最近ESG投資というワードを新聞やニュースでよく見かけます。

Environment(環境)
Social(社会)
Governance(企業統治)
の3つの単語を取ってESG投資と呼びます。

二酸化炭素の大量輩出やスモッグなどの環境被害をなくすこと(環境)、ブラック労働などの人権を無視した働き方を強制しないこと(社会)、社外取締役による経営陣の監視、報酬制度の見直し、より投資家フレンドリーなディスクロージャー(企業統治)といったことを重視している企業に投資しましょうというものです。もともと国連が言い出したことです。

ESG投資は普通に良いことだと思っています。EもSもGもどれも大切。株式会社は利益を追求するのが当然ですが、そのために環境を破壊したり人権を無視した働き方を従業員に要求してはいけません。そこは常識として守る必要があります。あと、経理部としてもっとも関心があるのはGovernanceです。経営者は株主の監視がない状態で自由にうん百億円単位の資金を使う権限があるので、ともすると株主利益に反する行動を取るリスクがあります。それを抑制する仕組みは必要です。最後は経営者一人一人の倫理観ですが。

とまあ、ESG投資の発想には共感しているのですが、ESG投資と投資リターンは相反するものという意見が散見されて、それはちょっと違うんじゃないのかな~と思います。

「投資で金儲けなんて別に興味ないです。金儲けはいいから私は環境と人権に優しい企業にお金と投じたいんです。」的な風潮をやんわり感じます。

「決めつけたくはないが、投資を通じた社会・環境への影響について男性は女性ほど関心がない」と語る。男性は資産ポートフォリオをリターンの観点からしか捉えようとしないと同氏は言う。「女性も利益は求める。と同時に自らの資金が世の中のためになることもまた望んでいる」。

バロンズより抜粋


男性は資産ポートフォリオをリターンの観点からしか捉えない。
女性は、利益も求めるけど、資金が世の中のためになることも望む。

男女の違いはちょっと置いておくとして、「世の中のためになる」ってどういうことやろって思いますね。「世の中のためになる」事業をしている企業は必然的に高収益を上げて、結果として投資リターンも高まります。だから、投資でも事業でも利益を追求することは基本は善だと思います。「世の中のためになる」ことをしているけど利益が小さいなら、それは「世の中のためになる」と投資家が勘違いしているだけで、実際は世の中のためになっていない可能性が高いです。

昔、村上ファンド代表の村上世彰氏が「お金儲けって悪いことですか?」って会見で喋って波紋を呼んだことがありました。何事も言い方は大切ですが、お金を稼ぐこと自体は悪いことなわけがありません。仕事を通じて社会の誰かを幸せにできたから、お金を稼げているわけですから。お金、利益とは社会に与えた価値を金銭で定量評価したものです。

ESG順守と投資リターンは決して相反するものではありません。環境を大切にする余裕のある企業、従業員を大切にできる企業、こういう企業はビジネスも順調で利益も高い傾向にあるだろうと思います。

というか、、なんて言うか、環境に優しい、人に優しい(と投資家が思っている)企業に投資できれば、リターンは低くても構わないという姿勢自体が個人的には違和感です。違和感っちゅうか価値観の不一致です。(投資)収益率が低い企業に投資するってことは投資判断ミスであり、社会に価値を生んでいないビジネスに資金を提供することを意味します。

別に利益至上主義を主張したいわけでも何でもないのですが、投資家としてリターンを追求することは最重要ミッションだと思ってます。僕は株式投資でガッツリ儲けたいです。こう見えてもS&P500を超えるリターンを目指してます。投資利益の絶対額としては億単位が目標です。含み損のポートフォリオの僕がこんなこと言っても説得力ないと思いますが、本気です。稼ぎたいです。そしてしっかり税金も納めて少しでも日本財政に貢献できれば幸いです。んで、稼いだ金はなるべく残さず使って人生を楽しみたいです。

結局、ESG投資なんて言葉出てくるのは金があるからです。経済的余裕があるからです。

経済成長不要論とか僕は反対です(昔25歳くらいの頃は賛成でしたがw)。日本をはじめとした先進国の国民はみんなお金持ちです。「いやいや貯金10万円しかねーよ。俺は金なんてねーよ」って思う人もいるかもしれませんが、そういう貯金額どうこうではなく、これまで社会に蓄積されてきた資本という意味でです。分かりやすい例で言えば、誰でも使えるデパートのトイレとか。世界トップレベルに清潔なトイレを無料で使えるって何気に凄いことですよ。あとは通信設備もそうだし、色んなテクノロジーもそうです。書籍などの情報もです。

利益を追求してバリバリ週休1日で馬車馬のように働いてきた上の世代の方々の努力によって、今の私たちの豊かな生活は成立しています。過去の利益の蓄積の上に私たちの高水準な生活があります。だから、安易に「利益は求めない」「金儲けには興味がない」と言うのは僕は嫌いなんです。「親から相続した資産が10億円あるから、働きたくない」って言ってるボンボンみたいな感じがするので。ま、相続であろうと金があるなら働かないのは自由ですけどね。。

なんだか、ESG投資反対派って思われちゃいそうですが、そんなことはないです。環境保護、過度な残業廃止、どれも大切なことだと思っています。ただ、それと投資利益は相反するものじゃないし、投資家としてリターン追求を放棄してはいけないと思うだけです。

ESGってもはやビジネスの前提くらいな位置づけです。ESGを守らずに利益を追求するような企業には投資したくありません。ただ、創業100年以上もあって連続増配50年クラスの企業がESGを守れてないはずがありません。そんな企業は勝手に淘汰されるでしょうから。

ESG投資に対してちょっと違和感を感じことあるので、思っていることをそのまま記事にしてみました。