銀行は住宅ローン審査をするにあたって以下の2点を審査しているはずです。

①融資する人物の属性(年収、勤務先、勤続年数など)
②担保不動産の価値

年収が高く安定している企業に長く勤めているほど信用は高くなります。最近は転職が当たり前の時代なので、勤続年数はさほど重視されなくなっているらしいですが。

とにもかくにも、銀行にとって融資顧客の属性が良いに越したことはないでしょう。

では、担保不動産の価値はどうなのか?

普通に考えると、担保不動産の評価額が高い方が銀行にとって好ましいと言えます。なぜなら、万が一の時に物件を現金化して債権を回収できるからです。

しかし、本当にそうかなと私は思います。むしろ、銀行にとっては担保不動産の価値はそこそこ低い方が都合がいいのかもしれません。

というのも、資産価値の高い物件だと、物件を売却することで繰り上げ返済されちゃう可能性が高くなるからです。

銀行は利息で儲けています。数千万円というボリュームかつ35年という長い期間で、低い金利という悪条件をカバーしようとしています。また、メインバンクになることで投資信託や保険などを売り込みやすくなるメリットもあるかもしれません。

銀行からしたら、35年かけてじっくりじわじわと利息を取ることが住宅ローンビジネスのうまみと言えます。それなのに、たとえば購入後10年で物件を売却して一括返済されると、25年間の利息を取りこぼします。

債権が貸し倒れるよりマシではありますが、そもそも住宅ローンは誰しも必死になって返済するので、そう簡単にデフォルトは起きないものです。債務者を馬車馬のように働かせて、せっせと利息を払わせることが銀行の目論見です。

購入後10年で物件を売って債務を一括返済できるということは、その物件の資産価値が維持されている証です。

担保不動産の価値が高いと、貸倒リスクは下がるけど繰上返済リスクは高まる。銀行にとっては後者のデメリットの方が大きい気がします。

これは住宅ローンを借りる私たちが銀行に人生を奪われないために重要な視点ではないでしょうか。

35年ローンだからって、必ずしも35年で返さなければならないわけではありません。返そうと思えばいつでも返せる状態であった方が、精神的に健全でいれます。そのために重要なことは資産価値のある物件を買うことです。

バランスシートの右側にある巨額の住宅ローン債務に負けない金額規模の有形固定資産を、バランスシートの左側に計上することができればいいわけです。

銀行にとって都合が悪いことは、私たちにとって都合が良いということ。銀行は別に敵というわけではなくビジネスパートナーなので仲良くやっていくことが大切ですが、だからって銀行に人生を牛耳られるのはごめんです。