19世紀、英国に生息するガ(蛾)の色は白い淡色のものが主流だったそうです。ところが、19世紀後半になるにつれて段々と淡色のガの数が減少して、暗色のガの数が増えていったそうです。
ガと聞くと暗色でちょっと気味の悪い色をイメージしてしまいますが、かつての英国では淡色のガがメジャーだったようです。ところが、突然暗色の我が増え始めました。
なぜでしょう?
それは産業革命による工業化の影響でした。工場からモクモクと吹き上がる煙に擬態させた方が天敵に見つかりにくいという理由で、ガの暗色化が進んだのです。通称「工業暗化」。
弱肉強食の動物世界では、生き残りをかけて各生物色んな戦略を考えています。ふぐのように体内に毒を持ったり、イワシのように集団で行動したりと。
擬態というのも生物の高度な生き残り戦略です。一番有名なのはカメレオンでしょうかね。カメレオンは変幻自在に自身の体の色を変えて背景と同化させます。カメレオンは白・赤・黄・黒の色素を持っていて、これらを組み合わせることで体色を操作しています。この4色素で表現できない色には変身できません。
ガは空を飛んでいるので、空の色というか空気の色と同化することで擬態効果が高まります。工場が建設される以前は空気も澄んでいたので、ガは淡色でいた方が有利でした。でも、工場が稼働してスモッグによる大気汚染が発生すると、空気は淀んでしまうのでガは暗色でいた方が有利です。
環境の変化に合わせて体色を変えることで、なるべく天敵に見つからずに生存確率が上がるようにしています。賢いです。
「生き残る種というのは、最も強いものでもなければ、最も知能の高いものでもない。変わりゆく環境に最も適応できる種が生き残るのである。」というダーウィンの言葉が思い出されます。
ところで、僕はこのガの話を読んで最初疑問に思ったのです。
19世紀後半に工業化が進んだからってそんなすぐにDNAが変化して(突然変異というのか?)、体の色を淡色から暗色に変身できるものなのか!?
という疑問です。
そう思いません??
生物は環境に合わせて進化するというとは分かるけど、突然始まった産業革命による工業化の進展に合わせて、ガの体色が次世代から急に変化するとは思えません。遺伝子は数百年、いや数千年かけて環境の変化に適応するように進化、もしくは退化していくものだと思いますから。数年、数十年でガの体色が変わるなんておかしいじゃんって思いました。
でもね、私が読んでいた本はこの読者の想定質問に対する答えもきっちり用意してくれていました。素晴らしい。
ガは進化したわけではないのです。
ガは元々、淡色と暗色の2種類が存在していたのです。
かつて空気が綺麗だった時代は暗色の方が天敵に見つかり捕食されやすく、結果として淡色のガが生き残ることが多かっただけなのです。それが工業化の時代になると、淡色のガの方が捕食されやすくなってしまい、暗色のガが生き残ることができたというのです。
傍から見ると、淡色のガから暗色のガに変身したように見えるのですが、実際は元から両方存在していたのです。工業化の空気汚染によって淡色のガが死んでしまい、暗色のガが生き残った結果なのです。
へ~
「トリビアの泉」の「へぇ」ボタンを15回は押したいレベルです。
(↑古いですね、昔のテレビ番組です。)
ガは初めからオプションを準備していたわけです。
淡色→暗色と変化したのではなく、もとから淡色&暗色が両方存在していたのです。
いつ急に環境が変わるかわからないから、念のため違う色の個体を持っていたのです。工業化で空気が汚染されるなんて、人間の自分勝手な行動によって引き起こされた非自然的な現象です。にもかかわらず、その事態にも対処できるようにガは2色の個体を予め用意していたのです。
何というリスクヘッジ。危機意識高すぎです。これが厳しい自然界のデフォルトなのでしょう。人間世界、特に平和な日本なんて生存がイージー過ぎて、こんな危機意識を普段から持つのは難しいです。
ここから無理矢理、株式投資の話に敷衍させたいと思います。
(投資ブログですから・・)
ガの生存戦略から学べること、それは何かが起こってからでは遅いということです。工業化が始まってから、暗色のガを産もうと思っても遅いです。そんな突然DNAを書き換えることは難しいし、そうこうしている内に目立つ淡色のガが捕食されて絶滅する可能性もあります。
工業化という思いも寄らない出来事に、事前に備えていたからガ(暗色)は生き延びることができました。
事前にオプションを用意しておく。
きちんと、普段からポートフォリオを整理して銘柄やセクターを分散させておくことが大切です。
近年、米国株式市場は順調です。今まで何度過去最高値を更新したことでしょう。ボラティリティもかなり低い状態です。
米国株式は今晴れの空を安定飛行しています。しかし、いつなんどき乱気流に巻き込まれるかわかりません。私たちは長時間飛行機に乗っていなくてはなりません。墜落はなくとも途中で乱気流に巻き込まれることくらい想定しておく必要があります。
乱気流が起こってから、シートベルトを締めようとしてももう遅いです。
原油価格が暴落してエネルギー関連企業の株価が暴落してしまった後で、「ああエネルギーセクターへの集中投資は避けるべきだった~」と後悔しても時すでに遅しです。その苦い経験は今後の投資には活かせるでしょうけど、過去に被った損失は諦めるしかありません。
何か事が起こってから、急に準備しようとしても間に合いません。
ガは空気が澄んで綺麗だった時代から、敢えて暗色のガを産んでおくことで長期的に生き延びることができました。
長期株式投資で大切なことは、市場に居続けることです。技術や法律、地政学的力学は大きく変化していくことが予想されますが、どう変化するか予測するのは困難です。ビットコインが現代の国家発行のマネーの地位を奪う存在になるのかどうか、今はわかりません。将来は予測できません。
予測できない、でも大きく変化することは間違いない21世紀これからの世の中。特にAIの進化は働き方を大きく変える可能性があるし、働き方が変われば人々の生活習慣も変わると思われます。余暇が増えると、社会のニーズは多様化します。
そんな変化する社会に合わせて、うまく銘柄やセクターを入れ替えるのは難しいです。「事前に」対応しておく方が安全だと思います。
なるべく心穏やかに半永久的に市場に居続けることができるよう、きちんと分散された保守的なポートフォリオを作っておいた方がよいでしょう。
ところで、この本めっちゃ面白かったですよ。
↓
弱者の戦略 (新潮選書)
オーソドックスなセクター分散ポートフォリオが有効なのは言わずもがなですが、
経済的ショックには対応できないので当方は株とFXを6:4で分散しています。
株はS&P500とHDVを50:50で
FXはレバレッジ1.5倍以下で運用することで対応しています。
証拠金取引を併用することで資金運用の柔軟性が増しますよ。
葉隠れさん、こんばんは。
リーマンショック級の金融危機がもし起これば、どれだけ分散投資していてもポートフォリオの損失は避けられないですよね。
ディフェンシブ株でもそれなりに下落していたと思いますので。
最近、金融銘柄の分析を行っている時に痛感しましたが、やっぱりリーマンショックは怖いですね。。
シティグループの株価下落っぷりには驚きました。
あの時、もし自分が投資家として市場と向き合っていたらビビッていただろうなと思います。
葉隠れさんはS&P500とHDVのハイブリッド戦略でしたね。
第3レーンと第4レーンですね。
HDVは今のところS&P500平均をアンダーパフォームしていますが、エネルギー株の復活でアウトパフォームしてくれるはずと期待しています。
まあ株価というよりは、コツコツ配当再投資を繰り返すべき銘柄でしょうか。
FXで為替ポジションを取り続けるという戦略もあるのですね。
FXと言えば、短期的に持ち高を決済するイメージしか持っておりませんでした。
ドル円は普通に考えると、ここから円安ドル高に動きそうですがどうでしょうかね。
雇用統計の結果的にはFRBは年内に利上げすると思われますし。
ドルインデックスの流れは明らかに2017年からはドル安方面です。
FXは選択型の自動売買なのでストラテジーを選んで後はポジション調整するだけです。
ストラテジーは玉石混交どころかほとんど地雷なので、
まともに利益の上がるポートフォリオを作るだけで3年位かかってますw
ポートフォリオを作った後もポジション量を増やした途端に敗けだしたりするしw
それなりに苦労はします。
でも年単位で見ればほとんど負けないポートフォリオなので、
規律を持ってポジション調整しています。
最大の弱点はやることが少なすぎてヒマなことですねwww
望んで関与する部分を減らしたけど少しジレンマですね。
そうか、確か以前ストラテジー自体を信頼しているわけではないとおっしゃっていましたね。
結果的に稼げるシステムだから使っている、ということでしたね。
その仕組みを作り上げるのに3年掛かったということですね。
3年というと長く感じますが、長期的に稼げる仕組みを持てるという意味では価値は高いと思います。
「私のポケットにお金を入れてくれるもの」が資産ですから。
資産を自分で構築した感じですね。
FXも未経験でシステムに弱い私には真似できないことです。
こういうことってあるのですね~。
不思議な世界です。
儲けの理屈は言語化できない曖昧なものだけど、長期的に利益を出せるなんてことがあるのですね。
FXでヒマだなんて言ったら、デイトレーダーの方に怒られそうですね笑。
ヒマはいいことです。
ヒマな状態でもキャッシュを稼げるものがロバートキヨサキの言う「資産」だと思いますから。
バイアンドホールドの株式も「資産」です。
いかに「資産」を作り上げていくのか。
そしてラットレースに巻き込まれることなく、自分の時間を取り戻すのか。
「資産」があると時間を作れます。
当方が仕組みを作ったわけではありませんよ。
ただ、FX会社が提供しているシステムを借りて、
ストラテジーを組み合わせているだけに過ぎません。
もしもhiroさんが当方と同じストラテジーを選べば当方と同じ結果になりますよ。
イメージとしては鵜飼いでしょうか、
デイトレーダーとかアクティブファンドマネージャーを束ねる鵜匠みたいな感じですかね。
ついでにシストレについて補足させていただくと
自作…思った通りの売買ルールができる
高い専門知識が必要
購入…導入が簡単
導入費用に数万円掛かる、バックテストが良くても稼げるとは限らない
借用…選択するだけで自動売買が始められる
売買ルールが不透明、実はコストが高い
株で例えるなら
自作が個別株、購入がETF、借用が投資信託のイメージです。
本当はもっと細かく分類とか、メリット、デメリットとかもあるのですが
キリが無くなるので簡単に、では。
はい、そう理解していますよ。
私ブログの勉強する時に、ネット上で販売されている情報商材に結構手を出しました。
情報商材は書籍とは違い、1本数万円するものも多いです。
インフォトップなどで販売されている情報商材の中には、FXのシステムトレードに関する商材も結構ありました。
先入観を持つのはいけないかもしれませんが、正直言って、かなり怪しい胡散臭いな~と思っていました。
興味を持ったとしても、それを買ってみる勇気は出そうにありません。
だから、葉隠さんがすごいな~と思ってしまいます。
食わず嫌いになるのではなく、為替で長期的に利益を出す仕組みを構築しようとするマインドセットが非凡です。
為替で長期的にポジションを取って利益を継続的に出せるって凄いですよね。
葉隠さんが、そのメソッドをブログなどで紹介したら人気出そうです。
>自作が個別株、購入がETF、借用が投資信託のイメージです。
ありがとうございます、わかりやすいです。
勉強になります。
いつも楽しみに拝読させて頂いております。
斬新な角度からの見解面白かったです。
現在私は、普通預金とアメリカ株運用の金額がほぼ50:50といった状態です。対極な状態ですね。
これには理由が有りまして、家内が超コンサバ思考で株式投資に否定的なんですね。
ですので、何とかお許しを貰って運用している状態です。不況になるか、好状況がいつまで継続されるのか予測出来ないからこその発言・考え方だと感じております。
私の家庭はこれが一番良いのかなと思いました。お互いの思惑がとりあえず一致するので(笑)
専門的な見解が飛び交う記事も良いですが、こういった親しみやすい記事も良いですね。
また楽しみにしております♪
いつもお世話になります。
奥様が超コンサバ思考にもかかわらず、半分を株式で運用できるのはむしろ凄いと読んでいて思いました。
女性は保守的な人が多いですよね。わかります。
女性は男みたいに億万長者願望がない人が多くて、日々安心して暮らせるだけのキャッシュがあれば十分だと考えている人が多い気がします。
特にきちんと働いて給料を稼いでくれる旦那様をゲットできた女性は、リスクのある株式投資なんて嫌だと思いがちだと思います。
私の勝手な推測で恐縮ですが。。
現金比率について色んな意見がありますが、結局は各個人各家庭それぞれ事情が違うので絶対の正解はありませんね。
自分でやれるペースで投資の目的に沿って続けていくのが一番だと思います。
最近、専門的な記事が多すぎてダメかなと反省していました。
これだけブログを継続しているのに、いまいち読み手のニーズを理解しきれていないですw。
なので、意識的に色んな種類の記事を織り交ぜるようにしています。
コメントありがとうございます!
今後もよろしくお願いします。