お金とは取引の仲介役でしかありません。物(サービス)と物(サービス)を繋ぐ接着剤がお金です。お金それ自体に価値はありません。特に現代は不換紙幣ですから、紙幣はホントにだたの紙切れでしかありません。

為替レートとは二国間の通貨と通貨の交換比率です。それ以上でもそれ以下でもありません。

円の価値がドルの価値より高くなる(円高ドル安)ということは、日本の物価が米国の物価より相対的に安くなることを意味します。マックのハンバーガーの値段が100円から50円に値下がりしたとすれば、それはそれだけ円という通貨の価値が高まったことを意味します。同じハンバーガーを買うのに今まで100円必要だったのに、50円で買えるわけですからね。円の価値が上がったから、より少ない円で同じハンバーガーを買うことができます。

通貨価値と物価はコインの裏表です。物価が動くから通貨価値が動くのか、通貨価値が動くから物価が動くのか、これは鶏と卵の関係みたいでよくわかりませんね。理論的に考えれば物価→通貨価値という流れだとは思ってますが。まあ、そこは議論の本質じゃないんでどうでもいいです。

通貨価値と物価は連動します、、長期的には

円安ドル高が進むということ、日本の物価上昇率が米国の(というかドル建ての)物価上昇率より高くなるということです。円安になると「わーい、為替差益儲かったぞ~」って喜びたい気持ちになるかもしれませんが、それは物価高と相殺されます、、長期的には

逆に円高ドル安で損をしても、物価上昇率が低くなることで相殺されます。「は~、円高で損して嫌だな~」と残念な気持ちになることがあると思いますが、それは物価安と相殺されます、、長期的には

そう、、長期的には・・。

確かに、為替変動(通貨価値)と物価は相殺される関係にあります。でも、、それはめちゃくちゃ長期的に見ればの話です。

 

短期的な為替変動は物価とは無関係です。通貨も、株や債券と一緒でその時のマーケットの需要と供給で決まるのみです。円が欲しいと思っている人が多ければ、円高になります。日々の為替相場に将来の物価変動なんてほとんど関係しないです。

武田薬品がアイルランドのシャイアーを約460億ポンドで買収しますが、当然武田は460億ポンドを用意しなくてはなりません。それはポンド買い要因です。円安ポンド高要因です。武田のポンド買いに将来の物価予測が介入する余地はありません。ただ、ビジネスの必要性から(買収資金として)ポンドを買うだけです。

通貨価値と物価は裏表の関係と言いましたが、実際の日々の為替マーケットと物価とはほとんど関係性がありません。

神の見えざる手によって、ある国の(相対的な)通貨価値変動と(相対的な)物価変動とは連動します。が、それはあくまで長期の話です。

具体的には50年レベルと言われます。物価変動と為替変動に相関性が確認できるのは、50年超の期間を取る必要があると言われます。昔、JPモルガン・チェースの佐々木氏がおっしゃっていました。

50年というのは、私たちの投資期間から明らかに外れるわけではありませんが、ちょっと長すぎます。円高で一見損してるように見えても、それは(相対的な)物価安と相殺されるから大丈夫だよって言われても、あまり納得感ありませんよね。そりゃ、50年という期間は長過ぎますよね。。

私たち投資家は命に限りある人間ですから、あまりに長期的な利益を意識し過ぎてもしゃーないです。相続まで考えれば話は別ですが。

外国株投資に為替差損益は付きものです。米国株投資家は、為替とは一生付き合っていかなくてはなりません。為替は長期的には物価と相殺されるからあまり気にしなくていいや~という楽観的な姿勢、うまいことドル安のタイミングでドルを仕込むことを虎視眈々と狙う姿勢、両方必要かもしれません。50年超で見れば為替は関係ないとか言われても、そんな長い調整時間を待てるほど人生は長くありませんから。

まあ、だからって為替の高い安いの判断をうまくやるのは難しいですけどね(てか無理・・)。

 

最後に、、こんな記事を書きましたが、通貨価値と物価はコインの裏表の関係で、長期的には為替変動は物価変動と相殺されるという理屈を知っておくことは大切だと思います。30年~50年という投資期間があれば、完全ではなくともある程度は、為替と物価とが相殺されることになるでしょうから。30年~であれば、個人投資家としても現実的な投資期間ですよね。

個人が下手に為替ヘッジとかしない方がいいということをきちんと理解して、為替と上手に付き合いながら米国株投資を続けれるといいかな~と思います。