投資では卵を一つのカゴに盛らないことが大切と言われます。同意します。バフェットは信じたものに集中投資すべしと言いますが、私はバフェットにはなれません。分散投資を徹底します。

ただ分散と言っても色々あります。

アップル、エクソンモービル、ファイザーといった株式の銘柄分散。ハイテク、エネルギー、ヘルスケアといった株式のセクター分散。株式、債券、不動産といったアセットクラス分散。

もう1段レイヤーを上げて労働と資本の分散投資も大切だなと最近よく思います。

以下は今日のWSJに掲載されていたグラフ。

転職者を中心に米労働者の賃金が最近大きく上昇していることを報じた記事です。

08年、09年のリーマンショック付近も注目に値します。景気悪化で賃金上昇率は大きく低下しているもののプラスを維持しています。

ここには解雇されて給料がゼロになった人の影響は除かれていますが、少なくとも雇用が維持できた人は給料は微増だったようです。競争社会アメリカでも社員の給料を下げるのは難しいんだなあと思いました。

2008年のS&P500の年間リターンは▲40%近くになり、資本家が大きなダメージを受けたのとは対照的です。

株の運用額が大きくなって「俺も資本家の道を歩み出したな~」という実感が湧いてくると、ともすると労働収入をバカにしがちです。労働者は資本家に搾取されている、コツコツ働くなんて馬鹿らしいと。

確かに労働者は資本家に搾取されている面があるのは事実です。給料は子育て(=次世代の労働力)も含めた労働力の再生産費用によって決まっているので、「普通」の生活をしているとお金は貯まらないものです。

お金が貯まらないからこそ、労働者は来る月も来る月もせっせと資本家様のために労働に従事してくれます。基本的には資本家側の方が強い交渉力を持っています。

しかし、最近はどうも様相が違います。アメリカはニュースで見聞きする限りですが、労働者の交渉力が増しています。転職すれば20%30%と給料が上がるケースも珍しくないそうです。

経営者が安易に「リモートワークは止めてオフィスに戻れ」と言えないのは、そう言うと社員があっという間に逃げていくからです。ここにも労働者サイドの強さが垣間見られます。

日本は転職が盛んではないという文化もあって、アメリカみたく給料は上がっていません。が、生産年齢人口が少なく人手不足という状況が労働者側の交渉力を高めている印象があります。

また、若い人を中心に転職も増えてはいます。経理は汎用性が高い職種ということもあって転職者が多いですね。

これほど労働者が強い時代もあるもんなんだな~感じています。一時的できっとまた資本家優位の時代に戻るとは思いますけども。

今は株式投資家も債券投資家も受難の時です。円安で日本人投資家はあまり実感ないかもしれませんが、米株は上半期は過去最悪のリターンだったようです。ご存知の通り、債券価格も大きく下落しています(利回りは上昇)。

しかし涙目の資本家を横目に、極めて景気の良い「アセットクラス」があります。それが労働資本です。

株も債券もダメで逃げ場がない2022年と言われています。確かに資本収入に限るとそう見えますが、その裏で労働者は我が世の春を謳歌しています。逃げ場は意外なところにあったのです。

私は今の自分の立ち位置が非常に心地いいです。優良株と資産性が高い(と自己判断した)マンションを保有してそこそこの資本収入を得つつ、経理としてそこそこの労働収入も得ている。この状態をこれからも維持したいです。

そのためにもっとも重要なことは心身の健康です。

経済はいずれリセッション入りして今度は労働者が苦境に陥るかもしれません。が、そういう時こそFRBが金融緩和に舵を切るので逆に株式は復活するものです。

不景気で残業代が出なくなり、上司の風当たりが強くなると、労働の心労が重くなりますが、日々値上がりする株式資産を見ると多少は心の安定が得られます。