 4.7 | 1,027 |
PEP | ペプシコ | 97 | 5.7 | 549 |
GIS | ゼネラル・ミルズ | 240 | 3.1 | 734 |
PFE | ファイザー | 230 | 3.0 | 692 |
IBM | IBM | 60 | 13.8 | 828 |
MDT | メドトロニック | 60 | 5.1 | 307 |
SLB | シュルンベルジェ | 100 | 1.7 | 169 |
T | AT&T | 160 | 3.5 | 563 |
BLK | ブラックロック | 8 | 27.8 | 222 |
ABBV | アッヴィ | 38 | 7.9 | 301 |
CL | コルゲート・パルモリブ | 44 | 3.0 | 131 |
VDC | バンガード・米国生活必需品セクターETF | 18 | ?? | 161 |
VYM | バンガード・米国高配当株式ETF | 28 | ?? | 146 |
総計 | 2,834 | 12,372 |
ということで、、
私の株式ポートフォリオの2018年予想利益は約12,372ドルとなりました。
1ドル110円で円換算すると約140万円です。配当だけだと80万円~90万円くらいですが、利益ベースで見ると140万円となります。インカムゲイン+キャピタルゲイン(2018年の値上がり益)を計算しても140万円になるわけじゃありませんが、この140万円という金額が私の今年の真の投資利益(予想)です。
保有株式の時価は約2200万円ですから、益回りを計算すると6%ちょいです。PERで言うと16倍前後。まあこんなもんでしょうか。
何のためにお金を稼ぐのか?
株の利益は現状すでに十分かなあという思いもある。
140万円という数字を大きいと見るか小さいと見るかは人それぞれですね。2000万円以上も投資して年間利益が140万円しかないのは寂しい、と思う人もいるでしょう。
私はまあ十分かなって思ってます。
今のサラリーマンの給料に140万円も上乗せされるのは結構インパクトあります。そりゃ年収2000万円あれば、それが2140万円になったところで誤差かもしれませんが、当然そんなに貰ってないですし、今後もそこまで給料が上がるほど出世する想定も目標もありません。
株で140万円も頂ければ十分。
もっとリスクを取って高いリターンを取りにいくという選択肢もあります。たとえばレバレッジを掛けるとか、もっとボラティリティの高い投資対象に資金を投じるとか。でもやっぱ現状で満足かなって思います。もちろん、稼げるお金は多ければ多いほど嬉しいですが。
これから僕のポートフォリオの銘柄たちが勝手に増益していって、さらに給料や配当から再投資していけば、年間投資利益200万円~300万円くらいは現実的に可能に思えます。300万円あるといいなあ。「EPS×保有株数」が300万円となると、だいたい5000万円の株式時価が必要です。そんなに簡単ではありませんね。
簡単ではないけど、絶対に無理という水準でもないかな。
5000万円ということは今の2倍強、、7%複利で10年ちょいか。その頃は41歳か。
株式投資でどこまでリスクを取ってお金を稼ぎたいのか、これは人それぞれです。どれくらい生活水準を上げたいか、そもそも何のためにお金を稼ぐのか。サラリーマン辞めたいのか、続けたいのか。結婚して子どもを作りたいのか、要らないのか。
私個人の話をすれば、もうちょっと生活水準を上げたい気持ちがあります。具体的には住環境です。今の家が典型的な「ウサギ小屋」なので、もうちょっと小奇麗で広い部屋に住みたい。10万円の家賃が負担に感じないくらいになりたい。もっと良い家に住みたい。
結婚願望はなくはないけど強くはない。子どもが欲しい願望もそんなにない。まあ良い相手がいれば、、くらいな気持ちです。
あとサラリーマン辞めたい願望は消えました。経理の仕事は好きです。少しづつ立場が上がって、自分の裁量で仕事を進めれるようになってからより楽しく感じます。日曜になると「早く月曜こないかな~」と思うくらい好きです。ただ、伝統的な日本メーカーなので大きな昇給は期待できません。
僕は経理実務が好きで部下の管理はあまり好きではないし得意でもないです。性格が優しすぎて(←自分で言うな!w)、部下を厳しく指導するなんて無理です。出世願望は薄いです。出世できるほどの能力があるとも思ってません。会計知識はたくさんある自信はありますが、それは仕事の能力とあまり関係ないです。もっとソフトなスキルがサラリーマン業では大切ですよね。コミュニケーション的な。
今のサラリーマンの給料が今後も途切れないとしたら、株の年間利益(ルックスルー利益)が100万円以上もあれば、それでまあ満足かな。保守的な運用を続けても将来的には300万円くらいには増やせそうです。ここまで来ればホントにもう十分。
株の利益(ルックスルー利益)が300万円を超えて、400万円、500万円になっても多分投資は続けます。投資のことを考えるのは楽しいから続けると思います。
ただ、べらぼうに高い投資利益を求めてないので(現状でも十分なくらい)、もっと保守的な運用でもいいかなあと思う時があります。と同時に、損失覚悟でもっとハイリスクな投資にチャレンジしても面白いかなとも思います。
私も早速計算してみました。私の保有株式時価はhiroさんの約半分で、持ち株でhiroさんと被っている銘柄はだいたい2割くらいです。私のポートフォリオの予想利益は約6304ドルで益回りは6.7%となりました。被っていない銘柄が8割なのに、予想利益もhiroさんの約半分ということがわかり、興味深かったです。当たり前ですがグロース銘柄は利益額が低く、英国ADR銘柄は利益額が大きかったです。
行動早いですね!
自分の投資先企業の利益うちどれくらいが自分に帰属するのかを計算するということです。
不思議ですよね、、ただ株を持っているだけで6300ドル、、日本円で70万円近くも稼げるわけです。
70万円って普通に大金です。
企業の事業再投資、そして我々株主の配当再投資・給料追加投資によってこの利益は複利で加速度的に増加します。
そして、いつか本業の収入を追い抜くときがくるかもしれません。
利益さえ出ていれば、株価なんて後から追い付くし、そもそも株価上昇は株の利益の本質はありません。見るべきは利益ですね。
>当たり前ですがグロース銘柄は利益額が低く
おっしゃる通り、そうなります。
その分グロース株は将来の高い増益が期待できます。
結局、投資期間全体での利益総額が多ければいいわけで、今の利益の絶対額にこだわる意味はありません。
>英国ADR銘柄は利益額が大きかった
そうなんですね~、あまりそういう印象は持ってませんでした。
つまり英国ADRは米国株より益回りが高いということか。
確かに米国株のバリュエーションの方が高いですもんね。
こんばんは
EPS x 保有株数を昼休みに計算してみました。
ETFを除外して個別株式枠のEPS総額を計算すると1,900$
まだまだ、米国個別株投資の規模が小さいので分相応だと思います
一つ質問です。
EPSは自社株買いをすると、数字が大きくなりますよね、たぶん
継続的な事業収益の成長によるEPSのへんかか、自社株買いの影響でEPSが短期的に変化したか…などを区別して考察する必要があると思いますか?
色々と考えて区別する意味が無いような気分になりましたが…明確に説明できるまで理解できてないかもしれません。
このEPS x 保有株でポートフォリオを評価する視点、感銘を受けました。 銘柄毎にEPS収益の寄与度とか観察してみたり分散比率でEPS収益で平均化させてみるとか……色々とシュミレーターツールでポートフォリオの評価をしてみたいなぁと思いました
ちなみに、昨晩のAAPL急落に伴う逆張り指値を突破されて、AAPLの比率が評価額、EPS収益ともに大きくなってしまいました。
AAPL依存を緩和させるために、他の銘柄とのバランスを調整したり、今月は頭を使って考えます。
いつも役立つ記事、有難うございます
1900ドルでも社会人の初任給くらいはあります。
それだけのお金を働かずに得られるは価値ありますね。
私にとって株式収入は労働収入より価値が大きいです。
EPSもDPSも自社株買いをすることで大きくなります。
EPS成長を株数減少とオーガニックな利益成長に区分したことは私はありません。
でも視点としては重要かもしれません。
いくら自社株買いでEPSを増やせても、本業の成長が全くなければさすがに長期的なリターンも乏しくなりますから。
なのでその考察はやる意味あると思います。
PLの純利益の変化率とEPSの変化率を並べると、その影響がざっくりわかりそうですね。
面白そうですね!
EPS×保有株数を自分の年収に加算してもいいくらいだと思います。
株価は毎日変動しますし、配当は今は低いこともあります(アップルも配当利回りは低いですよね)。
なので、単年の利益として配当やキャピタルゲインを加えるのは正しいとは言えません。
やはり利益です。結局、毎年の利益の積み上げが株主利益になります。
ない袖は振れません。
インカムゲイン+キャピタルゲインはその利益積み上げに長期では収斂します。短期的には株価は大きく動きますが。
長期投資家として企業の利益をしっかり見るのは大事だと思って、この記事を書きました。
そういう視点があればこそ、暴落時に狼狽売りせず耐え凌ぐことができると思います。
ところでAAPLの自社株買いの規模は半端ないですね・・。
Hiroさん
分かりやすい解説、有難うございます
EPSの変動をオーガニックグロースに由来するか、自社株買いの株数減少に由来するか……長期的視点からは、要観察対象だと理解しました。
EPSの合計を自分の年収に加えるアイデア、面白いですね
年末に源泉徴収票を受け取った際に、計算してみます。
EPSの合計が自分が投資した社会価値だと受け止めて……社会価値の最大化が自分の収益最大化につながるように、これから先も勉強します
いつも有難うございます
オーガニックか自社株買いか、どちらにしてもEPS成長してくれれば株主としてOKとは言えますね。
ただ自社株買いを続けるためにはオーガニックな成長を遂げて、ちゃんと営業CFを稼がないといけません。
なので両者は不可分な関係にあると言えそうです。
>EPSの合計が自分が投資した社会価値
そういう考えを持てると長期投資を続ける元気が出てきますね。
株式投資ってただ株を持っているだけでお金を稼げるので、自分がどう社会に価値貢献できているかわかりづらいです。
正直私もなかなか実感持てません。
が、EPS×保有株数に相当する社会価値を生んでいるのは事実です。
普段社畜のように働いていると、不労所得に違和感を覚えます(笑)