※FY20(2020年11月期)決算データ反映、コメント刷新

S&P100構成銘柄を中心に米国企業の業績、財政状態、キャッシュフロー、株主還元状況について過去10年分のデータをグラフ化しています。

データソースはMorningstarです。

今回はアドビ・システムズ(ADBE)をご紹介します。

基本情報

会社名 アドビ・システムズ
ティッカー ADBE
創業 1982年
上場 1986年
決算 11月
本社所在地 カリフォルニア州
従業員数 22,516
セクター 情報技術
S&P格付  A
監査法人  KMPG
ダウ30 ×
S&P100 ×
S&P500
ナスダック100 ×
ラッセル1000

地域別情報

地域別売上構成比

地域別売上高推移

セグメント情報

セグメント別売上構成比

セグメント別売上高推移

業績

キャッシュフロー

バランスシート

資産

負債純資産

株主還元

無配。自社株買い実績はあり。

連続増配年数

無配

過去10年の配当成長

無配

過去の株主リターン(年率、配当込み)

過去10年(2011~2020):+32.2%
過去20年(2001~2020):+15.3%
過去30年(1991~2020):+20.8%

バリュエーション指標(2021/1/30時点)

予想PER:34.6倍 最新情報はこちら

配当利回り:無配 最新情報はこちら

コメント

アドビ・システムズはカリフォルニア州サンノゼに本社を置くソフトウェア会社で、画像・映像の加工や編集を行うソフトの開発を手掛けます。ゼロックスに勤務していた二人の技術者が独立し、1982年に創業した会社です。

アドビと言えば、サブスクリプションモデル(課金ビジネス)のクラウドサービスへの移行に成功したIT企業として有名です。

10年前の2009年には製品販売収入が95%以上を占めており、サブスクリプションの割合は無視できるほどでした。しかし、2013年頃から定額課金サービスへの移行が進み、直近FY20(2020年11月期)ではサブスクリプション収入の割合は90%に達しています。

サブスクリプションモデルへの転換が進んでから、売上高が伸びるだけでなく収益性も大きく改善しています。

事業セグメントは以下の3つに分かれます。
デジタル・メディア
デジタル・エクスペリエンス
出版

デジタル・メディアはアドビの中核ビジネスでクリエイティブ・クラウド(Creative Cloud)というサービスを展開しています。具体的なアプリケーションとしては”Adobe Photoshop”、”Adobe illustrator”、”lightroom CC”、”Premiere Prp”、”Adobe Stock”などがあります。

これらアプリを使うことで、画像は写真などを自在に加工編集できます。ちなみに、アドビのサイトを見ると月額料金は980円~4980円となっています。アプリのクオリティの高さを考えれば、決して高い値段ではないのでしょう。だから、顧客の高い支持を集めています。

2つ目のセグメントの「デジタル・エクスペリエンス」は、企業のマーケティングをサポートするソフトウェアを提供する事業です。全日空はアドビの”Adobe Experience Cloud”を導入している日本企業の一つです。

2018年10月にマーケティング・クラウドプラットフォーム企業のMarketoを42億ドルで買収しました。このMarketoの事業が「デジタル・エクスペリエンス」に含まれると思われます。

財務データを見てみましょう。

売上高はこの10年で3倍になりました。特にFY15~の勢いが凄いです。サブスクリプションモデルへの移行が実を結んだ結果です。

FY20(2020年11月期)の売上高は129億ドルで前年比+15%。「デジタルメディア」が+20%、「デジタル・エクスペリエンス」が+12%。純新規ユーザー増による増収です。

FY20の純利益は52.6億ドルで前年比+78%と大幅増益。アイルランド子会社に知的財産を譲渡し、それに関連した税務利益(繰延税金資産の計上)が純利益を押し上げました。

上記は特殊要因ですが、営業利益率は33%と過去最高であり本業の収益性もしっかり改善しています。

キャッシュフローは潤沢。ここ4年ほどで営業CFマージンは40%台に乗るようになりました。サブスクリプションモデルへの移行が収益性を高めた結果です。設備投資が少なくフリーCFも莫大。

バランスシートを見てみましょう。総資産の74%が固定資産です。このほぼ全部が買収に伴うのれんと無形資産です。特にのれんが多いです。米国会計ではのれんは非償却です。買収のため有利子負債が結構ありますが、事業は好調ですし財務に懸念はなし。

成長企業ということでまだ配当はありませんが、自社株買いは継続的に実施しています。FY20には31億ドルと過去最大の買戻しを実施。無配ですが、事実上還元ステージに入っていると言えます。一方でトップラインも成長を続けているのが素晴らしい。過去の株主リターンも優秀。