うちの会社は売上高も時価総額も兆円単位の大企業で、本社経理部門の人数は50人くらいです。ただ、全員が決算作業に従事しているわけではありません。連結決算を担当しているのは、私を含めて10人もいません。
入社して8年以上経ってそれなりに経験を積んできたのもありますが、仮に一人で連結決算締めろって言われても不可能ではないです。やれないことはない。残業ベースにはなるだろうし、多少はスケジュールが遅れそうですが何とかやれるイメージは持てます。さすがに有価証券報告書の作成までは無理ですが。あくまで連結PLを作るまで(試算表を出すまで)。
なぜそんなことが可能と言えるのか。無論、私が優秀なスタッフだからではありません。現代の経理プロセスの大半はシステムがやってくれるからです。
連結決算のプロセスをもの凄くざっくり言うとこんな感じになります。
・本社の決算書を会計システムに転送
↓
・各子会社が本社の会計システムに決算データ(パッケージと呼ぶ)を送信
↓
・連結処理を実行し、自動で連結仕訳が生成される
↓
・必要に応じてマニュアルで連結仕訳を作成、投入する
↓
・連結PL完成
↓
・数値に異常がないか分析
本社の決算書も子会社の決算書もすべてデータで、紙ベースのものはほとんどありません。エクセルでもらう資料はありますが、大半の財務データは会計システムに転送されます。連結仕訳も大半はシステムが勝手に作成してくれます。
システムがやってくれるからって、担当者が何も理解しなくていいわけではありません。むしろ、どういうロジックが背景にあって会計システムが動いているのかを理解する必要があります。でないと何かエラーがあった時、対処できなくなります。自分で仕訳を切らなくていいからと言って、会計知識がなくていいわけではないです。だから勉強は必須。
ただ時間のかかる手作業、単純オペレーションはシステムが代替してくれます。もし、決算作業がすべて紙ベースでかつ、すべての仕訳を手で起票しなくてはならないとしたら、とてもじゃないですが今の人員体制じゃ無理です。ましてや、一人で決算締めるなんて夢のまた夢。
こないだ、菅田将暉さん主演の『アルキメデスの大戦』を観てきました。面白かったです。1933年、欧米列強との軍拡競争に打ち勝つべく、海軍省は世界最大の超巨大戦艦「大和」の建造を計画していました。しかし、海軍少将の山本五十六(舘ひろし)は「時代は戦艦ではなく空母だ」と大反対。
山本は海軍省が大臣に提出した巨大戦艦の建造予算が出鱈目だと確信。そんなに安いコストで作れるわけないと。しかし、それを証明する術がない。そこで目を付けたのが元帝国大学の天才数学者・櫂直(菅田将暉)。山本は櫂を少佐に抜擢し、海軍省の巨大戦艦の建造予算が嘘であることを証明するよう指示。時間と資料が限られる中、櫂は戦艦「大和」の見積もりを自ら計算し、海軍省の嘘百八を暴いていきます。
戦前のことですから、当然パソコンなんてありません。すべて紙で計算します。戦艦を建造するか決定する会議の直前まで紙と鉛筆でガリガリ計算しているシーンが出てきます。とあるデータを入手するために櫂が2日以上かけて東京から大阪に向かうシーンもありました。今ならメールで資料を送ってもらうだけで済むところです。
当時の企業の経理部門の様子なんて知りませんが、何十人もの人が徹夜で作業していた姿は想像に難くありません。今の会社に入社した時に、50年くらい前の職場の写真を見せてもらったことがあります。社史かなんかで。パソコンはなくみんなデスクに座って何か作業していました。当時の帳簿も見せてもらったことありますが、もちろん手書きです。達筆で驚きました。字が下手くそな私は現在のPC時代に生まれてよかったとつくづく思います。
今は紙で経理作業するなんてほぼないです。いや、全くと言っていいかな。すべてエクセルないしシステムです。コンプライアンスのために紙で出力して押印して保管する資料もありますが、大半はデータ形式でサーバーに保管されています。
テクノロジーの発展のおかげで、大企業であっても連結決算は数名の人員で事足ります。多少の粗を許容すれば、一人でも仕事が回るくらいです。この現代の仕事環境を当たり前と思ってしまいますが、一昔前には考えられなかったことです。
技術の発展によって、人がやる仕事はどんどん減っていきますね。行き着くところまで行くと、どうなるのかなってたまに思います。
こんにちは。ししです。
ぼくの今の出向先がまさに手帳簿のままで、システム化を進めているところです。
年商100億円以上の企業で、手帳簿です。
やばいですよwww
ししさん、こんばんは。
手帳簿は驚きますね。
どうやって決算締めているのか不思議です。
でも昔はそれが当たり前だったんですね。