コロナ禍で米国は紙幣を刷りまくって政府債務は積みあがっています。レイ・ダリオやジェフリー・ガンドラックなどの著名人が米ドルの暴落(=インフレ)をよく警告しているのを聞きますが、米ドルが暴落する未来は個人的にはあまり想像できません。
米ドルの基軸通貨としての地位を支えている要因として圧倒的な軍事力があげられます。2019年の米国の国防予算は7000億ドル超で断トツで世界トップ。2位の中国でも2500億ドルほど。日本は500億ドルくらいでしたっけ。
これだけ国防にお金を回せるのはアメリカ経済が強いからです。GDPは20兆ドル以上ですね。
これからは軍事力よりも情報統制力の方が通貨の地位に影響を及ぼすと言われますが、そうだとしてもアメリカはめちゃ強いです。
世界のITサービス・プラットフォームはアメリカ企業ばかりです。アップル、アマゾン、アドビ、フェイスブック、マイクロソフト、セールスフォースなど。これらはグローバルでサービスを展開しています。ラムリサーチなど半導体製造装置もアメリカが強い。
軍事力とそれを支える経済力、巨大デジタルプラットフォーマーの存在、いずれの観点で見ても米国が世界の先頭を走っています。いくらコロナ禍で政府債務が積みあがっているとは言え、米ドルが暴落する未来はちょっと想像できません。
ただし、相対的に米ドルの影響力が弱まっているというのは事実です。脅威は主に2つあると思います。一つが中国人民元、二つ目がビットコインなどの商品貨幣。
通貨の強弱は常に相対的に決まります。米ドルの強さは健在でも、それ以上に他国の通貨が強くなれば、米ドルは弱含みます。
最近、米ドルよりも強くなっているのが人民元。コロナ禍からいち早く復活してGDPも成長軌道に戻っていること、日米のように財政出動に頼っていないことが強い人民元の背景でしょうか。
(ウォールストリートジャーナルより)
あともう一つ米ドルの地位をおどろかす脅威としてビットコインなどの商品貨幣があると思います。最近、ビットコインの価格が上がっていますね。ペイパルも取り扱いを開始するとか。
ビットコインや金は採掘量、埋蔵量に限りがあり、その流通量を柔軟に増減させることが困難です。なので、米ドルや日本円などの信用貨幣を完全に代替することは考えにくいです。コロナ禍で米国民の口座にお金を振り込めるのは、米ドルが信用貨幣だからです。これはビットコインや金にはできないこと。
それは大前提ではありますが、ビットコインなどの商品貨幣の存在感は増していくのではと私は思います。というのも、個人や民間企業が借金して銀行が信用創造(つまり与信)する機会が減っていくと思うからです。
私たちが持っているお金は誰かの借金なわけで、みなが借金を返済し続ければ世の中のマネー流通量は減っていきます。そこで政府の信用創造つまり財政出動、MMTという発想が出てくるのですが、それ以外にも商品貨幣で経済活動を回すという方法もあるのかなと思ったりします。現実的な発想なのか自信はないですが。
“It’s the economy, stupid !”(経済こそが重要なのだ、愚か者)と言い放って、ビル・クリントンは大統領選を勝ち抜きました。
通貨も同じかなと。人民元や商品貨幣の流通という脅威は存在するものの、アメリカの経済力を考えれば、米ドルの基軸通貨としての地位は少なくとも私たちが投資家として生きる間は盤石だろうと思います。
Hiroさん
こんにちは
中国人民元とビットコインですが、自分もこの二つが基軸通貨にとって代わることは懐疑的です。
確かに中国は経済的に強くなってはいますが、中国自身が深刻な少子高齢化を迎えつつあり、
労働生産人口が減り始めているようです、
そうなると、いくら中国共産党+ITの力を用いても経済成長は難しいと思います。
ビットコインはそもそも通貨として使えるのかどうか疑問ですし、
CBDC(中央銀行デジタル通貨)を発行し始めたら
アンティーク商品のような扱いになる気がします。
ラウルカさん、こんばんは。
ビットコインはさておき、人民元はそれなりに脅威かなとは思っています。
社会主義なんて成功しないと10年前はみなが思っていましたが、中国はテクノロジーを利用して独自の資本主義的社会主義?でここまで成長してきました。
米国では若者を中心にdemocratic socialismという思想が広まっているそうです。
社会が十分に豊かになって人間の頭脳、労働が新たな付加価値を生めないようになってくると、既存の資本ストックが生み出す富をいかに配分するかにリソースを割くべきという考えが強まるのかなと個人的には思いました。
実は今の中国のイデオロギーが世界最先端を走っているのかもしれません。
資本主義が常に正しいと先入観を持たず、柔軟に思考してきたいと考えています。
が、そうは言っても、GAFAを始め世界のITプラットフォームをゼロから創り上げたのは米国ですよね。
GDPもそう簡単には中国に抜かれません。ましてや一人当たりGDPならなおのこと。
油断はできませんが、米国の繁栄はまだあと30年は大丈夫かなと思ってこんな記事を書きました。
おっしゃる通り人口動態で見ると中国は不利ですよね。