毎年恒例の「バフェットからの手紙」の2019年度版が公開されました。バフェットはこんなことを言っています(自分なりに訳します)。

確かに言えることは、今後数十年現在の低い金利と低い法人税率が持続するならば、株式は長期の固定金利債よりも遥かに優れたパフォーマンスをあげるだろう。

バークシャーの年次書簡(2019年度)

バフェットは株式に強気の立場ですが、あくまでも債券と比較してというスタンスです。まあ、債券と比較されるのは当然なんですけどね。企業業績以外で株式のバリュエーションにもっとも大きな影響を与えるのは金利ですから。

長期で株が債券をアウトパフォームするのは自明に感じます。素人の僕でもわかるくらいです。米10年債利回りは2020年2月25日現在1.4%です。一方で、S&P500指数の益回りは5%台(予想PER18倍前後)です。

投資リターンは、結局のところ投資額と将来利益(将来キャッシュフロー)との関係で決まります。短期では利回りと関係なく手品みたいにキャピタルゲインを得られる時もありますが(1年で株価2倍になった私のアップル株のように)、長期では金融商品が生み出すキャッシュフローが投資家の利益となります。それ以上もそれ以下もありません。

現在、10年債の利回りは1.4%、30年物でも1.8%です。固定利回りです。10年債に100万円投資したら毎年1万4千円もらえます。10年で14万円です。満期までもつなら結果は不変。増えも減りもしません。

一方で、現在S&P500指数に100万円投資すれば、初年度の理論利益は5万~6万円です。しかも利益は、景気循環で上下はあれど時間が経つごとに増加していくことが期待されます。来年は6万5千円、2年後は7万円・・といった感じで。少なくとも、インフレ率程度の利益成長は期待できます。

この条件で長期債が株式に勝つのはどんなシナリオでしょうか?

シナリオ①
深刻なデフレが止まらず、米国もついにマイナス金利突入!

シナリオ②
資本主義経済が崩壊の危機!企業業績が長期低迷し、これまで市場牽引してきたGAFAMの一部は倒産の危機に!

適当に書きましたが、これくらいのことが起きないと長期で債券が株をアウトパフォームするのは無理だと思います。だから、バフェットが「株は債券に勝つだろう」と言っても、「そりゃそうだろう」くらいの反応しか出ません。

債券に勝つかどうかなんてもはやどうでもいいです。相手が弱すぎる。インフレ調整後の株の絶対リターンを、バフェットがどう見積もっているのかを知りたいです。個人的には、表面的に現在のS&P500指数のPERなどの指標を見ると、名目で年率10%とかはちょっと厳しいかなと思います。そこんとこバフェット先生はどういう見通しをお持ちなのでしょうか。うーん、気になる。教えて欲しい。