2月14日バレンタインデーに清涼飲料大手の米コカ・コーラ(KO)が、2018年度決算を発表しました。決算内容は悪くなかったものの期待外れの翌2019年見通しを受けて、株価は9%近くも暴落しました。

2016年からKOに投資していますが、1日でこれほど下落したのは初めてです。大きく株価が上昇することも下がることもない「ザ・ディフェンシブ株」ですから。1日9%という下落率は2008年の金融危機以来かもしれません。

2018年通期の決算結果は以下の通りです。()内は前年比増減率。
売上高:319億ドル(△10%)
営業CF:73億ドル(+6%)
フリーCF:60億ドル(+14%)
調整後EPS:2.08ドル(+9%)

売上高が減少しているのはボトリング事業の再フランチャイズ化の影響です。EPS2.08ドルというのは予想の範囲内です。ノーサプライズ。

ただ、2019年の業績見通しが芳しくありません。

Full Year 2019

EPS: • Comparable EPS from continuing operations (non-GAAP): -1% to 1% growth versus $2.08 in 2018

コカ・コーラ社ホームページより

このように言ってます。要は2019年の(調整後)EPSは2018年からほぼ横ばいだよってことです。売上高はオーガニックで4%程度の成長予想ですが、利益は保守的に見込んでいます。 マーケットは4%程度の利益成長を期待していたので、この業績見通しに失望し株を投げ売ったようです。

予想営業CFは80億ドルと2018年度より10%ほど増える見込みです。株価は9%も暴落しましたけど、そんな悲観的になるような開示内容じゃないなってのが率直な感想。EPSゼロ成長は確かに期待外れですけど、まあ、もともとそんなに成長期待が高いわけでもないし。

先月、コカ・コーラ株を一部売却してポートフォリオ全体に占める割合はちょうど5%になっていました。今回の下落で恐らく5%を切ったかな。様子を見つつ、今年少し買い増すかもしれません。

でも、積極的に買い増す気にはなりません。というのも、バリュエーション的には全く割安感はないので・・。ゼロ成長ってことは、2019年の予想(調整後)EPSは2.08ドルということ。現在の株価は45.2ドルです。予想PERは21.7倍、益回りは4.6%。

益回り4.6%って米国債の利回りに2%プラスされた程度です。とてもじゃないですが、お買い得とは言い難いバリュエーションです。まあ高いブランド力がありかつ事業が安定している飲料メーカーの王者コカ・コーラということで、これくらいの値段になるのはしゃーないですかね。

しかしねえ、、炭酸飲料の世界市場は頭打ちだし、来期のEPSがゼロ成長の銘柄にPER22倍の値が付くのは不思議な感じもします。ある意味さすがコカ・コーラという感じ。まだまだマーケットの信頼は厚いです。バフェットも保有継続してますし。

長期投資では高い収益を継続できる優良株を選ぶことが重要ですが、買い値も大事です。バリュエーションは常に重要。いくらコカ・コーラが黄金銘柄と言えども、高過ぎる値段で買ってはリターンは乏しくなります。たとえば、1990年代後半にコカ・コーラに投資していたら、10年保有してもリターンはマイナスでした。

じゃあ、今のコカ・コーラの株価はどうなのか?
投資する価値はあるのか?

あると思います。安くはないけど、決して法外な値段じゃない。今年のEPS成長は期待できないみたいですが、5年後10年後20年後はそれなりに成長してくれると思います。世界的にまだまだ人口上昇フェーズです。清涼飲料水はiPhoneと違って単価が安いから、比較的所得が低い国にも拡販しやすいです。また、潤沢な営業CFを原資に自社株買いを続けることでEPSを拡大することもできます。

まあ、名目で5%くらいのEPS成長は行けるんじゃないでしょうか。5%ってテキトーですけどね。CAGR5%だと10年で1.6倍です。今の益回りは5%弱ですが、それが10年後には8%になる計算。さらに10年後20年後には・・とそこまで順調に推移するかはわかりませんが、コカ・コーラなら大丈夫かなって思います。

このシナリオが実現しても、めちゃくちゃ高いリターンは期待できないですけどね。良くも悪くも安定銘柄。複利の力で長期的に地道にリターンを積み上げるのに向いている銘柄です。

アジア新興国やアフリカ諸国の成長を取り込めれば、意外にもっと成長できるかもしれません。一方で、健康志向から炭酸飲料市場が縮小しているリスクは要注意ですね。

ってことで、株価暴落も特段割安感はなくコカ・コーラ株の投資判断は「中立」。40ドル台前半まで下がったら少し買い増そうかな。