雑誌やテレビなどが「AIで仕事は無くなるぞ!」ってはやし立てます。AIは職業の在り方を大きく変えるだろうと私も思っています。でも実際はそんな単純な話でもなく、AI・ロボットが実用レベルで普及しても雇用はそんなに減らないという意見も多いです。

日本弁理士会は「AIで弁理士が失業」という日経新聞の主張に反論しているそうです。

弁理士業務の中には「そう簡単にAIが代替できない部分が多い」という。例えば以下のようなものだ。

・知的財産とは「人間の生活を豊かにするもの」→AIに「人間とは何か」が分かるのか
・依頼人との空気感が重要→依頼人の放つ「空気」が読めるのか
・依頼人の意図を把握する必要がある→依頼人自身も気付いていない場合もある

ヤフーニュースより抜粋

WSJによると、ロボット革命は1900万人の雇用を喪失させる一方で、新たに2100万人の雇用を生み出すそうです。「労働は変化するが、なくなるわけではない」とのこと。

 

まあ、将来のことは将来にならんとわかりませんね。分からないこと、管理できないことを考えても仕方ないのですが、AIが雇用にどう作用するかによって私たちの短期的な投資パフォーマンスは大きく変わる可能性があります。

米国の長期金利は依然として低いままです。2017年11月17日現在の10年国債利回りは2.3%で、2年物国債利回りは1.7%です。その差は僅か0.6%です。

なぜ、長期金利は上がらないのか?

将来の経済成長に対する期待の低さもあるでしょうが、それよりも期待インフレ率の低さが影響しています。マーケットは米国の物価が今後10年大きくは上昇しないと判断しています。10月の食料とエネルギーを除く消費者物価指数(コアCPI)は前年同月比+1.8%にとどまりました。この低い物価上昇率が今後も続くと思われているから、長期金利は抑制されています。

なぜ期待インフレ率が低いのか?

賃金が上昇しないからです。賃金が上がらないとインフレ率も上がりません。期待インフレ率が低いということは、今後も労働者の賃金が上昇しないだろうと考えられているということです。

なぜ労働者の賃金は上がらないのか?

やはりAIでしょう。今後大半の仕事はAIに置き換わるので、労働者の資本家に対する交渉力は弱まると思われます。

 

「風が吹けば桶屋が儲かる」ではないですが、今の米国の低い長期金利の根本原因はAIにあると踏んでいます。完全な個人的意見ですよ。

AIの発達→賃金が上がらない→物価が上がらない→長期金利が低いまま
ってのが僕の発想です。

でも、冒頭で紹介した通り、AIやロボットが発達しても意外に雇用は減らないかもしれません。むしろ、労働者は資本家に対してより強い交渉力を持つのかもしれません。そうすると、賃金は上がるのかもしれません。

今マーケットは「どうせ将来も労働者の賃金は上がらんよ」って考えていて、それが期待インフレ率を押し下げ、債券価格を上昇させ低金利となって表れているんじゃないかって考えてます。

でも、、もしそのマーケットの判断が誤りだとしたら。。
実際は、労働者の賃金がこれからグングン上昇してインフレ率も上がっていくとしたら。。。

そうなれば、すべてのセクターで株価は暴落するでしょうね。今後、期待インフレ率が急上昇して株価が大きく下落するリスクはあると思っています。でもそんなの事前に予測不可能だから、常にマーケットに居続けるしかありません。

マーケットは過去も度々インフレ率を読み誤ってきました。その結果、10年程度ではS&P500に長期投資しても実質リターンがマイナスになることもありました。しかし、30年~50年とより長期で見れば米国株は実質リターンで7%程度の結果に落ち着いてきました。それは今後も変わらないと思います。

期待インフレ率が上昇して(=長期金利が上昇して)、株価が暴落しても長期投資家は慌てる必要はありません。一旦売却して買い戻すなんて考えない方がいいと思います。手数料も税金も掛かるし、底値で買い戻せる保証はありませんから。マーケットに居続ければ米国株は常に物価上昇を上回る名目リターンを達成してきました。それを信じて株を持ち続けた方が賢明だと思います。