この10年、わかりやすいほどr>gの時代だった

以下は、東京23区の中古マンション価格推移。

東京中古マンション相場より)

価格は10年で約1.5倍になっています。帰属家賃も含めれば2倍ほどでしょうか。

不動産はレバレッジをかけて買うことが大半なので、その実質的な収益性はもっと高いです。2010年代前半にローン組んで、資産価値のあるマンション等を買った人は勝ち組ですね。うらやま。

以下は日経平均株価の過去10年の推移。こちらは2.7倍。配当含めれば3倍を超えますね。

(ヤフーファイナンスより)

アベノミクス、黒田日銀総裁による異次元緩和、そしてコロナ禍における財政相場が株価を押し上げました。

日本企業は米国企業より利益率が劣る云々と批判されることもありますが、その分PERは低いわけですし、上記のように株価はしっかり上がっています。

以下は米国S&P500指数の過去10年推移です。

(Seeking Alphaより)

こちらもコロナ禍における落とし穴はあるものの、日本株以上に右肩上がりです。配当を含めれば、資産は10年で4.5倍に増えました。

ここまで見てきたように、日米のリスク資産の価格は上昇を続けてきましたが、それらとは対照的に上がっていないのが日本の給料ですよね。ご存知の通りです。

(厚生労働省ホームページより抜粋)

グラフは2018年までしか表示されていませんが、2010年代サラリーパーソンの給料はほとんど上がっていないことがわかります。

株式市場はリーマンショックの傷がとっくに癒えているというのに、労働市場はいまだにその影響を引きずっているように見えます。

リスクを取らないと何も始まらない

ピケティ先生が分厚い書籍で論じるまでもなく、r>gであることは一目瞭然です。

この10年はやや特殊な環境だったかもしれません。資本家が報われたのは結果論に過ぎないと言われれば、確かにそうかもしれない。2020年代はさすがにここまで高いリターンは期待できなさそうですし。

ただ、一つ言えることは社会に不平不満を吐くだけで、何も行動せずに労働者階級にいるだけでは、これからも豊かになるのは難しそうということです。

2010年代に自宅用としてマンションを買った人はいま裕福になっています。それは意識はしていなかったとしても、結果としてr側に移行できていたからです。

判断プロセスやリスクの程度が適切だったかはさておき、兎にも角にもリスクを取った人が経済的に豊かになったのは事実。

労働者の給料は上がっていませんが、それは決して不公平なわけではありません。労働者は事業リスクを背負っていないので、業績が上がってもその恩恵を受けられないのは当然です。

人的資本はローリスク・ローリターンなのです。それはそれで貴重な資本です。gをないがしろにしてはいけないと思います。gがあるからこそ、果敢にrの世界に飛び込める面もあります。

これからの10年は今までと同じように不動産や株を買っても、十分な利益は得られないかもしれません。損失を被ることすらあり得ます。株も不動産もかなり値上がりしてますから。

でも、未来の結果なんて誰もわからないんです。不確実な中でリスクを取ることでしか、果実を手にすることはできません。それがこの社会のルールです。