バイ&ホールドを基本方針としています。基本的に売りません。株を売るのは以下の3つのケースくらいです。
・急に多額の資金が必要になった時
・バリュエーションがあまりに高騰していると判断した時
・より有望と思った銘柄との入替

銘柄入替は実質的には売却とは言えません。株式エクスポージャーを減らすという意味では、急な資金需要とバリュエーション高騰の二つのケースくらいしか思いつきません。

100万円~200万円程度の現金は保有していることが多いですが、万が一手元現金を超える資金が必要になったら躊躇なく株を売ります。米国大型株は流動性も高いですし、時価ですぐに現金化できます。流動性の高さのありがたみを感じることは普段はなかなかありませんが、投資対象を検討する上で重要な視点の一つです。仮に売らなくとも、売りたい時にいつでも時価で売れるという安心感があるとないとでは心持ちが全然違います。

バリュエーションが法外に高騰した時は株式エクスポージャーをいくらか減らすかもしれません。たとえば、S&P500指数のPERが30倍を超えるなど。高値で売り抜いてやる!という意味ではなく、「休むも相場」という心境で売るという意味です。

実際に株を売る機会はそうないと思います。100万円単位の大金が突然必要になる事態は想像しづらいです。景気回復が始まって10年が経ち、米株はすでに高値にありますが、だからと言って相場に熱狂感はありません。S&P500の予想PERは現在18倍ですが、これが30倍40倍に膨らむ素地があるとは思えません。

んなわけで、私はマーケットに居続ける予定です。売りません。銘柄入替を除いては、これから10年、20年と保有株を売却することはないと思います。そうすることで投資リターンを最大化できると信じているからです。

なぜ売らずにホールドし続けることが高い投資リターンに繋がると思うのか。その理由は主に二つあります。

①短期のマーケット変動は予測できないが、長期では右肩上がりが期待できる
②配当を逃さず掴むことでリターンを最大化できる

①マーケットは予測不能だが、長期では右肩上がり

以下は2018年初から現在までのS&P500指数のチャートです。

2018年の10月辺りからジェットコースターのように急降下しています。貿易問題に加えて、FRBの利上げといった金融政策の引き締めが主要因だったと思われます。

この時、ディフェンシブ株中心の私のポートフォリオもズタズタにやられました。時価はみるみる減少し憂鬱な気分で12月を迎えました。ニュースだけでなく、コメントにも「もっと下がると思いますよー!」といった不安にさせられるコメントが多数寄せられました。

しかし、2019年は株式にとって最高の1年になりました。株だけでなく、債券も金も原油もすべて上昇しました。結果として2018年後半に売らずにホールドが正解でした。

でもだからって、売らずにホールドできた自分にマーケットを予測する力があったわけではありません。あくまで結果論です。そもそも、2019年の力強い相場の一番の原動力はFRBの方針転換です。利上げを止めるどころか、三回も利下げしました。まさに朝令暮改。

2018年後半の急落時にFRBの利下げを予想できた人は皆無でしょう。少なくとも個人投資家には無理です。

もしFRBが利下げに方向転換しなかったとしたら、2019年の相場はもっと大荒れしてたことでしょう。それくらい金融政策は投資心理に影響を与えます。実体経済よりも期待に与える影響が大きく、その期待こそがマーケットを動かします。

FRBが金融引き締めを続けて株価低迷が昨年も続いていれば、急落時に売却した人の中には「ほら言わんこっちゃない」と自信気に言う人も表れたことでしょう。

実際には金融環境は緩和方向に動き、S&P500指数は2019年の1年間に30%近くも上昇する結果になりました。ただ繰り返しですが、これは結果論です。実際に起こったシナリオに目が行きがちですが、それは想定されていた数多くのシナリオの一つに過ぎません。実際には起こらなかったけど、起こる可能性のあったシナリオにも目を向けるべきです。

何が言いたいかというと、短期の相場環境なんて予測不能ということです。昨年は特にそれを感じました。

バフェットは「たとえグリーンスパンFRB議長が今後2年間の金融政策を耳元で囁いてくれても、私がすることに一切変わりはない」とかつて言いました。それはバフェットが長期投資家だからです。短期で利益を確定させたいなら、パウエルFRB議長にこっそり今後2年間の金融政策を囁いてもらった方が相当有利に「ゲーム」をプレイできます。やっぱ利下げするとわかっていれば、2018年後半に株を売る人は少なかったでしょう。

実際には教えてもらえることはないわけだし、個人投資家が機関投資家を出し抜いてNY市場をうまく立ち回るのは難しいと思います。少なくとも私には無理です。大人しくマーケットの荒波を受け入れます。波は激しくとも長期的には上がっていくと期待できますから。それは決して神頼みではなく、企業のEPS成長とともに上がっていくと経済合理的に考えることができます。

②地道に配当を積み重ねることでリターンは高まる

途中で株を売却してそのまま配当権利確定日を超えると、配当をもらうことはできません。米国は四半期配当がメインですね。たった1回の四半期配当を逃すくらい痛くも痒くもないと思うかもしれません。

確かに、S&P500ETFを100万円保有していても、1回の配当金は5千円程度です。税金を引かれるので手取りはもっと少ないです。5千円の配当を取り逃したとしても、株を売ることで暴落を回避できれば数万円、場合によっては数十万円の利益(損失回避)を得ることができます。

が、先に言った通り、株を売って損失をうまく回避することは簡単ではありません。仮に回避できたとしても、それは起こり得る一つのシナリオに過ぎなかった、ラッキーだったと思うくらいの謙虚さがあった方が良いと思います。

あと、配当の効果を甘く見てはいけません。それは高配当銘柄に限りません。S&P500指数の配当利回りは2%前後が続いています。決して高い利回りではありませんが、この小さな配当をコツコツ積み上げることでトータルリターンは大きくなります。

S&P500指数のこの10年の累積リターンは190%ですが、配当込みのトータルリターンだと253%にまで増えます。100万円が290万円になるのか、それとも353万円になるのか。その差は小さくありませんよね。

1年ましてや3か月のリターンなんて配当の有無にほとんど左右されません。株価次第です。だから、数回くらい配当を取り逃してもいいやって思いがちです。しかし、不確実な株価に対して配当は確定利益です。毎年4回、小さな配当という利益を確定させ、それを再投資するとしないとでは10年、20年後のリターンに大きな格差が生まれます。

なので、たった1度の配当すら逃したくないという気持ちがあります。特に、私は高配当銘柄に投資していますから、一度の配当を逃すことによる機会損失が大きいのもあります。

高配当商品ではないS&P500指数であっても、10年あれば配当の有無でかなりリターンに差が出ることがわかりましたよね。毎四半期の、いや毎日の積み重ねが大切です。