最近読んだウォールストリートジャーナルの記事で、なるほどなーと思うことがあったので紹介したいです。
結論から言うと、金投資によるポートフォリオの損失ヘッジはスタグフレーション的な経済下で効果を発揮するというものです。スタグフレーションというのはインフレと景気後退の同時進行ですね。
金などのコモディティは物価が上昇すると価値が高まります。物価上昇とはつまり貨幣の減価です。金は有限資源なので、貨幣量が増えて物価が上がればその相対価値は高まります。
金先物は今2,000ドルくらいでしたっけ。年初は1,500ドルくらいだったと思います。インフレ調整後で見ても金価格は史上最高値を更新するかもってくらい勢いがあります。
それはコロナ禍で安全資産に資金が流れたことに加えて、各国の大規模な金融緩和と財政出動で貨幣価値が下がる、つまりインフレが起きるだろうという予想が背景にあると思われます。
確かにインフレは金に追い風です。しかし、上昇率がマイルドである限り、インフレは実物資産の請求権たる株式にも追い風です。インフレは短期的には株式の敵ですが、中長期では敵になりません。むしろ味方とも言えます。物価上昇とは企業の売上増加でもあるので。
だからマイルドなインフレに伴って経済も成長すると期待されているなら、株式から金に資金を動かす必要性は小さいと言えます。なぜなら、資金を株式市場に置いたままでも、経済成長期待に伴って資産が増えることが期待できるからです。
一方でインフレと景気後退が同時進行するスタグフレーション経済にある場合、株式から金に資金を移すのはメリットがあります。インフレで金価格は上がるけど、景気後退で株価は下がるからです。
インフレかつ景気悪化(スタグフレーション)はどんな時に起こるのか?
歴史を振り返ると、1980年代前半の第一次レーガン期がそれに該当するでしょうか。ポール・ボルカーFRB議長がインフレを退治すべく金利を大幅に引き上げた時代です。
つまり、スタグフレーションは二桁を超えるような急激な物価上昇時に起こると言えます。
今はどうでしょうか。ガンガン紙幣を刷って政府債務はうなぎ登り。米国民の貯蓄は増えています。さて、これが二桁のインフレをもたらして経済を混乱させるでしょうか?
私はそうは思いません。
なので、今は無理に金を買わずに株式のままでいいかなと思っています。
でも、未来はわかりません。もしかしたら1980年代みたいな経済環境になるかもしれません。そういう時は株を一部売却して金を買うことも検討するかも。常に株式100%と決めてかからず、柔軟に対応できるよう心の準備はしておきたいです。