世界経済の胴元はアメリカ

米国株投資を始めてから、スマホやPC、動画サービスなど毎日お世話になっているあらゆる商品、サービスの提供元が米国企業だと思い知らされました。アップル、マイクロソフト、インテルなどなど。

デジタル関係だけでなくスターバックス、コカ・コーラ、P&Gなど消費財セグメントにも多くの米国有名ブランドがありますよね。

世界中でビジネスをやって儲かっているけど胴元は米国で、利益の大半は米国本社に吸い上げられているケースは多々あります。

たとえば、ハンバーガーチェーンのマクドナルド。2020年9月末時点で全世界に39,096店舗あり、うち36,448店舗がフランチャイズです。これは全店舗の93%に相当します。

米マクドナルドはこれらのフランチャイジーから店舗不動産の賃料収入、およびロイヤリティ収入を得ています。ロイヤリティ収入は利益率が非常に高く、結果として米マクドナルドの営業利益率はマイクロソフトのそれを超えています。

信じられます? 格安ハンバーガーチェーンの営業利益率が、ハイテク業界の雄であるマイクロソフトのそれより高いんですよ。

ただ、それには裏があって店舗とノウハウを提供している米国マクドナルド本社だけの利益率と比較すればということですね。

仮にフランチャイジーも含めた全世界のマクドナルド店舗と米国マクドナルド本社の財務諸表を連結させたら、その営業利益率はマイクロソフトには遠く及ばないはずです。たとえば、日本マクドナルドの粗利率は10%台後半、営業利益率は10%未満です。

優良企業はなぜかいつも割安になっている

互いの決算データを見比べれば、米国マクドナルド株か日本マクドナルド株どちらに投資すべきかは自明に思います。もちろん前者です。

と、素直に考えてよいでしょうか?
とここで一度立ち止まって考えたところです。

財務諸表なんて機関投資家だけでなく個人投資家でもググればすぐに見れるわけです。会計の専門家でなくても、諸々の指標は米マクドナルドの方が優秀だとすぐにわかります。

ということはですよ、世界の投資資金は日本マクドナルド株よりも米国マクドナルド株に集まると考えるのが自然です。つまり、米国マクドナルド株の方が割高に評価されていると考えるのが自然です。

財務データがいくら優秀でも株価が高すぎれば投資は儲かりません。安く買って高く売るためには、なるべく安い値段で株を仕込む必要があります。

いくら米国マクドナルドのPL構造が魅力的だからと言って、高値で買ってしまったらリターンはマイナスになる可能性すらあります。

しかし、実際には経済原則に外れる事象が起こっているのです。日本マクドナルド株のPERは大体30倍台半ばほどあります。一方で、米マクドナルド株のPERは20倍台半ばであることが多いです。

米国マクドナルドの方が日本マクドナルドよりも明らかに財務優秀な上に割安でもあるんです。

これは冷静に考えると不思議なことです。質が良いものは値段が高いのがこの資本主義社会の常識です。

iPhone 12 miniは7万円台ですが、iPhone 12 Pro Maxは12万円くらいします。品質差と値段差に納得感があるのかは私はよくわかりませんが、最高級モデルも売れているというニュースを見るに消費者は納得しているのでしょう。

資本主義の権化たる株式市場では、その常識に反する事象が起きていることがあります。

株の値段はPERのみで測れるものではありません。が、私は米国株投資を始めてから5年、色んな優良企業の財務諸表、バリュエーションを見てきてそれをよく実感します。つまり、所謂ブルーチップを呼ばれる優良企業はその優秀さを正しくマーケットに評価されておらず、大抵いつも割安に感じるということです。

なぜ、このような現象が起きるのかはわかりません。個人的な仮説としては、マーケットのプレーヤーの大半は、短期トレード目的か、保有するにしてもせいぜい5年程度先しか見ることができず、ブルーチップの株式価値の大半を占めるであろうターミナルバリューの大部分を無視しているのではないかということです。

まあ、これは勝手な推測です。兎にも角にも根拠は置いておくとして、優良株ほどその質の高さほど値段は高くない傾向にあるということは言えると思います。

まるでiPhone 12 Pro Maxが8~9万円で買えるかのようです。iPhone 12 miniの7万円よりは高いけど、その性能差を考えればお買い得ではないでしょうか。