投資にしろビジネスにしろお金を稼ぐにはリスクを背負う必要があります。リスクが嫌なら企業に雇われて労働力の回復コストたる給料で我慢しなくてはなりません。

リスクを取れば労働収入とは一桁も二桁も違うお金を稼ぐチャンスがありますが、失敗すればお金を失います。営業成績が悪くてもサボっても毎月固定給がもらえる勤め人とは違います。リスクとはつまるところ損する可能性ということです。

コロナ問題による外出規制によって居酒屋などの外食産業やホテル業は壊滅的なダメージを受けています。独特な雰囲気が人気のアイリッシュパブのHUBは売上高が4割減だそうです。大手チェーンでこれです。

政府が営業自粛を要請してるんだから金銭補償をしろ!と多くの経営者が声を上げていますが、政策金融公庫等の融資止まりで助成金という話にはなりそうにありません。店舗のオーナーはリスクを取ってビジネスをしているわけですが、さすがに新型の感染症流行なんてシナリオは想定していないでしょう。

政府が資金援助すべきかどうかについて外部の私がどうこう言う資格はありませんが、兎にも角にもリスクを取るとはこういうことです。外部要因とは言え社会に求められていない商品、サービスを提供してしまうと、マーケットの裁きを受けます。オーナーは損失を被ることで責任を取らなくてはなりません。もしパンデミックが起きなければオリンピック効果もあってバンバン儲かっていたはず。その収益チャンスの裏には損失リスクもあるということ。

その原理原則は株式投資も同じです。株を持っていれば配当やキャピタルゲインで儲かるチャンスがあります。複利のパワーを頼ることで、普通のサラリーマンも長期で億単位の資産を築くことも可能です。ですが、その収益チャンスの裏にはもちろんリスクがあります。

コロナショックでS&P500指数は一時2月の高値から30%超も暴落しました。配当の削減、一時停止を決めた企業も珍しくありません。株価が下落すれば投資家は損失を被ります。保有し続けれて売らなければ含み損ではありますが。

しかし、ここで冷静に考えてみて欲しいのですが、私たち投資家は今回のコロナショックで本当に損したのでしょうか?

株を持つとは企業の一部を所有すること、企業のオーナーになることです。自分で300万円出資して居酒屋を起業するのと、300万円でコカ・コーラ株を買うのは企業のオーナーになるという点は共通です。後者は少数株主で何ら経営に影響を及ぼすことはできないとは言え。

居酒屋の店主はコロナの件で売上、利益がどれくらい減ったか勘定するでしょう。家賃が払えるか銀行の借金はリスケした方がいいかとか、そういうことも考えるでしょう。

それと同じでコカ・コーラ株主は、コカ・コーラ社の売上、利益、資金繰りがどうなるかに思いを馳せるべきです。日々の株価に振り回されるのではなく。

今週のバロンズによるとS&P500構成企業の2020年の予想利益は当初より15%引き下げられているそうです

そう、この程度なんです。これだけ経済活動が停止しているというのに、大型優良企業が構成されるS&P500ほどになれば15%利益が減る程度なんです。普通に黒字です。リーマンショックの時ですらS&P500構成企業の平均利益は黒字でした。

経済活動停止で店を閉めて途方に暮れている個人事業主からしたら、「15%の減益くらいであたふたしてんじゃねーよ、ごるあー!、こちとら利益はすべて吹っ飛んで倒産の危機なんだぞ!」といったところじゃないでしょうか。

S&P500クラスになると企業自体が損失を計上するケースは極めて稀です。ボーイングが2019年通期で赤字となり大きなニュースになるくらいです。それくらい、黒字が当然の世界です。一部の赤字企業も減損等のノンキャッシャチャージが原因なことが多く、キャッシュフローは回っていることが大半です。

S&P500指数などの優良株に投資していれば損することはない!とさえ言いたいくらいです。「絶対に損しません」とは投資の世界では禁句ワードですけどね。

S&P500指数やNYダウ、その他個別株に2月頃投資していたら、今頃含み損を抱えていることでしょう。しかし、前年比減益とは言え投資先企業の収支が黒字ならば、その企業のオーナーたるあなたはそんなに悲観する必要はないと思います。企業が稼いだ利益はいずれ配当や株価上昇として、遅かれ早かれオーナーたる株主の富となります。

経済面における人生戦略はどれくらいリスクを取って収益を狙うか、そのリスク配分にかかっています。どれくらいお金が必要かは人それぞれですが、一般的に言って会社からの労働収入だけでは満足できないのが普通です。なぜなら、給料は物足りないと感じるくらいに上手く設定されているものだからです。

そこで、どこかでリスクを取って追加の収入を得る道を探すことになります。株式というのは世間的にはハイリスク資産の典型と思われがちですが、S&P500等の優良株投資であれば思ったほどリスクは高くないというのが私の意見です。まあ、その分すぐに大きく儲かるわけじゃないですけどね。