S&P100構成銘柄を中心に米国企業の業績、財政状態、キャッシュフロー、株主還元状況について過去10年分のデータをグラフ化しています。

データソースはMorningstarです。

今回はギリアド・サイエンシズ(GILD)をご紹介します。

基本情報

会社名 ギリアド・サイエンシズ
ティッカー GILD
創業 1987年
上場 1992年
決算 12月
本社所在地 カリフォルニア州
従業員数 10,000
セクター ヘルスケア
S&P格付 A
監査法人 EY

ダウ30 ×
S&P100
S&P500
ナスダック100 ×
ラッセル1000

地域別売上構成比

セグメント別売上構成比

業績

キャッシュフロー

バランスシート

資産

負債純資産

株主還元

連続増配年数

3年

過去10年の配当成長

割愛

過去の株主リターン(年率、配当込み)

過去10年(2008~2017):+12.8%
過去20年(1998~2017):+23.1%
過去30年(1988~2017):+20.3%

バリュエーション指標(2019/1/23時点)

予想PER:10.1倍 最新情報はこちら

配当利回り:3.3% 最新情報はこちら

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ギリアド・サイエンシズ(GILD)は1987年に設立された大手バイオ医薬品メーカーです。世界30カ国以上でビジネスを展開しており、2012年には日本法人も設立されています。

HIV、C型肝炎、インフルエンザ等の抗ウイルス剤の開発を行っています。インフルエンザ薬の「タミフル」はギリアドの製品です。血液がん、循環器系疾患の領域でも貢献しています。

事業セグメントは明確には開示されていませんでしたが、大きく以下の2つに区分できます。
・抗ウイルス剤(C型肝炎)
・抗ウイルス剤(HIV、HBV)

C型肝炎薬としては「ハーボニ」、「エプクルサ(Epclusa)」があります。特に「ハーボニ」はFY14以降の売上成長を牽引した大型商品です。抗HIV薬、HBV薬としては「ゲンボイヤ(Genvoya)」、「ツルバダ(Truvada)」などがあります。

財務データを見てみましょう。

売上高はFY13→FY14にかけて2倍超に急成長しました。こういうPL推移を見ると「ああ、きっと大型M&Aやったんだな」って思います。今回もそうだと踏んでましたが、実際は違いました。C型肝炎治療薬「ハーボニ」が当局承認となったことが理由でした。「ハーボニ」は2013年発売の「ソバルティ」の改良版で、当時の薬価はなんと10万ドル。米国には300万人以上のC型肝炎患者がいます。

売上高はFY15をピークに減少傾向。当時は「ソバルティ」と「ハーボニ」の2つで年間200億ドル以上の収入がありましたが、現在では50億ドル程度まで減少しています。

FY17の売上高は261億ドルで前年比△14%と減収。「ソバルティ」、「ハーボニ」の売上高が半分以下の減少した影響が大きいです。薬価の影響もあるでしょうが、販売数量の減少による影響の方が大きいです。

FY17の純利益は46億ドルで前年から大幅減。売上低迷もありますが、税制改革による一時コストが効いています。米国外子会社の留保利益に対して55億ドルの税金費用を計上しています。

営業CFは売上高とほぼ連動していますね。設備投資がなく(R&D投資がほとんど)、フリーCFは潤沢です。

バランスシートを見ると、流動資産が45%と意外に多いなあと思いました。中身は現預金。バイオ医薬品の開発は失敗リスクが高いし、収入のボラティリティも大きいです。高いビジネスリスクを考慮して厚めに現預金を持っているのかもしれません。固定資産の中身は投資有価証券と無形資産(M&Aに伴う開発資産や、内部開発費の資産化部分と思われる)。

負債純資産を見ると、自己資本比率が徐々に低下していることがわかりますね。FY17時点で29%。借入金が増えていることに加えて、税制改革に伴って米国外留保利益に対して繰延税金負債を計上しているためです。

配当はFY15から出しています。ただ、それまでも自社株買いは行っていたようです。FY15、FY16はそれぞれ年間100億ドル超の自社株買いを実施しています。C型肝炎薬「ハーボニ」等がもたらした多額の収入を、配当ではなく自社株買いとして株主に還元したようです。収入のボラティリティが高いので、安定配当ではなく柔軟な自社株買いによって株主に報いていくという財務方針は今後も継続されるかもしれません。