以前、株主総会でのお土産廃止を記事で取り上げた際、こんなコメントを頂きました。

初めてコメントします。
株主総会のお土産廃止は今年になって増えたように思います。
個人的にはお土産の廃止に賛成です。
でもそこに何となく「周りがやめるからやめる」みたいな横並び意識を感じてしまって、
正直少し釈然としないというかキモチワルイというか。

確かに、私たち日本人は横並び意識が高い民族ですよね。

島国で民族の混合がなかったからでしょうか、はっきり物事を言わずに行間を読むことを当然に要求されます。空気を読むとも言えますかね。”KY”なんて言葉はまさに日本独特の発想だと思います。欧米から日本に帰化される方は大変だろうなあと思います。

 

この横並び意識は、良く言えば皆で協力する精神だし、悪く言えば「赤信号みんなで渡れば怖くない」的な風土だと言えます。

東芝の不正決算や、三菱自動車の燃費不正などは横並び意識の悪い性質がもろに露出してしまった結果ではないかと思います。

従業員も自分と家族の生活を守るためには、自分が所属するコミュニティの暗黙の掟を守ることが最良の判断だったのでしょう。社会一般的には倫理にもとると思っていても、内内の組織の論理を優先せねばならない事情。あるいは、組織にあまりに長く居すぎたため、社会一般的な常識と自分が所属する組織の常識とのズレに気付かないか。

 

横並び意識がプラスの作用をもたらすこともあります。

戦後の日本の金融政策は俗に護送船団方式と呼ばれます。国民の預貯金を預かっている銀行が一行でも潰れることがあってはならない。そこで、法規制が厳しくビジネスに介入して銀行間の過当競争を抑制しました。護送船団とは戦時中の船団護衛のことです。護送船団は、最もスピードの遅い船に合わせて進む必要がありました。速力の高い船も、遅い船に合わせることが求められました。

その結果、確かに日本は力強く経済成長してきました。GHQも驚く高度経済成長を実現させました。

戦後復興を遂げた日本国家はまさに現代のカルタゴではないでしょうか。強大な軍事力を持つアメリカ(ローマ帝国)に、急成長する経済力で抵抗する日本(カルタゴ)。

しかし、、第三次ポエニ戦争でカルタゴは殲滅させられました。
第三次ポエニ戦争 = プラザ合意みたいな感じかな??

1985年のプラザ合意後から、日本は円高ドル安低金利になりバブル経済が生まれました。そして、その泡ははじけました。そこから失われた10年、20年が始まります。そして、今でも1989年の日経平均最高値を超えられない状態が続いています。

アメリカに助けられ、時にいじめられながらも、日本はここまで経済的に豊かになれました。日本はドンドン貧しくなっているという主張を見ることもありますが、私は日本に住んでいる者として、日本は世界でも有数の経済的に豊かなで安全な国だと思います。

戦後の日本の経済成長は、日本人の勤勉さ・真面目さ・誠実さによるところが大きいと思います。グローバル企業で働いていて、色んな国の方と仕事を(メールだけのやり取りも多いが)しますが、手前味噌ですが日本人が一番真面目だと思います。誠実で真面目なところは、日本人のホントにいいところだと思います。

 

日本人に今でも貯蓄精神が染み付いているのは、戦前から政府が貯蓄奨励を行うことで国民に半強制的に貯蓄させた影響が大きいと言われます。特に戦時中は軍費確保のため、政府は必死になって国民から預金を吸い上げようとしました。

「貯金は美徳」という精神が、ひいばあちゃん→ばあちゃん→母ちゃん→私たち という感じで先祖代々受け継がれているのではと思います。

両親に口酸っぱく言われませんでしたか?
「きちんと貯金しなさいよ」って。

私は何度も何度も、特に保守的な母親に言われましたけどね。だから、社会人になって自分でマネーの勉強をして、今まで親から刷り込まれた固定観念を破るのには相当苦労したなと、今振り返ると思います。

幸い社会人になってすぐに『お金は銀行に預けるな』という勝間和代氏の書籍と出会い、株式投資の世界を知ることができました。当時22歳です。しかし、、実際に株式投資という行動に移ったのは25歳です。その3年間、「価格が変動する株式を買うなんて怖いなあ、どうしよう・・」とビビッて投資の勉強しかしてなかったです。貯金も600万円近くあったと記憶していますが、全額普通預金に入れっぱなしでした。そして、その預金残高をコツコツ積み上げることに快感を感じていたのが本音です。

600万円の金融資産をすべて普通預金にするなんて、今となっては信じられない判断です。

25歳くらいから、「さすがに株式投資そろそろ始めなきゃ、勉強ばかりしていても前に進まないぞ!」って思いインデックス投資を開始しました。投資を続けていくうちに、金融の勉強を続けていくうちに、段々と親から受けた「貯金は美徳」という洗脳が解かれていきました。

 

両親が大切に育ててくれたから今の自分があるわけで、そういう意味で親への感謝の気持ちを忘れてはいけないと思います。「したいときには親はなし」にならないよう、今のうちに親孝行しておきたいなと思います。もうすぐ母ちゃん還暦だしな。

一方で、親から教わることは過度に保守的過ぎる傾向があります。それはとにかく普通に健康に当たり障りなく、世の中を生き抜いて欲しいという親の愛情かもしれません。子供にサラリーマンではなくお笑い芸人になって欲しいと願う親は稀だと思います。

ですが、明らかに時代にそぐわない古い価値観・固定観念は自ら払拭せねばなりません。「社会人になったら、しっかり貯金しなさい」というのはもはや古い価値観であり、捨てるべきです。親が子供に求める「普通」の延長線上に貯金信奉があると思います。

かつて日本政府が国民に貯蓄推奨をしたのは決してデマゴーグではなかったと思います。国民は地道に預金することで高い金利を受け取ることができました。預金することは経済合理性に適っていました。

でも、今は違います。

銀行に預金してもそれは国債に流れるだけで、その資本はほとんど有効に活用されません。その非効率性をしっかり反映してか、現在の普通預金金利は0.001%とかが普通です。もはやゼロです。私が使っている楽天銀行は金利が高い部類に入ると思いますが、それでもたったの0.1%です。

日本はまだインフレが起こっていないからマシですが、これで米国並み~2%のインフレでも起ころうものなら、実質金利はマイナスになってしまいます。国民は年々貧乏になっていきます。

日本人が株式投資に積極的でなく預金が今でも好きなのは、親世代から引き継がれている「みんなで貯金の横並び意識」が原因だと思います。

 

 

 

国民性を示唆する有名なエスニック・ジョークがあります。

世界各国の人々が乗った豪華客船が沈没しかかっています。しかし、乗客の数に比べて、脱出ボートの数は足りません。したがって、その船の船長は、乗客を海に飛び込ませようとしますが…。さて、船長が各国の人を飛び込ませるために放った言葉とは何でしょう?

アメリカ人に対して・・・「飛び込めばヒーローになれますよ」

ロシア人に対して・・・「海にウォッカのビンが流れていますよ」

イタリア人に対して・・・「海で美女が泳いでいますよ」

フランス人に対して・・・「決して海には飛び込まないで下さい」

イギリス人に対して・・・「紳士はこういう時に海に飛び込むものです」

ドイツ人に対して・・・「規則ですので海に飛び込んでください」

北朝鮮人に対して・・・ 「今が亡命のチャンスです」

日本人に対して・・・「みなさんはもう飛び込みましたよ」

 

なんか納得しちゃいますw。

日本人は周りが飛び込んだら「あ、今は飛び込む時なんだ」と同調的に判断しそうです。

このエスニック・ジョークからもわかる日本人の横並び意識は決して恥ずべきものではないと思います。島国で農耕民族であるという文化が背景にあると思います。

この横並び意識をもっと利用して、日本に株式投資が広まればいいのになあ~と思う時があります。

株式投資をするしないは各個人の判断です。別に株式投資をすることが必ず正しいんだ!なんて傲慢なことを言うつもりは一切ありません。

ですが、今の日本の教育ではあまりに株式投資についての知識が身に付きません。ほとんどの人は株式投資を知らないです。株式投資=ギャンブルってのが一般的な認識です。

でもネットの情報普及もあって、若い人を中心に少しづつ投資・金融リテラシーは広まりつつあるように思います。インデックスファンドは今やネット証券の買付ランキング上位に位置しています。

そうやって、少しずつ低コストの株式投資が広まって実際に投資成果を上げる人が出てくれば、日本人お得意の「横並び意識」で今度はインデックス投資をしているのが当然だよね、S&P500に投資するのは常識だよねっていう日が来るかもしれませんね。

私達はこうやって、長期投資で最も合理的な(だと信じている)米国株投資を行っています。ETFや投資信託などを通じてインデックスに投資している人、個別株に投資している人、様々でしょうが私達はネット時代の長期投資第一世代だと思います。

私達が長期株式投資に成功するか否かが、日本に株式投資が普及するか否かの試金石になるかもしれません。大袈裟でしょうか?

きちんとリスクを負担し続けて、株式投資を通じて社会に価値貢献してしっかりリターンを頂きましょう。そして、株式投資で得たマネーで人生を自由に思いっきり楽しんでいる後ろ姿を見せつけてやればいいのではないでしょうか。リスクを取ったご褒美なのですから、文句を言われる筋合いはありません。

でも、そのためには、リスクを取り続けるという株主としての仕事を疎かにしてはいけません。ちょっと株価下落したからって安易に売却することはせず、頻繁な売買は控えてどっしりと構えていきましょう。

私達が株式投資を成功させることができれば、横並び意識が高い日本人ですから、多くの人が当然のように株式投資を行う時代がやって来るかもしれません。

AIが人の仕事を奪うと言われる昨今、幸福なAI社会が実現するか否は、一億総投資家時代にうまく移行できるか否かにかかっていると思います。

米国株長期投資、成功させましょう。