6月のアメリカ雇用統計が発表されました。

6月の非農業部門就業者数は前月比28万7千人増で、市場予想を大きく上回りました。
5月に発生したベライゾン・コミュニケーションズのストライキ終結の影響で3万5千人プラスのイレギュラー要因がありますが、それを加味しても大幅な上昇でした。

これを受けて2016年7月8日のNYダウは大幅反発し、終値で18,000ドルを回復。
S&P500指数も+1.5%の2129.90まで上昇。

ブレグジットなんてどこ吹く風、アメリカ株は順調に伸ばしておりS&P500指数は史上最高値更新までもう一歩です。

ただ、日本人投資家からしたらこのアメリカ株好調の恩恵をなかなか感じれませんよね…。
理由は言うまでもなく円高。

昨夜もアメリカ株は上昇するなか、円は買われ1ドル99円台まで円が上昇する場面がありました。
現在は100円50銭ほど。

円高の進行は自然に感じます。

アメリカも他の国々と同様にマイルドなインフレを引き起こすのに苦労していますが、それでも日本やヨーロッパに比べれば順調。
このまま安定的な景気拡大が続けばアメリカの期待インフレ率は3%ほどまで上昇する可能性があるとWSJに掲載されています。

アメリカの期待インフレ率が上昇し、しかも当面FRBが利上げしないと見込まれているということはアメリカの実質金利は下落圧力が掛かる一方です。
アメリカ実質金利の低下は円高ドル安をもたらします。

一方で日本はなかなか日銀が動かないし、期待インフレ率も下がりつつあります。
アメリカの期待インフレ率は日本人には実感し難いですが、日本の期待インフレ率は日本で生活している我々が一番実感持てるところですよね。
日本で生活していて、今後毎年2%物価上昇するなっていう雰囲気感じられますか?

日本では名目金利はすでにマイナスだし日銀が追加で金融緩和するかもよくわからん。
期待インフレ率は下がる一方ということで、日本の実質金利は上昇傾向にあると思います。

黒田日銀総裁が、何としても物価上昇率2%を達成すると宣言して日本の実質金利が急低下、それをマーケットが織り込み2013年から円安が進んだけどそれが幻想だと思われてしまい、期待が剥げ落ち期待に引っ張られていた円安が元に戻っているという感じでしょうか。

両国の実質金利に沿って為替が動くというのは長期で見れば正しいかもしれませんが、短期で為替は株価以上に実態と乖離する傾向にあります。
ブレグジットや雇用統計を機会として、円ドルの為替水準は実質金利が示す正常水準に集約してきているようです。

  2016年はずっと円高基調

ユーロ円相場がかつてのドル円相場に見える今日この頃。

今1ユーロ111円ですからね、ドル相場と見紛えます。
1年前、2015年夏にヨーロッパ旅行に行った私はアホなのか、運悪ずぎるのでしょうか?w
その時は1ユーロ135円とか138円とかでしたからね。

ちなみにイギリスロンドンにも遊びに行きましたから。
当時と今のポンド相場見比べたら、、あもう考えるの止めよう(笑)
為替の神様は僕のことが嫌いのようです。

ユーロ円推移

(上記グラフは「世界経済のネタ帳」様より拝借)

いや、なんかおかしいとは正直感じていましたよ。
ちょっとランチ食べて20ユーロって、確かにベルギーやドイツは日本よりも物価は高いのかもしれませんが、その時は円換算で3千円しましたからね。
今だと2千円位ですね。
それでもお高いですが。

ドルに対してもかなり円高が進みました。
2015年12月末に1ドル122円だったのが、今では100円ですよ。
率にして△18%。

アメリカ株に投資している個人投資家につきましては、今年はさぞ為替差損に苦しんでいることかと存じます。

私も今年は為替に相当苦しめられています。
ですが、逆に今はドルを買う時、アメリカ株を仕込む時だと前向きに考えるようにしています。

ドル円推移

(上記グラフは「世界経済のネタ帳」様より拝借)

円高を考えると、確かに今はアメリカ株の買い時といえるかもしれませんが、それでも相場は読めないし、恐いですよね。
1ドル80円まで進むということを言う専門家(っぽい人)もいますし、為替は一度トレンドができると結構行くところまでいってしまう傾向があると感じてます。

都合いい話ですが、1ドル90円とかまで円高進むのであればそこまで待ってからドル買いしたいところです。
理想論ですが。

まあ50年くらいの長期で見れば為替は投資結果に関係ないと理論的には言えます。
アメリカの実質金利が日本より低ければその分アメリカ株の名目上昇率は日本株より高くなるはずですが、その分円高で相殺されるはずです。
逆もしかり。

そもそも株価の長期上昇率に比べたら、為替の変動なのでクソみたいなもんですし。

でも投資家心理として日々そんな50年後に思いを馳せることなんてできないですよね。
短期的な為替変動や株価変動に、一喜一憂してしまうのは感情ある人間として仕方ないと思います。

株価も為替も将来を見通すことはできません。
不確かな情報を基に、その時できる最善の意思決定を日々行っていくのみです

  統計学的には2016年これ以上円高はあり得ない!?

将来は不確かですが、不確かな将来をできる限り予測しようと人類は努力してきました。

先日、新宿の紀伊国屋書店でとある本を立ち読みしていたのですが、そこである数字に目が止まりました。

ドル円の年間為替変動の標準偏差は9%

ふーんって感じでさらっと見て、その場を後にしましたがよく考えるとこれって多くの示唆を与えてくれる文章でした。

正規分布ってご存知でしょうか?
私も統計学には詳しくないので、最低限の知識ですが。

正規分布(Wikipediaより)

正規分布をとる数値の場合、±標準偏差の範囲に収まる可能性は68.3%
±標準偏差×2の範囲に収まる可能性は95.5%。

つまり、よほどの珍しいレアな事態が起きない限り、ドル円の年間為替変動は±18%(9%×2)には収まると言えます。

そして、現在の1ドル100円という水準は2015年末比で18%の円高。
ちょうど2標準偏差の動き!
しかも、たったの半年で!

仮にこのままのペースで円高が進み続けて、年間36%の円高になってしまったら統計学的にはあり得ない動きと言えます。
為替界のリーマンショック、いやそれ以上か。

1ドル100円を割って2016年が終わったら、それは統計学的には100年に4回の異常事態となります。
100年に4回ということは、25年に1回の出来事。
50年間の投資家人生だとしたら、人生で2度経験するかしないかの激しい変動ということになります。

年内のこれ以上の円高は統計学的には起こりにくいはずです。
(ただ、アベノミクスが始まった時の円安も今と同じくらいの激しい値動きだったと記憶していますので、ドル円の為替変動の標準偏差が本当に9%なのか、という疑問は残りますが。。)

ちなみに3標準偏差(9%×3=24%)の変動が起こる可能性は約0.3%。
2016年中に1ドル90円割り込むまで円高が進む可能性は、統計学的には僅か0.3%です。

統計学は言っています。
今ドルを買っていい時だよ!って。

仕込んでおきましょう、アメリカ優良株を!

※投資は自己責任でお願いしますね!