・企業の経済成長期待を反映して金利が上昇している。
・期待インフレ率が上がって金利が上昇している。
・減税による財政赤字懸念から金利が上昇している。

こんな感じで、ニュースや新聞で色々と金利上昇理由について説明されますよね。最近ようやく米国の長期金利がトレンドラインを突き抜けて上がり始めたので、金利に関する報道が増えたように感じます。

「企業の利益成長期待からくる良い金利上昇だ!」とか「いやいや期待インフレ率に対する不確実性が増したことによる悪い金利上昇だ!」とか、まあ色々と言われます。正解は分かりませんから、人によって色んな解釈があるでしょう。

でも、、混乱しませんか?

まあ私もブログで「期待インフレ率がうんたらかんたら・・」、「今回は良い金利上昇でうんたらかんたら・・」と散々書いてきたので同罪です。金利上昇についてその要因をあまりに抽象的に説明しようとし過ぎて、読んでる方からしたら結局金利上昇が良いのか悪いのかよくわからん!ってなるかもしれません。

だから、今回はすごくシンプルに言おうと思いました。

利上げは企業にとって「悪」でしかありません。「良い金利上昇」「悪い金利上昇」なんて区別はなく、金利上昇は問答無用で企業収益に悪影響です。企業収益を増加させる利上げなんてありません(金融除く)。

以上です。利上げって「悪」なんです。企業にとって「良い利上げ」とかありませんから忘れて下さい。金利が上がることは企業にとってはマイナス要因でしかありません。

 

金利上昇が企業にとって「悪」の理由→借入コストが上がって収益ダウン

金利上昇は企業の利益を押し下げます。なぜなら、借入金の利率が上がって銀行や債権者に支払う利息が増えるからです。

FRBが利上げしたからって既存の借入金の利率まで上がるわけじゃありませんよ。1年前に契約した借入金の率が3%だとして、FRBが利上げしたからってそれが急に3.5%に上がるわけじゃありません。3%のままです。だから、FRBが利上げしてもすぐに企業の負債コストが上がるわけじゃありません。

ただ、利上げが徐々に企業の借入コスト負担を増していくことは間違いないことです。

もっとも早く影響を受けるのは、数カ月単位で借り換え(ロールオーバー)する短期借入金です。運転資金が不足する分を短期の借入で賄うのはどの企業でも普通にあることです。これは短期で借り換えることになりますが、借り換えのタイミングでFF金利が上がっていれば契約利率も上がります。運転資金の不足を賄うための短期借入の利息には、比較的早期にFRBの利上げの影響が反映されます。

1億円を1%で借りていれば利息は100万円ですが、借り換えの時に1.5%になれば支払利息は150万円に増えます。これは当然企業の利益を悪化させます。

長期借入はロールオーバーするわけじゃなく、長期で契約を結んでいるのでFRBが利上げしても関係ありません。かつて低金利の時代に契約した長期借入は特別な契約条項がなければずっと低金利なままです。FRBが利上げしても、既存の長期債務の支払利息が増えることはありません。個人にとっての住宅ローン(固定金利)みたいなもんです。

ただ、FRBが利上げして市中金利が上昇してから契約する場合は、当然昔のような低金利で資金を調達することはできません。利上げ後の金利水準に合わせた高い利率で借り入れなくてはなりません。設備投資やM&A資金に充当される長期借入は多額になることも多く、数ポイントの利率アップでも利息負担は結構増えちゃうもんです。

また、利上げは経営者の心理にも悪影響を与えます。資金調達コストが上がるなら積極的なM&Aや設備投資は控えようと経営者は考えます。だから、利上げは企業の成長スピードを緩めます。利上げが企業の利益成長を鈍化させるのは、債務の利息が上昇して資金力が低下するというのもありますが、経営者の投資マインドにブレーキを掛けるというのも大きいです。

こうやって利上げは企業の支払利息を増やして収益を悪化させます。また、利上げによって成長投資を控える動きが出てきて、低金利時代のような積極的な投資は行われなくなります。結果として利益成長率が低下していきます。

利上げは企業にとって「悪」です。悪影響しかありません。銀行を除けば、利上げで収益が上がる要素なんて何一つありません。

あなたが企業のCEOになったと想像してみて下さい。
金利が上がって嬉しいことって何かありますか??

ないですよね。金利が上がれば銀行借入や社債発行のコストが上がって損するだけです。得することなんて何もありません。

繰り返しますが、利上げは企業にとって「悪」です。企業にとって「良い金利上昇」なんてありません。こうシンプルに理解しておく方が分かりやすくていいと思います。