少し前に起こったかぼちゃの馬車問題。まだ記憶に新しいかと思います。
オーナーがスルガ銀行から融資を受けたうえで、スマートデイズ社が運営する女性用シェアハウスを建築。スマートデイズ社は家賃保証(サブリース)をうたっていたものの、入居者が集まらず家賃保証の額は減額。オーナーは全くもって採算が取れなくなり多額の損失を被ることになった。
ざっくり言うとこういう(詐欺)ビジネスモデルだったと理解しています。
スルガ銀行の担当者は、オーナーの所得を偽って与信システムに登録し、返済能力を超えた融資を行っていたとされています。
スマートデイズ社は、恐らくですがこの女性用シェアハウスがビジネスモデルとして成功するとは鼻から考えていなかったでしょう。YouTubeで物件を見たことありますが、とても入居者が集まるようには見えませんでした。共用部が狭くて使いづらそうで、入居者間の豊かなコミュニティが生まれるとは思えなかったです。
オーナーは老後の不安解消、年金代わり、不労所得などの甘い営業トークに乗せられて投資をしてしまったのでしょう。
スルガ銀行の融資判断は批判されて然るべきですが、オーナーは必ずしも保護に値するとは思いません。儲かると判断して(欲を出して)投資して、損失が出たから補償しろというのはちょっと虫が良すぎるとも思います。
銀行の融資判断の妥当性なんてわかんない。不動産価格の妥当性なんてわかんない。
それは仕方ないこと。私も住宅ローンやマイカーローン、証券担保ローンなどについてググって調べたことはありますが、銀行の融資可否、金利決定の詳しい仕組みは知りません。
不動産価格の妥当性もわかりません。想定家賃収入を割り引けば、物件価格はこんなもんかな~というざっくり感覚はありますが、土地の価格とかそういうのは全然わからない。ましてや建築の専門的なことは全くの門外漢。
そういう専門外の領域に気軽に多額の集中投資をしないことが先ず重要というのはありますが、それよりもリスクリターンのバランス感覚を身に着けることが大切かなと感じます。
そんなローリスクで簡単に儲かる話があるわけないよな、ましてや自分にそんな話が舞い込んでくるはずないよな、という常識的な感覚です。
不動産の専門知識の有無どうこうじゃないんですよね。
そんな知識なくとも、健全なリスクリターンのバランス感覚があれば、甘い不動産投資の営業なんて乗っかることはなくなります。営業の電話は即切ります。時間の無駄。
だいたい家賃保証なんてどう考えても実現できるわけないんです。今ノーリスクで保証できる利回りは0%台です。ネット銀行で0.1%の利息がもらえれば御の字、そんなご時世です。
入居者が付かなくても家賃が保証してもらえるとしたら、そのお金は誰が払うのでしょうか。銀行でしょうか。シェアハウスの運営会社でしょうか。
まさか、そんなはずはありません。彼らは営利目的なのです。
努力して客付けしないと家賃収入は得られません。お金が空から降ってくることはない。小学生でもわかることです。
株式投資、不動産投資ともに専門性が高く敷居が高いと思われがちです。実際、深いところまで追求しようと思えばたくさんの勉強が必要です。
でも、そういう個別領域の勉強をする前にもっと大切なことがあります。どんな分野であろうと、リスクと期待リターンのバランスは概ね釣り合っているということです。
楽して儲けることはできない、という単純なこと。
20%もの利回りが望めるなら、その裏には相応のリスクがあるはずです。リスクがないなら、それはただ見えてないだけの可能性が高いです。少なくとも、そう疑う姿勢が必要です。
収入が保証されているなら、利回りは相当低いことを覚悟すべきです。確実な収入で10%の利回りなんて確実に詐欺です。
残念ながら世の中いい人ばかりじゃありません。金儲けのためなら、人の無知に付け込むことをなんとも思ってない人もいます。
自己防衛のために必要なことは株や不動産の勉強ではないです。常識的なリスクリターンの感覚を持つこと、利益相反を疑う視点を持つこと、そういうことだと思います。