夕方、久々の残業中に投資アプリSeekingAlphaからとんでもないニュースが飛び込んできて頭がクラクラしました。
“AbbVie poised to take out Allergan for more than $60B”
(゚д゚)!
バイオ医薬大手のアッヴィ(ABBV)がアイランド本社の特殊医薬大手アラガン(AGN)を買収するとのこと。金額は600億ドル以上、、え~っと日本円で6.4兆円以上か・・。なおWSJによると630億ドルを超えるとのこと。武田のシャイアー買収に匹敵する額やで。てか超えとるか。
先日、ファイザーがアレイを1.2兆円で買収すると発表したばかりですが、今度はアッヴィか。保有ヘルスケア銘柄のM&Aが続きます。別にM&Aが株主利益にマイナスというわけではありませんが、短中期的には株価は低迷する可能性があります。現在6月25日のNY市場がオープンしたところですが、アッヴィの株価は13%近くも暴落となっています。
ヘルスケア業界ってホントにM&A多いですよね。年初にはブリストル・マイヤーズ・スクイブのセルジーン買収報道がありましたね。医療機器も例外ではありません。2014年にメドトロニックがコヴィディエンを4.4兆円で買収。2016年にはアボット・ラボラトリーズがセントジュード・メディカルを2.7兆円で買収しました。M&Aが多いヘルスケアセクターはETFが安心かもしれませんね。
『株式投資の未来』によれば、20世紀後半にもっともリターンが良かったセクターがヘルスケアでした。著者のジェレミー・シーゲル氏は今後もヘルスケアセクターは有望だろうと語っておられました。
ヘルスケア業界は、たしかに、いくつもの課題に直面している。新薬開発コストは増大する一方で、訴訟の脅威がつきまとい、大衆薬との競合から厳しい値下げ圧力にさらされている。
(中略)
不安材料を抱えるとはいえ、ヘルスケア業界は、米国のGDPのかなりの部分を占めており、向こう数十年にかけて、この比率が低下するとは考えにくい。バリュエーションが過去の長期的な平均を大きく踏み越さないかぎり、向こう50年にかけて市場平均を上回る公算が高い。
ジェレミー・シーゲル著『株式投資の未来』
医療の需要は間違いなく増え続けるはずです。しかし、特に新薬の開発は競争が厳しくなっています。希少疾患や治療困難と言われる認知症など、ブルーオーシャンは開発のハードルが高い分野ばかりです。規模を拡大して資本のパワーを増強しないと、生き残れないという経営判断がM&Aを加速させている一因でしょう。
ヘルスケアセクターの投資リターンにはまだ楽観的ですが、特に製薬会社の投資判断は慎重を期す必要があると思っています。『株式投資の未来』を読むとかつての製薬会社のバリュエーションは今とは大違いだったことがわかります。20世紀後半の平均PERはファイザーが26倍、ブリストル・マイヤーズ・スクイブが24倍、メルクが25倍です。S&P500平均よりも遥かに高いPERです。今の医療機器大手アボットラボラトリーズと同水準です。業種は異なりますが、コカ・コーラやペプシコ、プロクター&ギャンブルといった現在の生活必需品企業のバリュエーションに近いです。
つまり、ここから推測されることは、50年前の製薬会社は今ほどリスキーな投資対象ではなかったということです。大型薬の開発競争もあったでしょうが、それよりは消費者向けの大衆薬で安定した利益を持続させていたのではないでしょうか。今みたいにウン兆円の大型M&Aが頻発する業界ではなかったはず。当時のことは知らないですけど。
翻って、現在の製薬会社はどこも低PERかつ高配当利回りです。業績が好調なファイザーですらPERは15倍ほどです。アッヴィのPERは8倍弱でした。製薬メーカーはかつてより一段低いPERで評価されるようになったわけですが、それを割安と喜んでいいとは思えないです。PERが下がるのには相応の理由があると考えるべきです。
莫大な開発投資は間違なく世界の医療レベル向上に貢献しますが、それが株主利益に貢献するのかはよく考えて株を買う必要があるなと最近感じている次第です。今のところファイザーは結構な含み益で配当もそこそこもらっていますが、アッヴィは配当じゃあ全く埋めれないほどの含み損です。
難しいね~投資って。いくら考えても答えはわかりません。医療機器メーカーの方が将来見通しは安定していそうですが、その分PERも高めです。やっぱり(自称)バリュー株投資家として、低PER・高配当銘柄に目がいっちゃうのが本音です。低PER=バリュー株ってわけじゃないのはわかってるんですけどね。
かつて同じ企業だったアボットラボラトリーズとアッヴィ(2013年に新薬開発部門がアッヴィとして独立)。片やPER25倍、片やPER8倍。割安感で飛びつくなら後者なんだろうけど、長期投資では前者を買うのが正解なのかも。わからんけどね。まあ一概には言えないですね。ケースバイケースか。
今アッヴィの株価を見ると前日比▲15%で66.7ドルと表示されています。ふ~、しんどいな(汗)。
個別銘柄はコレがあるから怖さがありますよね…。自分は先日、個別銘柄をすべて処分しました。ボーイングをはじめとした含み損銘柄もありましたが、トータルで見てプラスが出ていたので。今はVIG+HDV+SPYDの3均等にシフト。配当利回りの面から効率は悪いと思いましたが、気分的にはだいぶ楽になった気がします(苦笑)
リスクリターンを考えれば、銘柄リサーチの時間に制限のある個人投資家はETFが正解だと私も思います。
これまでの自分の投資成果を振り返って切にそう感じます、切に・・。1日で16%下落とはタバコ株でも経験していない暴落です。
VIG、HVD、SPYDでも特段利回りは低くなさそうですし、安心してホールドできるポートフォリオだと思います。
株式投資に何を求めるか、そこは人それぞれですね。
こんにちは。ポートフォリオ等いろいろ参考にさせていただいております。
自分も買収で米国株の含み益は吹っ飛びました。
ただ医療業界で働く身としては、ゆくゆくは企業成長に繋がるのではないかと期待もしています。
アボット製品やSJM製品は私が普段使用する機器ですが、アボットがSJMを買収し成長を加速させている様をみると買収は成功だったと思います。同じ流れを組む企業ですから期待したいところです。
最近RSIも低めで買い増しするか悩んでいたのですが、わたしは落ち着いたところでまた拾いに行こうと思います。
こんばんは。
アボットのSJM買収、メドトロのコヴィディエン買収はともに上手く進んでいるように見えます。
特にアボットはここ数年でPERは大きく上昇しており、投資家の期待の高さが伺えます。
リスキーなバイオ医薬開発を分社化した経営判断も非常に合理的です。
>わたしは落ち着いたところでまた拾いに行こうと思います。
私は迷っています。
とりあえず、一旦は静観します。
アラガンの財務データを改めてチェックします。
こんにちは。
アラガンって、以前はファイザーが買収を試みたと思うのですが、アッヴィは成功したのですね。
アラガンは、日本で「ボルベラ」というヒアルロン酸をリリースしまして、医師の間でもまぁまぁの評判です。
私の顔も、「ボトックス」「ボリューマ」にお世話になっています。
ホルダーより事務連絡でした…。
こんばんは。
はい、おっしゃる通り以前はファイザーが買収を試みましたが、アイランドの低い法人税率を手に入れたいだけではという疑いで政府から横やりが入りましたね。
当時は環境が悪かったです。ファイザーがアラガンを買収していたシナリオも十分あり得たはずです。
今回はどうなのでしょうね。一応まだM&Aは正式確定ではありません。アラガン側の株主承認も必要です。最近アラガンの株価は下がっており、40%のプレミアムでも買収対価は安過ぎると思っている株主も一定数は存在しそうです。
美容分野は成長領域かもしれませんね。
非保険でも伸びる分野だと思います。
いつも記事楽しく拝見してます。ご質問があります。安くなったのでアッヴィを買おうかと思ったのですが、アラガンの株主には120ドル+0.866のアッヴィ株=177ドル相当が貰えるとのことでアラガン株を162ドルで購入するほうが現時点ではアッヴィをお得に買えるという計算であっているのでしょうか。また、株式の端数には配当金が貰えるものなのでしょうか。教えて頂けないでしょうか。
アッヴィ株を買うのがお得か、アラガン株を買うのがお得か、それはひとえに今のアラガンの企業価値をどう評価するかにかかっていますね。
アラガンのビジネスに精通していないので、すみませんが、個人的には何とも言えないのが今の状況です。
端数株というのは日本でいう単元未満株とは違う話です。
端数株については会社が買い取るの通例だと思います(つまり自社株買い)。
日本では会社法で決められていたはずで、米国でも同じではないかと推測します。
たびたび申し訳ございません。アラガン株を保有していた場合に交付される現金120ドルに税金はかかるのでしょうか。もし、税金が発生するとしたら次の算定式に基づいて計算するのでしょうか。
{買収完了時点(2020年初め)のアッヴィ株時価+120ドル-アラガン株取得価格}×税率
お手数ですが、教えていただければ幸いです。
ん、、そこはちと難しい論点ですね。
株式交換で対価がすべて親会社株式(つまりABBV株)ならば、特例で譲渡所得は発生しなかったはずです。
対価がすべて現金ならば、普通に譲渡所得が発生して納税が必要です(所得プラスならば)。
今回は対価が株式と現金ですね。
まず現金120ドルがそのまま課税対象ということは考えられないです。それは税務上の利益ではないからです。
税務上の利益は、差し出すアラガン株の時価と受け取るアッヴィ株の時価+現金の差額です。
なので、ご指摘の算定式の通りですが、その通り課税関係が生じるのがいまいち自信がありません。
恐らく何らかの課税が生じる可能性が高いとは思います。
ただ正確なところは知識不足でわからずです。ごめんなさい。