23日にイギリスで開催されたEU離脱を巡る国民投票は事前の予想を裏切り、僅差で離脱派勝利で終わりました。
株式市場はEU離脱を織り込んでいなかったこともあって、世界の株式市場でリスクオフが加速し相場が下落しました。
このブレグジットが起こった日の先進各国の株式相場の下落率をまとめた表がこちらです。
国名 | 指数 | 前日比 |
日本 | TOPIX | -7.26% |
アメリカ | S&P500 | -3.59% |
イギリス | FTSE100種 | -3.15% |
ドイツ | DAX | -6.82% |
フランス | CAC40 | -8.04% |
イタリア | FTSE MIB | -12.48% |
スペイン | IBEX35 | -12.35% |
日本のTOPIXは7%も下落しました。
いつも思いますが、海外の経済イベントに最も影響を受けているのが日本の株式相場ですよね。
それなりのマーケット規模があるのにいつもジェットコースターのように上下します。
日本の株式市場は外国人株主が多く、投機の対象になりがちです。
あと、為替の動きにきわめて整合的に動くという特徴もあります。
円高→株安 円安→株高 と素直に反応することがほとんどです。
リーマンショックの時も当事国アメリカよりも株価下落は大きかったのは日本でしたね。
EU離脱報道がなされると、日経平均が1,000円以上下落しましたが、なぜでしょうかそれほど驚きませんでした。
見慣れた光景だなという感じ。
さすがに1,000円上下することは珍しいかもしれませんが、500円くらいの変動はしょっちゅうです。
NYダウが500ドルも動いたら一大事というか、結構動揺してしまうのとは対照的。
個人的に日本の株式マーケットはアメリカに比べると長期投資家の割合が少なく未成熟な印象を持っています。
本国イギリスの株価下落幅が3%程度だったのは意外です。
イギリス以外の欧州各国の下落幅は日本並みもしくは日本以上です。
そして、今回注目なのがアメリカの株式相場の強さ。
S&P500はブレグジットを受けても3.6%の下落と他の先進国の半分ほどの被害で収まっています。
しかもアメリカ株はその前日に、英国EU残留期待から1%以上上昇して終えていたはずです。
つまり、ブレグジットによる3.5%の下落のうち1%は前日の残留期待による上昇分の相殺と解釈すれば、実質2.5%減です。
2.5%~3.5%減というと、確かに大きな下落ですが暴落とは言い難いかも。
日本のマーケットだと、特に何もイベントなくても為替変動などで平気で3%くらい動きますからね。
やはりアメリカ株式相場の底堅さを感じましたし、アメリカ経済のファンダメンタルの強さを肌で感じました。
日本人投資家としては、この-3.5%の株価下落に円高ドル安による為替差損が加味されて、円貨ベースでは5%以上の下落となりやはり暴落と表現してもいいレベルになってしまいます。
ですが、ドルベースで見ているアメリカ人からしたら、ブレグジット相場は大したダメージではないでしょう。
為替を気にすることなくアメリカ株式投資を行えるアメリカ人を羨ましく思ってしまいます。
下げ相場に強い生活必需品
アメリカ株がEU離脱という歴史的イベントにも過剰な反応を見せず、底堅い厚いマーケットであることを証明しました。
では、そのアメリカ株のセクター毎の下落率がどうだったのか検証しました。
ステートストリートのSPDRシリーズのセクター特化型ETFのパフォーマンスで比較します。
ティッカー | セクター | 前日比 |
XLY | 一般消費財 | -3.74% |
XLP | 生活必需品 | -1.92% |
XLE | エネルギー | -3.23% |
XLF | 金融 | -5.36% |
XLV | ヘルスケア | -2.93% |
XLI | 資本財 | -4.07% |
XLB | 素材 | -4.36% |
XLK | テクノロジー | -3.84% |
XLU | 公益事業 | 0.56% |
最も下落幅が大きかったのは金融で、-5.4%。
ただ、欧州銀行株の下落率と比べたらこれでもかなりまし。
バークレイズ銀行株は20%安、ドイツ銀行株は14%安でしたから。
やはり最も安定的に推移し、下落幅が限定的だったのが生活必需品セクター。
下落率は-1.9%。
生活必需品セクターは下落相場に強いバリュー銘柄が多く、今回のブレグジット相場でもその力強さが証明されました。
主要銘柄でいうと、プロクター&ギャンブル(PG)が-2.3%、コカ・コーラ(KO)が-2.6%、フィリップモリス(PM)が-4.1%、アルトリア・グループ(MO)は何と+1.1%と上昇しており、ウォルマート(WM)も+0.4%と上昇していました。
リスクが低く、ボラティリティーが低いことは素直に良いことだと思っていいです。
さて、この表をご覧になって生活必需品セクターよりも良好なセクターが一つあることに気付いたと思います。
公益事業です。
下落どころか、上昇して終えています。
公益事業セクターはガス会社や電力会社で構成されており、その売上高の大半が米国内なのでEU離脱の影響はかなり小さいと思われます。
例えば、XLUの構成銘柄1位のネクステラ・エナジー(NEE)はフロリダ地盤の電力会社で太陽光発電所などを運営しています。売上高の98%は米国内です。
一見生活必需品セクターより安定してリターンを得られるように見えるかもしれませんが、公益事業セクターは歴史的にS&P500指数をアンダーパフォームしているため、安易に多額を投資することはお勧めできません。
生活必需品セクターはリスクを抑えつつも、リターンは他のセクターをアウトパフォームしてきた実績がある優良セクターです。
XLPは米国ETFの中でトップ3に入れてもいいのではと思うほどの長期投資向け優良ETFです。
英国EU離脱で改めて生活必需品セクターの強さが証明されました。
生活必需品セクターは買いです。
長期投資で損することは想像できません。
最後にXLPの上位構成銘柄をご紹介しておきます。
凄いでしょ、サッカーでいうとバルセロナです。