この10年での値上がり率上位のマンションの大半は所謂タワマンです。タワマンの定義は実は明確にはないそうで、目安としては20階以上の高層マンションを指すそうです。

マンションの勉強をして知ったのですが、タワマンの人気が高いのは眺望や充実した共用設備、優越感だけでなく、相続税対策という側面もあるんです。富裕層は税金には敏感ですからね~

タワマンは面積当たりの土地所有割合が小さいです。容積率緩和を利用して上方に伸ばしたマンションですから。

で、そうやって一人当たりの土地所有割合が小さいと、マンションの相続税評価額が小さくなるというのが節税のカラクリです。例えば、1億円のタワマン1区分を購入したとしても、その相続税評価額は3千万円になったりするわけです。

元の所有者が亡くなると子どもなどに相続されるわけですが、相続マンションの課税対象が小さいので支払う税金が安くなります。

これから日本はますます相続需要が高まるから、資産価値を気にするならタワマンを狙った方がいいと主張する識者もいらっしゃいます。

確かに、そういう需要があるのは事実でしょう。資産価値とはつまるところ「いかに他人が欲しがるか」です。相続税節税のために富裕層が欲しがるタワマンを所有しておけば、将来値上がりする可能性が高いと考えるのはおかしな発想ではないと思います。

しかし、これはマンション素人の個人的意見ではありますが、「タワマン→節税対策→資産価値が高い」というロジックを盲信するのはちょっと危険じゃないかと感じます。

たとえ相続税対策でタワマンを購入したとて、そのマンションは当面は賃貸に出すはずです。相続税評価額が下がるからとはいえ、数千万円から億単位のお金を払っておいて、その資産を遊休にすることは普通はないでしょう。

賃貸に出してしっかり家賃収入を稼いでくれないと、いくら税金対策になるとは言え資本効率は悪くなります。

結局のところ、住宅の価値とは相続税対策ではなく、そこに居住して快適な生活を営める環境を提供することです。そこに住むために家賃を払ってくれる人がいてこそ、住居としての価値があると言えます。

物件価格相応の家賃を取れないなら、いくらタワマンでも資産価値は維持できないはずです。

株式の本源的価値はEPS次第です。マンションの本源的価値は家賃次第です。そこに住むためにいくらまで払ってくれる人がいるのか。相続税云々よりも、そこの住居としての本質を考えることの方が大切ではないかなあと、タワマンを勧める某書籍を読んでて感じました。

まあ、都内のタワマンは大抵は良い立地にあり、住居としての役割もしっかり果たしていることが大半なので、心配し過ぎる必要はないかもですが。

とにかく思ったのは、相続税対策の需要を期待してタワマンの資産価値を過剰に高く見積るのはどんなんだろうということです。

ちなみに私はタワマン否定派でも肯定派でもどっちでもないです。あんまギラギラしたマンションは好きではないですけどもね。管理がしっかりされていて程よい規模のタワマンなら、駅近の良い立地にあり価格が妥当であれば選択肢に入ります。