※2021年3月期決算データ反映
主要な日本企業の業績、財政状態、キャッシュフロー、株主還元状況について過去10年分のデータをグラフ化しています。
データソースはMorningstarおよび有価証券報告書です。
今回は伊藤忠商事をご紹介します。
基本情報
会社名 | 伊藤忠商事株式会社 |
ADRティッカー | ITOCF |
創業 | 1949年 |
上場 | 1950年 |
決算 | 3月 |
本社所在地 | 大阪府北区梅田 |
従業員数 | 125,944 |
セクター | 総合商社 |
S&P格付 | |
監査法人 | 有限責任監査法人トーマツ |
地域別情報
地域別売上構成比
地域別売上高推移
割愛
セグメント情報
セグメント別売上構成比
セグメント別売上高推移
セグメント別純利益構成比
セグメント別純利益推移
業績
※FY18に売上高が急増しているのは、IFRS15号に適用によるもの(一部取引を純額表示から総額表示へ変更)
株主利益
キャッシュフロー
バランスシート
資産
負債純資産
株主還元
自社株買い情報はFY16以降
連続増配年数
不明
過去9年の配当成長
年率+8%
この9年で配当は2倍になりました。
過去の株主リターン(年率、配当込み)
データ取れず
バリュエーション指標(2021/6/24時点)
予想PER:8.8倍 最新情報はこちら
配当利回り:2.9% 最新情報はこちら
コメント
伊藤忠商事は日本を代表する大手総合商社の一つ。あの青山のビルが本社だと思い込んでいたのですが、本社は大阪梅田なんですね。
有価証券報告書によると社員の平均年収は1600万円を超えているみたいで、羨ましい限りです。
事業セグメントは以下の8つに分かれています。
繊維
機械
金属
エネルギー・化学品
食料
住生活
情報・金融
第8
最後の「第8」なる事業は具体的にはファミリーマートみたいです。
情報・金融では「ほけんの窓口」がCMもたくさん打ってて有名ですね。
伊藤忠は三菱、三井と違って資源分野の割合が低いことが特色の一つです。この10年赤字は一度もありません。
財務データを見てみましょう。
FY20(21年3月期)の純利益は4014億円で前年比▲999億円(▲20%)。純利益率4%、ROE12.7%、ROA3.6%。
コロナ禍も影響しすべての事業部門で減益となりました。部門別の減益額(減益率)は以下の通り。
繊維:▲74億円(▲82%)
機械:▲339億円(▲60%)
金属:▲73億円(▲7%)
エネルギー・化学品:▲257億円(▲42%)
食料:▲248億円(▲50%)
住生活:▲338億円(▲61%)
情報・金融:▲43億円(▲7%)
第8:▲48億円(▲18%)
もっとも減益幅が大きかったのは住生活部門。新型コロナウイルスの影響で欧州タイヤ、パルプ事業が低迷しました。
配当はこの10年増加を続けており、自社株買いも実施しています。が、この5年平均で配当性向26%、総還元性向34%というのはやや寂しい感じがします。
PERは9倍弱とバリュー株のそれです。昨年、バフェット(バークシャー)が伊藤忠株を取得して話題になりました。
2021年6月26日号の週刊ダイヤモンドに日本基準で減損なのにIFRSは利益 伊藤忠・CITICの珍事という記事が出ていました。参考にしてください。
減損範囲の違いでしょうか。
減損はどこも恣意的な面がありますからね。
ありがとうございます。
基礎営業CFで見ると伊藤忠5740億円に対して、三井物産6581億円、三菱商事6252億円で実は三井三菱には及ばないとか、日本基準の単体決算では21年3月期はCITICに対して2427億円の巨額減損で713億円の赤字だけどIFRSでは同じCITICから725億円取込利益を計上しているとありました。日本の会計基準では減損なのにIFRSでは利益計上ということのようです。2015年出資当時のCITIC株は1株13.8HKドルで21年3月末は7.36HKドルだったそうです。IFRSでは2019年に出資総額6000億円に対し1443億円減損計上しているが、回収可能価格が減損後の簿価を超えているという判断のようです。
CITICと言えば岡藤会長の肝いりの中国ビジネスですよね。
回収可能価額というのは、将来の見積もりですから、いかようにも計算できますよね。
このあたりが投資家にとってもリスクで、商社の低いバリュエーションの要因の一つに思います。