Fortress Balance Sheetsという言葉

コロナショックをきっかけにPLよりもバランスシート(BS)を見ようという主張をよく見かけます。いいことだと思います。BSって財務3表の中ではどうしても脇役的で軽視されがちですが、たまにはBSの安全性を精査するのも大切だ思います。

Morningstarが”17 Stocks With Fortress Balance Sheets”という記事をあげていました。

タイトルにあるFortress Balance Sheetsという言葉は、JPモルガンチェースCEOのジェイミー・ダイモン氏が言いだした言葉で、今では一般用語化しているそうです。Fortressとは要塞という意味です。外敵から身を守ることができる堅固な要塞のように強いバランスシートということでしょうかね。

こんな用語知ってました? 会計業界に10年以上いますが初耳でした。覚えておこう。

コロナ問題でどれくらいの期間、経済活動が低迷するかわかりません。米国の感染者数は4月中にピークを迎えるとは言われるものの予断はできません。日本は東京を中心にこれから急増する可能性もあります。

要塞のようなバランスシートを持っている企業は、コロナウイルスに侵されることなくマーケットを元気に上っていけるはずです。MorningstarはFortress BSを持ちかつ、割安に放置されている17銘柄を紹介しています。以下が要塞たちです。

Fortress Balance Sheetsを持つ割安銘柄

エアープロダクツ・アンド・ケミカルズ(APD)
アルファベット(GOOGL)
ブラックロック(BLK)
ボストン・ビール(SAM)
ブロードリッジ(BR)
シェブロン(CVX)
コカ・コーラ(KO)
コムキャスト(CMCSA)
エコラボ(ECL)
ハネウェル・インターナショナル(HON)
イングレディオン(INGR)
ノバルティス(NVS)
パブリック・サービス・エンタープライズ(PEG)
ロシュ(RHHBY)
シュルンベルジェ(SLB)
サービスナウ(NOW)
サザンカンパニー(SO)

以上が財務安全性が高く割安だとモーニングスターが推す銘柄です。

上記のうち、半分くらいは財務データをウォッチしていますが、個人的に「買い」だと思うのはアルファベットです。現金持ち過ぎで批判されることもありましたが、結果として今みたいな経済環境になり多額の手元現金が強みに変わっています。一時的に広告出稿は減るでしょうが、いずれ経済活動は立ち直り収入も上向くでしょう。それまで耐え凌ぐ力は十分にあります。まさにFortress(要塞)という言葉がピッタリです。私は無配が嫌で投資を見送りました。

コカ・コーラって確かにコロナショックで結構株価が落ちましたが、それでもPERは19倍ほどはあります。これで「割安」の評価をもらえるもんなんですね。しかも判定は星5つです(もっとも割安という評価)。こういう高PERの生活必需品銘柄のバリュエーションってどう解釈すべきなのか、なんだかちょっとモヤモヤする時があります。まあ、モーニングスター社の割安割高の判定はあくまで参考情報で過信はダメだと思ってますけどね。

シュルンベルジェ(SLB)も星5つで割安評価となっていますが、めちゃくちゃボラティリティ高いので、もし投資するなら覚悟した方がいいです。私はドロドロに溶けたSLBを保有したままですが、買い増しはもう無理です。

さて、上記の17銘柄以外にもう一つ要塞のように堅い守備力を誇る銘柄があると原文記事では紹介されています。それがアドビシステムズ(ADBE)です。もともとランキングに入っていたけど、株価が上がって割安評価ではなくなったのでランク外になったとのこと。

アドビはSaaS型ビジネスのパイオニアです。サブスクリプション型収入の割合は2012年にはわずか10%強でしたが、2019年度には約90%に達しています。しかも、その間に売上高は2倍以上に成長。ちなみに、私の会社もアドビにライセンス料を支払っています。安定収入が要塞のような強いバランスシートの基礎となります。アドビも優良銘柄です。

(参考外部サイト)
17 Stocks With Fortress Balance Sheet