※2019年12月期決算データ反映、コメント刷新
S&P100構成銘柄を中心に米国企業の業績、財政状態、キャッシュフロー、株主還元状況について過去10年分のデータをグラフ化しています。
データソースはMorningstarです。
今回はギリアド・サイエンシズ(GILD)をご紹介します。
基本情報
会社名 | ギリアド・サイエンシズ |
ティッカー | GILD |
創業 | 1987年 |
上場 | 1992年 |
決算 | 12月 |
本社所在地 | カリフォルニア州 |
従業員数 | 11,800 |
セクター | ヘルスケア |
S&P格付 | A |
監査法人 | EY |
ダウ30 | × |
S&P100 | 〇 |
S&P500 | 〇 |
ナスダック100 | × |
ラッセル1000 | 〇 |
地域別情報
地域別売上構成比
地域別売上高推移
セグメント情報
1セグメントのため情報なし
業績
キャッシュフロー
バランスシート
資産
負債純資産
株主還元
連続増配年数
4年
過去4年の配当成長
年率+18.2%
この4年で配当は2.0倍に成長しました
過去の株主リターン(年率、配当込み)
過去10年(2010~2019):+13.1%
過去20年(2000~2019):+20.8%
過去30年(1990~2019):+19.5%
バリュエーション指標(2020/4/6時点)
予想PER:11.4倍 最新情報はこちら
配当利回り:3.5% 最新情報はこちら
コメント
ギリアド・サイエンシズ(GILD)は1987年に設立された大手バイオ医薬品メーカーです。世界30カ国以上でビジネスを展開しており、2012年には日本法人も設立されています。
HIV、C型肝炎、インフルエンザ等の抗ウイルス剤の開発を行っています。インフルエンザ薬の「タミフル」はギリアドの製品です。血液がん、循環器系疾患の領域でも貢献しています。
事業セグメントは分かれていませんが、販売している医薬品は大きく以下の2つに区分できます。
・抗C型肝炎薬
・抗HIV薬
C型肝炎薬としては「ハーボニ」、「エプクルサ(Epclusa)」、「ソフォスビル(Sofosbuvir)」などがあります。「ハーボニ」はFY14以降の売上成長を牽引した製品です。抗HIV薬、HBV薬としては「ゲンボイヤ(Genvoya)」、「ツルバダ(Truvada)」、「ビクタルビ(Biktarvy)」などがあります。
2020年4月現在、世界中が新型コロナウイルスに怯えています。ギリアドの抗HIV薬「レムデジビル」に治療効果があると期待されており、一部については無償での提供を表明しています。まだ臨床試験の途中ですが、急ピッチで増産体制を整えているところです。効果が確認されれば、ギリアドの売上高は急増するでしょう。
財務データを見てみましょう。
売上高はFY13→FY14にかけて2倍超に急成長しました。C型肝炎治療薬「ハーボニ」が当局承認となったことが理由でした。「ハーボニ」は2013年発売の「ソバルティ」の改良版で、当時の薬価は10万ドル。米国には300万人以上のC型肝炎患者がいます。売上高はFY15をピークに減少傾向。
FY19の売上高は224億ドルで前年比+1.5%。HIV薬の売上が伸びました。FY19の純利益は53.8億ドルで前年から若干の減益でした。
営業CFは売上高とほぼ連動しています。設備投資が少なくフリーCFも潤沢です。
流動資産が総資産の半分弱を占めます。内容は主に現預金。バイオ医薬品の開発は失敗リスクが高いし、収入のボラティリティも大きいです。高いビジネスリスクを考慮して厚めに現預金を持っているのかもしれません。固定資産の中身は投資有価証券と無形資産(M&Aに伴う開発資産や、内部開発費の資産化部分と思われる)。
配当はFY15から出しており、以降増配を続けています。自社株買いも毎年実施。特にFY15とFY16は2年間合わせて200億ドル超の買い戻しを実施しました。
早速の分析ありがとうございます。自分でもHiroさんのように分析できるよう勉強します。
いえいえ、どういたしまして!
ご依頼ありがとうございました。ギリアド注目ですね。
こんばんわ。
アッビでも書き込みしたものです。
レムデジビルの成績がNew England Journal of Medicineという権威ある雑誌に載ってましたね。
有効っていう解釈でよいと思います。
カレトラは無効、アビガンは軽症例にのみ有効というのが今のおおざっぱなコンセンサスと思われます。今後覆るかもしれません。
今の流れを個人的に解釈するとコロナは多分アメリカ含む先進国ではクロロキンが治療の中心になっていくと思います。日本はよくわかりません。
B型肝炎の治療薬のベムリディがB型肝炎治療としてはほぼfirst choiceとなっていて他に代わる薬がないのでしばらくは稼ぎ頭になると思います。
こんにちは。
クロロキンとはトランプ大統領が使用を推奨していた抗マラリア薬でしたっけ。
レムデシビルではなくそちらが治療の主流になる可能性が高いんですね!
いずれにしても治療薬が確立すれば人々の不安は解消されて、経済にもポジティブに働きそうです。
薬、ワクチンの開発は長い時間を要するものですが、ここまで莫大なリソースがかけられれば何か解決の糸口は見つかるだろうと期待しちゃいます。
医療も一つのビジネスだから仕方ないことですが、先進国で疾病が流行すると凄まじい資本が投入されますね。
もちろん、そのインセンティブのおかげで助かるから市場原理は素晴らしいものですが。